CRAZY KEN BAND ALBUM「FLYING SAUCER」ディスクレビュー

FLYING SAUCER

ALBUM

CRAZY KEN BAND

FLYING SAUCER

ユニバーサル シグマ

2013.05.22 release

初回盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


かっこいい”大人の男”になる、たったひとつの冴えたやり方

 横山 剣、52歳。

 いまだ色気たっぷりというか、いよいよ艶が出てきたというか、ほかにはない歳の重ね方をしている人だと思う。

 今年でデビュー15周年を迎えたCRAZY KEN BAND。時代は移り変わったけれど、CRAZY KEN BANDは、横山 剣は変わらない。CKBはずっと一貫して“ダンディズムの体現者”だった。“ちょいワル”なんて言葉が生まれるずっと前から、かっこいい大人とはどういうものかを一貫して示してきたのが彼だった。Facebookが普及する全然前から“イイネ!”なのがCKBだった。

 しかも、そういう一貫した美学を貫きつつ、変わらぬ人気とバラエティ感を保ち続けてきたのが彼らだ。前作アルバム『ITALIAN GARDEN』はキャリア最高位となるオリコン4位を記録。14作目のアルバムとなる今作も、西友のCMソング「地球が一回転する間に」を筆頭にタイアップや話題曲も多い。しかも、収録曲のテイストもかなり幅広い。中華風のイントロからラテンに展開する「円盤 - Flying Saucer -」。ジャジーな高揚感に満ちた「地球が一回転する間に」。ゆったりと染みるようなフィリー・ソウル「ま、いいや」。クラビネットとカッティング・ギターの絡みがおしゃれな「SOUL FOOD」。CKBが提唱してきた「昭和ハンサム」の象徴・小林 旭の名曲をカバーした「宇宙旅行の渡り鳥」。ファンクとソウルとジャズとボサノバとラテンと昭和歌謡が一緒くたになって、CKB流のこってりしたグッド・ミュージックになっている。

 歌詞もすごい。“いやぁ タイってすげえな すげえな すげえな”“タイの誰かと結ばれて 子供を作りたい”と歌う「タイに行きたい」。“多摩川 多摩川 多摩川 渡れば 環状8号=Beltway 8”と歌う「幻灯機 -Magic Lantern-」。横山 剣のこういう突き抜けた言葉のセンスが、彼のいなせな歌声とあいまって、“粋”として結実している。

 ちょっと個人的なことを書くけど、僕は横浜の生まれ育ちで、だからCKBの歌詞に出てくる横浜の情景はすごくリアルに目に浮かぶ。で、CRAZY KEN BANDを知ったのは、彼らがデビューして少したった’00年の頃。そのとき、僕は25歳だった。一回り年上の横山 剣さんは“かっこいい大人”そのものだった。

 で、僕は、来年38歳になる。ふと気付いたら、メジャー・デビューした当時の横山剣さんとほぼ同い年になっていた。改めて自分を振り返る。ああいう大人の色気を身にまとうこと、できただろうか。いいや、まったくもって無理だった!

つくづく実感する。CRAZY KEN BANDは特別だ。

(柴 那典)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人