クラムボン ALBUM「LOVER ALBUM 2」ディスクレビュー

LOVER ALBUM 2

ALBUM

クラムボン

LOVER ALBUM 2

日本コロムビア

2013.05.22 release


クラムボンの奥深いルーツ、そして新しい音楽との出会い。

 カバー・アルバムは、取り上げた曲からそのアーティストのルーツを知ったり、原曲とカバー曲を聴き比べることでそのカバー解釈の創造性を楽しんだりすることで、オリジナル曲とは違った角度から、そのアーティストの音楽性に触れる絶好の機会だ。

 クラムボンが’06年にリリースした『LOVER ALBUM』の続編となるカバー・アルバム『LOVER ALBUM 2』は、そうした意味において非常に掘り下げ甲斐のある作品とい
えるだろう。まず、彼らのベースとなる編成はピアノ、ベース、ドラムというミニマムなトリオ編成であるから、ほとんどの曲ではギターほか足りない楽器を補うべくリアレンジが必要で、そうすることによって強く意識せずともクラムボンらしさが浮かび上がってくる。さらにこの作品は、フィッシュマンズ「ナイトクルージング」や岡村靖幸「カルアミルク」といったよく知られている曲がピックアップされていた前作と比較すると、選曲がディープで、彼ららしいこだわりが感じられるものになっている。

 洋楽では、誰もがよく知るザ・ビートルズの「Lady Madonna」から’70年代のプログレッシブ・ロック・バンド、マッチング・モールの「O Caroline」やスウェーデンのジャズ・グループ、エスビョルン・スヴェンソン・トリオの「GOLDWRAP」、英国のソウル・フォーク・シンガー、マイケル・キワヌーカの「I’M GETTING READY」ほか。邦楽では、’80年代歌謡曲の名曲、中森明菜「DESIRE -情熱-」から彼らの年上世代にあたるTOKYO No.1 SOUL SET「状態のハイウェイ」やLITTLE CREATURES「FOUR IN THE MORNING」。空気公団「呼び声」、HUSKING BEE「雲のいびき」、七尾旅人「ぎやまん」といった世代が近いアーティストの楽曲をセレクト。

 そして、この作品のハイライトといえるのは、アニメ「らき☆すた」のキャラクター、泉かなたが劇中に登場するシーンで使われているインスト曲「かなたのテーマ」に歌詞を付け、編曲した泉かなた(声は声優の島本須美)名義のシングル曲「幸せ願う彼方から」だ。アニメ・ファン以外にはあまり知られていないであろうこの隠れた名曲は、音の間に間に切ない感情を優しく溶かし込むような演奏と原田郁子のふわりとした歌声に原曲の素晴らしさとクラムボンらしさが凝縮されている。この曲をはじめとして、聴き手の好みでぐっとくるポイントはそれぞれあるだろうし、気になった曲は原曲にもぜひ当たってみてほしい。そうすることでクラムボンへの理解も深まり、音楽生活を豊かにする新しい音楽との出会いもきっとあるはずだ。

(小野田 雄)

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