サカナクション – 体感したすべての観客を魅了した、チーム・サカナクションの最新エンタテインメント=5月19日@幕張メッセのライブ・レポートをお届け。

サカナクション

6thアルバム『sakanaction』を引っ提げ、3月末よりスタートしたサカナクションの全国ツアー。その終盤、5月18日・19日の2日間で約4万人を動員した幕張メッセ公演の模様をレポートする。つねに驚きという名の刺激的なライブ・パフォーマンスを提供してくれる、彼ら、チーム・サカナクションの最新のエンタテインメントを存分に体感してほしい。

TEXT BY 岡本明 / PHOTOGRAPHY BY 石阪大輔(hatos)

立体的な音響を観客が体験できるというサラウンド・システムを実現

 幕張メッセ2デイズで4万人を動員するライブを行ったサカナクション。3月にリリースされたアルバム『sakanaction』を引っ提げて行われた、全国12都市18公演で8万人もの観客を動員したバンド史上最大規模のツアー“SAKANAQUARIUM 2013 sakanaction”。その中でもここ幕張メッセは、彼らのめざすサウンドとビジョンを最高の形で表現したステージとなった。しかも、今回はドルビーラボラトリーズの協力のもと、会場に228本のスピーカーをセットし、ライブの一部で立体的な音響を観客が体験できるという6.1chサラウンド・システムを実現。幕張メッセ過去最大規模のスピーカー数であり、ドルビーラボラトリーズと協力してライブを行った初の日本人アーティストとなった(幕張、大阪のみの演出)。

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 開演前からSEが会場の壁面を縦横に駆け巡り、最新の音響システムが超満員の観客の期待を煽る。暗転すると同時にスクリーンには様々な生活の場面とその音が交錯し、やがて楽器を鳴らす音が混ざるようになる。水の中を潜ってどこかへ通り抜けていくような映像とサウンドの直後に、突き抜けるようなコーラスが響きわたる。1曲目の「INORI」が始まった。5人は横一列にステージに並んでノートPCの前に立ち、ヘッドホンをして演奏を始める。ミニマルな打ち込みのビートと頭上から降り注ぐようなコーラスの対比が、ステージに強烈な存在感を与える。バックライトに浮かび上がる5人の姿を捉えていると、やがてパワフルなリズムへと移り、岩寺(基晴)がギター、草刈(愛美)がベースに持ち替え、躍動感溢れる「ミュージック」へと連なっていく。山口(一郎)の歌はまぶしい光を放ち、揺るぎない力強さで観客に迫る。そして、通常のバンドのポジションに戻り、「M」でさらに強靭なダンス・ビートを鳴らす。アグレッシブなバンド・サウンドの「アイデンティティ」で会場はさらにヒート・アップし、キャッチーなサビを観客も大合唱。飛び交うレーザー光線、ダンスし続ける2万人。途切れることなく「ルーキー」へと曲が変わり、印象的なメロディと厚みのあるビートと共にとてつもない一体感が生まれ、もうすでにこのライブのピークが訪れたような感覚に陥ってしまう。

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 そして、ここまでほぼ同じBPMでダンサブルな空間を作っていた彼らだが、「multiple exposure」からミディアム・テンポへとゆるやかに変化し、オイルアートをバック・スクリーンに映すサイケな演出などもあり、会場の空気をじわじわと変えていく。さっきまでの硬質な表情を持った曲たちの整然とした並びに比べると、ここからは繊細な感情を漂わせたナンバーが続くことで、観客一人ひとりが曲の世界と正面から向き合えるような流れになっていた。そんなメニューの効果もあって、「mellow」の内省的な歌詞と落ち着いたサウンドがじっくりと染み入ってくる。さらに、岡崎(英美)のピアノと山口の歌が清々しさを感じさせて始まった「ボイル」は、今見えている光景の先にある希望を掴もうとするリアルな姿を感じさせるナンバー。その手ごたえはライブでもしっかりと息づいていた。

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