スネオヘアー ALBUM「8」ディスクレビュー

8

ALBUM

スネオヘアー

8

キングレコード

2013.05.22 release

初回限定盤


涙もろい? ミッド・ライフの心情を正直に歌うスネオヘアー

 スネオヘアーは現在42歳か。スガシカオ以上の遅咲きが話題になったメジャー・デビューからもすでに10年を超え、これが通算8枚目。なんて数字を確認してしまったのは、このアルバムに年月の積み重ねを感じたからである。それはテクニックや熟練というよりも、ミッド・ライフの心情が色濃く反映されているという点においてだ。

 冒頭の「ブライトン」こそスネオらしいただならぬムードなのだが、叙情的なメロディが染みるギター・ポップの「slow dance -8ver.-」のあたりからアルバムのトーンはグッと繊細さを増していく。そこでは……例えば「nani o naiteruno」では“顔を上げれば もうこんなに/歩いて来たんだ”、「stay」では“切り替えたい/それだけ いつも/頭の中 再起動ね/ゼロにしたい”、「素直になれそう」では“頑張るのは もういいや/あぁ 本当嫌になっちゃって/全部やめにしようか/そう言えたなら楽なのに”と、まるで彼の本音のような言葉が目いっぱい吐き出されているのだ。しかもこれらの曲ではアコースティックな音色が効果的で、それが優しいメロディによく映えているから、たまらない。間には夏のホロ苦さを照射した「8」、ちょっと快活な「ユニバース」といった曲もあるが、それでも全体を支配しているのは先に挙げたような胸に染みる系の曲であり、言葉だ。そこでは自分(たち)のこれまでを振り返りつつ、行く末を不安にも思いながら、それでもやっていくしかないと決意している内面が見える。しかも主人公は、やや涙もろいようにも感じる。

 そのココロは、ミッド・ライフ──はっきり言えば、中年男子の心模様だ。そう書くとやけにたそがれてるみたいで、生々しく寂しいイメージが広がってしまうし、となるともうちょっと覇気があってもいいんじゃない? と思われたりもするかもしれない、が……おそらくこれが現在のスネオ自身の偽りのない心理なのだと思う。ここは、僕も同じく中年男子としてのシンパシーを大いに抱きながら言わせてもらいたいのだが……若い頃はやんちゃしたり、ムチャしたりトンガったりが許されたことが、大人になるにつれて、そうもいかなくなることが多い。それに人間ってのは生きれば生きるほど何についても決断したり選択したりの数が増えていくわけで、その痕跡はすべてのちのちの責任や義務として残っていくものだ。歳をとるというのは(残念ながら)そういうこと。そして中年世代ってのは、その重荷を強く感じ始める年齢なのである。

 最後はピアノのみの伴奏による「君となら」。大人のラブ・ソングだ。そしてこれには、スネオが近年、新しい生活に入ったというニュースを重ねずにいられない。しんどくても、面倒くさいことだらけでも、ちゃんと生きていくしかない。大切な人がいるのなら、それだけでも幸せなことじゃないか。僕はこの曲を聴きながら、家族3人分のシーツを物干しざおにかけながら、そんなことを思った。

(青木 優)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人