中島美嘉 SINGLE「愛詞(あいことば)」ディスクレビュー

愛詞(あいことば)

SINGLE

中島美嘉

愛詞(あいことば)

Sony Music Associated Records

2013.05.22 release

初回盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


必然の出会いが生んだW中島の愛詞(あいことば)

“奇跡のコラボ”ではあるがその反面、なぜ今まで実現しなかったんだろう? と、不思議に思うほど相性が良く、どこか同じ匂いを持った組み合わせだと思う。楽曲提供した中島みゆきも「イニシャルがどちらもMNで、本名まで漢字1文字違いで、なんと魚座同士」とコメントしているし、曲のタイトルも「愛詞(あいことば)」。出会うべくして出会ったふたりが目に見えない“合言葉”で結びついた。そんな印象を持った。

“ありふれた男と ありふれた女が 群衆の中で 突然の中で 特別な人になる”。そんなフレーズで始まる「愛詞(あいことば)」は、壮大で懐の深いみゆきワールドの真骨頂といえる曲。すべてを内包しながら大きくうねるその大波に抗わず、身を委ねていく中島美嘉の歌声は幼子のように真っ直ぐで素直で驚くほどひたむきだ。元々エモーショナルな歌声を持つ彼女だが今回はさらに心のまま、曲に導かれ溢れ出てきた感情を歌に吹き込み、感極まって声がかすれた部分もあえて音源化しているところに、中島含め制作スタッフの“ここは使わなきゃダメでしょ”的な心意気を感じる。今年1月にリリースされたアルバム『REAL』のインタビューで「できるだけ自分の感情や素を出した」と語っていたが、この曲でさらに一枚殻を脱ぎ捨て、より深い内面=リアルをさらしたのかもしれない。でもその無防備な歌声は厳しさや切なさを帯びたA、Bメロから一転、温かい慈愛に包まれたサビ──“傷ついたあなたへ 傷ついた命へ”“わかる人にしかわからない それでいい愛詞(あいことば)”──に向かって表情を変えていく。伝えたかった言葉に巡り会えたうれしさ、そしてそれを歌える喜び。作家・中島みゆき渾身のフレーズが、シンガー・中島美嘉の底力を揺さぶり自身のリアルを飛び越え曲にこめられた普遍の愛を昇華。両足でしっかりと大地を踏みしめるような、ずっしりと手応えのある確かな感動を呼び起こしてくれるのだ。

「この曲にいちばん癒されてるのは私かもしれません」。
中島はそんなコメントを寄せているが、たぶんこの曲に感動した誰もが同じ想いを抱くと思う。そして“出会ってくれてありがとう”と、W中島の必然の出会いに感謝したくなるはずだ。

(若松正子)

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