電大 ALBUM「3D」ディスクレビュー

3D

ALBUM

電大

3D

LineDriveRecord

2013.05.20 release

<CD>


天然系3人が溶け合って、電大が黄金時代に突入した!

 まずサウンドが格段によくなっていることに驚く。また曲作りが非常にスムーズになっていることも特筆されるだろう。さらには川西幸一(vo、g)、手島いさむ(vo、g)、 EBI(vo、b)のバンドにおけるそれぞれの役割が、明確になった。そんな電大の“ノッテるポイント”のすべてが集約されているのが、3曲目の「オートクチュール」だ。

 ドラムのラウドなサウンドを軸に、手島ならではのギター・リフが曲の輪郭をしっかりと描く。特に素晴らしいのは、EBIのグルービーなベースだ。デビュー当時のユニコーンで絶賛されたベーシストとしての実力を全開にさせて、正統派ロック・バンドの要になっている。また、3人がイーブンに歌う強味が発揮され、ハモもリードも電大ならではの魅力が、ついにこの曲で完成したと断言できる。

 また歌詞の狙いがはっきりした。「オートクチュール」は好きになった女子のために、日夜、粉骨砕身する男の生き様を明るく描く。「Heaven’s Door」ではデートに向けて、嫌いな歯医者に行ってまで歯を白くする。「ハレルヤ」は、遊びまくった日々を反省する“あやまり系”ロック。「ガッツだせ!!!」 は“健康寝具系”、「愛の陽炎」は“絶倫憧れ系”と、とにかくアラフィフ男子の生態を徹底的に歌い上げている。なかでも“綺麗ごと系”ラブ・ソング「泉のそばの橋を渡って」でのEBIの好青年ボーカルが、いい意味でウソくさくて笑えるのだ。

 こうしてみると、天然系アーティストEBIが、いよいよバンドにハマってきて、電大が黄金時代を迎えた観がある。

’12年6月にミニ・アルバム『Δ結線』でデビューして、’12年10月にはアルバム『D-SHOCK』、 そして今回は’13年5月と、1年に満たない期間で3枚のアルバムをリリースし、さらにはそれぞれツアーを行なうというハイペースな活動ぶりは、驚嘆に値する。

 僕は毎回、ツアーに足を運んでいるが、回を重ねるごとにオーディエンスには男が増え、気合いの入ったロック女子に混じってギター・キッズやロックおじさんの姿が数多く見られるようになった。これまでの電大作品は、メンバーのルーツである’70~’80年代ロックへのオマージュのニュアンスが濃かったが、この『3D』は3人のオリジナリティが大幅に前面に出てきた。その立体感は、まさに3D。コピー小僧の諸君は、そんなアラフィフ男子の心意気もコピーしてほしい。

(平山雄一)

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