RIP SLYME SINGLE「ロングバケーション」ディスクレビュー

ロングバケーション

SINGLE

RIP SLYME

ロングバケーション

ワーナーミュージック・ジャパン

2013.05.22 release


そもそもRIPに平日なし

 オリジナル曲のシングルとしては’09年2月「STAIRS」以来、実に4年3ヵ月ぶりのリリースとなる本作。8thアルバム『STAR』からも既に2年以上経過しているわけで、その時間経過を考えればシーンにおける不在感を感じてもおかしくないのだが、RIP SLYMEにはそれがない。近年は各メンバーのソロ活動できっちり存在感を残していたわけだが、ここで興味深いのは個人の存在感がRIP SLYMEの存在感にも等しく還元されていたことだ。

 ソフィスティケートされたダンス・トラックのダイナミズムを追求したDJ FUMIYAも、シティ・ポップ的なサウンド・アプローチでその歌心を全面に解き放ったPESも、THE BEATMOSSという新バンドでロックへの憧憬を示したILMARIも、クラブ発のカジュアルなノリでマイクリレーを楽しんでいるRYO-Zのアスタラビスタもそう。各メンバーのソロ作品や課外活動の音楽的な性格はそれぞれ異なるが、そのどれもがRIP SLYMEを構成する重要な一部であることは明らかだった。だからこそ、作品のリリースからは遠ざかっていても、RIP SLYMEという磁力は顕在である。また、この空白期間は、ここから“40代のRIP SLYME”に向かっていくうえでも有意義なリフレッシュ時間だったと思う。

 そして、「ロングバケーション」というタイトルにニヤリとさせられながら、チルアウトなムードに満ちたこの新曲に触れて再確認するのは、RIP SLYMEというグループの“柔軟なすごみ”である。東海岸の風からキャッチしたパーティ・ラップにおけるマイク・リレーの逸楽を、J-POPの荒波を悠々と泳ぐビート板に昇華してみせた彼らのスタイルは、何ものかに損なわれたり、かすめ取られたり、たわんだりすることなく、どこまでも小粋なまま成熟していることがわかる。

“気取らない エンディングもない ヴァケーションを この永いヴァケーション”というラストのラインは、このグループのアティチュードの骨子でもある。そう、彼らの音楽世界には、そもそも平日という概念が存在しない。サウンド・プロダクトにおいては、2曲目「フラワーチルドレン」も含めてFUMIYAとともに作曲クレジットされているPES的要素の高さに注目してほしい。

(三宅正一)

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