THE NOVEMBERS – 前作を受けさらなる実験的試みを施したEP「Fourth wall」をリリース。フロントマンである小林祐介(vo、g)が今作の全貌を語る。

THE NOVEMBERS

「GIFT」でアピールした穏やかさから一転、THE NOVEMBERSが半年ぶりにリリースしたEP「Fourth wall」は、轟音で唸るギターが衝撃的なラウドかつダークなポスト・パンク調のロック作品だった。“「GIFT」を作ったからこそ作れた作品”とフロントマンの小林祐介は語る。しかし、「GIFT」と対になる作品でありながら、「GIFT」の反動からさらなる先をめざしたTHE NOVEMBERSのあらたな実験は、衝撃に止まらない大きな感動を生んだ。EPと言うには、あまりにも聴きごたえがある新作についてインタビュー。

INTERVIEW & TEXT BY 山口智男

「GIFT」を作ることでようやく作ることができた別方向の実験

──新作の「Fourth wall」はEPという言葉が不釣合いなほど聴きごたえある作品ですね。アルバム1枚聴いたんじゃないかってくらい聴きごたえがありました。

ありがとうございます。そんなふうに言ってもらえるとうれしいです。

──前作の「GIFT」もすごくチャレンジングな作品でしたけど、今回も別の意味でチャレンジングな作品なんじゃないか、と。前作でアピールしたオーケストラとの共演や穏やかさとか幸福感とかを、たぶんファンはTHE NOVEMBERSの新境地として懸命に受け止めたと思うんですよ。そんなファンを、いい意味で気持ちいいぐらいに裏切る作品ですよね?

そうですね。「GIFT」を聴いてTHE NOVEMBERSってバンドは優しくていいなと思った人はびっくりしますよね、きっと(笑)。ただ、「GIFT」も僕らからすると、実験のひとつだったんですよ。ざっくりした言い方をすると、“ラウドなもの”と“穏やかなもの”、“激しいもの”と“やさしいもの”が共存していたそれまでのTHE NOVEMBERSから、そのどちらかで極端なものを作ろうという。その中で、次はこれとは別の極端さを出したら面白い、それをやってみたいと思ったのが今回の作品を作るきっかけになりました。だから、「GIFT」を作ったからこそ違う方向に振りきれたというか、「GIFT」と同時に「Fourth wall」の曲は作れなかったと思うんですよ。同時に作っていたら、たぶん真ん中でゆらゆらしちゃう気がしたんで、「GIFT」を作ることでようやく作ることができた別方向の実験と言うか。予想は裏切っているけど、期待は裏切らないつもりで作りました。まぁ、ありがちな文句ではあるんですけど。

真顔のまま激しい曲を黙々とやっている

──いやいや、予想を裏切るのは簡単かもしれないけど、期待を裏切らないようにするのはなかなか難しいですよね。今回、最初に出来た曲というと?

最初に曲として仕上がって、作品の方向性を決めるきっかけになったのは2曲目の「dogma」ですね。

──どんなふうに出来上がったんですか?

(ベースの)高松(浩史)君の印象的なフレーズの断片がまず出てきたんですよ。イントロに出てくるベースのフレーズなんですけど。

──あのメチャメチャ歪んでいるのはベースなんですよね?

そうです。あれの断片が出てきたので、その断片のフレーズを鏡合わせにして、もう1回辿る……ひとつのフレーズを今度は逆再生するつもりで2倍の尺にしてひとくくりにするという構造を作って、そこから彼のベースが(楽譜上)あれだけ動くんだから、ギターはあまり動かず、戦車のように1コードで押していこうって考えました。ザ・ビートルズが「ヘルター・スケルター」を作ったときに、どこまでもラウドに、徹底的に容赦なくやってやろうというつもりで作ったらしいんですね。そういう気持ちで僕らも僕らなりに完膚なきまで叩きのめすみたいなものを作ってやろうって。ただ、「GIFT」を作った直後だったせいか、衝動的に何か鉄槌を叩きつけるみたいな、そういう気持ちはあったんですけど、全然長続きしなくて(笑)。

──あ、ああ。そうだったんだ(笑)。

すぐに萎んでしまったというか、飽きちゃったんですよ(笑)。何かを叩きつけようというモチベーションだけだと、曲を作れないんだな、と自分は思いました。

──ああ。

ロックって衝動は衝動でも初期衝動が尊ばれるけど、僕はすでに初期衝動はCDデビュー前に使い果たしてしまったので(笑)、初期衝動ですらないんですけど、きっかけは衝動だったにもかかわらず、曲を作り上げているときはものすごく冷静だったというか、真顔のまま激しい曲を黙々とやっているというか、それがすごみのある方向に変わっていたというのが個人的な印象で。だからこの「dogma」ってテンションが高い僕と、極端にテンションが低い僕が同時に最初から最後まで歌い続けているという面白い曲になっています。どっち(のボーカル)をメインするかってことをエンジニアさんと話し合ったとき、やっぱりテンション低いほうでしょってことになって(笑)、テンションを上げて歌っている僕はものすごく奥にいて、耳元で囁くようにテンションの低い僕がボソボソ歌っているという、もう構造的には完全に破綻しているんですけど、そこが自分の中で面白い実験でしたね。

──つまり穏やかな「GIFT」の次だから今度は単純にラウドなギター・ロックです、というわけではないんですね?

そうですね。フォーマット的にラウドな部分はあるんですけど、真顔なぶん怖い作品になったと思います。怒った顔ってそんなに怖くないって、僕、思うんですよ。怒っている人を見ると、どちらかというと、面白くなっちゃうんですよね。それよりも真顔で淡々と言われているときのほうがすご味とか説得力とかがある。「dogma」のPVに出てくる人たちも真顔じゃないですか。あれもすごく面白いですよね。

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