住所不定無職 SINGLE「One Happy, Two Sad & Three Pretty Things」ディスクレビュー

One Happy, Two Sad & Three Pretty Things

SINGLE

住所不定無職

One Happy, Two Sad & Three Pretty Things

DECKREC/UK.PROJECT

2013.05.15 release

<CD>


憧れにググッと接近した1年半ぶりのシングル

 今年1月、新メンバーに約200人から選抜した℃-want you!<シ・オンチュ>を新メンバーに迎え、4人組になったガールズ・ロックンロール・グループ、住所不定無職が前作から1年半ぶりにリリースした3rdフル・ボリューム・シングル「One Happy, Two Sad & Three Pretty Things」。タイトルの“Pretty”のあとに“Things”が加えられていることからもわかるように’60年代の英米のロック/ポップスからの影響……と言うよりは’60年代の英米のロック/ポップスへの憧れを表現することをモチーフにしながら今回もまた、唯一無二の個性をアピールしている。

 配信限定でリリースした「宇宙のYeah!!!」「ジュリア!ジュリア!ジュリア!!!」「マージービート聴かないで!」の3曲に「シャ!シャ!シャ!シャイン・ア・ライト!!!」、さらには「宇宙のYeah!!!」「ジュリア!ジュリア!ジュリア!」のインストゥルメンタル・バージョンを加えた全6曲を収録。堂島孝平がプロデュースした「宇宙のYeah!!!」は新境地を思わせるデイスコ・ナンバー。ある意味、たどたどしさが魅力ともいえるラップにも挑戦している。ストリングスや“フーウー”“パッシュワリワリ”とコーラスを加え、ゴージャスに作り上げた ロマンチックかつセンチメンタルなラブ・ソングの「ジュリア!ジュリア!ジュリア!!!」は『ペット・サウンズ』の頃のザ・ビーチボーイズを意識したアレンジが、素敵じゃないか。

「マージービート聴かないで!」は実はマージービートっぽさはそんな感じられない、どこかノスタルジックな歌謡ロック(ンロール)。ローリング・ストーンズの曲名をタイトルに使った「シャ!シャ!シャ!シャイン・ア・ライト!!!」はストーンズ風のギター・リフをかき鳴らすロックンロール。この曲も彼女たちらしい歌謡ロックンロール・ナンバーになっている。

 曲の元ネタにいちいち言及するなんて野暮だという声もあるかもしれない。もちろん、そんなことを知らなくたって、住所不定無職のオリジナルとして十二分に楽しめる作品だと思う。しかし、タイトル、歌詞、アレンジ、演奏にあえてヒントが散りばめられていることを考えれば、元ネタと合わせて聴くことで、この作品を聴く楽しみはさらに増すにちがいない。

 憧れを表現しながらも憧れとの絶妙な距離感が魅力だった前作とは逆に憧れにググッと接近した今回の作品は、オリジナル曲による彼女たちなりの’60年代トリビュートといえるかもしれない。2曲のインスト・バージョンを聴けばわかるとおり、かなりウェルメイドな作品にもかかわらず、ある意味、萌え系ともいえる元気いっぱいのボーカルの効果なのか、作品全体がポップにハジけている印象がある。

(山口智男)

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