藍坊主 MINI ALBUM「ブルーメリー」ディスクレビュー

ブルーメリー

MINI ALBUM

藍坊主

ブルーメリー

トイズファクトリー

2013.05.15 release


果てしなく豊かに、いつまでも青く

 結成は’99年と歴史は長いが、意外にも初めてだというミニ・アルバム。今の彼らの濃厚なところが、7曲にぎゅっと凝縮されている。バンドの起爆剤といえる藤森真一(B)のポップ・センスが炸裂した「音楽室から見た虹」で、ライブを想像させるような幕を開けたかと思えば、“雨意裸裸歩和裸 THUNDER 裸列怖畏”と漢字だらけの歌詞を流麗にメロディにのせた、hozzy(vo)のアーティスティックな本領発揮の「サンダー」と続く冒頭は、ふたりのソング・ライターの個性が対比できる。

 しかし、今作の面白さは、そこに留まらない。すべての楽曲において、においや温度が伝わってくるような臨場感があるのだ。バンド・サウンド以外の音色も積極的に取り入れながら、サウンド・トラックのようにイメージを想起させていく。なかでも、たっぷりとしたイントロを経てから、雄大な歌を書き、そして信号音のようなアウトロで終わっていく「夜の工場」と、それと続くように、SEを挟んで始まる「彼女を修理」の流れは顕著。そもそも彼らは、グッド・メロディを武器にしたストレートなバンドのように見えて、奥にはアイデアの宝箱を抱えてきた。こういった方法では、それがとても伝わりやすいと思う。

 そして、それらの豊潤な表現を展開しながら、最後に収められているのが、すべての枝葉を削ぎ落とした「ハッピーリバースデー」というところも、物語性が感じられていい。これは、彼らの歴史の中に深く刻まれる名曲だと思う。タイトルからも感じとれるが、生きることにつまづいたときに、自分自身に突きつけるべき言葉の数々が、強い言い回しと切ないメロディで歌われている。特に、“可能性を隠した包装紙を あけてみたら ただ鏡が入っていた”というところは、珠玉のフレーズだと思う。バンド名に掲げられているとおり、青臭いところから始まった彼らは、成長を遂げながらも、その青臭さを大切に、大切に温め続けている。だから彼らは、いつまでもキラキラしているんだろう。様々な角度から、彼らの真価がわかる一枚だ。

(高橋美穂)

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