つづくバンド – “街”に生きる誰かの10の私小説。1stアルバム「眠らぬ街」でフロントマン都筑祥吾が描き出す世界とは。

つづくバンド

都筑祥吾(vo、g)が率いる“つづくバンド”から1stフル・アルバム『眠らぬ街』が届けられた。ミニ・アルバム『始まりの群像』(’12年8月)のリリース後に書かれた楽曲を中心とした本作のテーマは、“街”。夢、絶望、怒り、悲しみ、諦め──ありとあらゆる感情が渦巻く街のなかで生きる人々を描いたこのアルバムによって、都筑のソング・ライティングは飛躍的な広がりを獲得したと言っていい。さらに特筆すべきは「ドリーミンドリーミン」「僕らの夜明け」など、どこかにあるはずの光を感じさせる楽曲が増えたこと。破壊衝動に身を任すだけではなく、自分の中にある希望にもしっかり目を向けることで、このバンドは大きく前進することになるだろう。
噂どおり(?)の小さな声で、しかし、しっかりと自分の意思を話してくれた都筑。本当に大きな可能性を持った21歳だと思う。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之

不安はなかったです

——記念すべき1stフル・アルバムが完成しました。まず、都筑さん自身の手ごたえを教えてもらえますか?

手ごたえ……。手ごたえはないですね、まだ。でも、前のミニ・アルバム(1stミニ・アルバム『始まりの群像』)に比べれば、自分のやりたいことにちょっとは近づけたかなとは思いますけど。

——「こういうアルバムにしたい」というビジョンがあった?

そうですね。アルバム単位でもそうだし、曲を作るときも“こういう感じにしたい”というのがあるので。そう簡単にはいかないですけど、でも、できるだけ自分のイメージするものに近づけたいと思うので。

——『始まりの群像』のレコーディング後にベーシストが脱退したそうですが、不安はなかったですか?

うーん……。でも、不安はなかったですね。最初は(新メンバーを)探そうと思ったんですけど、いい機会なので、UK.PROJECTの大先輩のベーシストの方々と一緒にやってもらって。ライブではケンタロウさん(bazra)に弾いてもらってるんですが、今回のレコーディングにはあとふたりの方(tatsu/L Ä -PPISCH、キタダマキ/元Syrup 16g)にも参加してもらったんです。技術的なこともレコーディングの知識もすごい人たちだから、吸収できることは吸収して……。で、そのうち“この人とやりたいな”と思えるベースと会えればいいな、くらいの感じですね。

──逆境に前向きですね、すごく。今回のレコーディングであらたに吸収したことというと……?

まず、すごくうまいですよね、やっぱり。あとは自分がレコーディングの中で曲を消化していくにあたって、ポンと言われた何気ない言葉に、あとになって“あ、そういうことか”って気づくというか。レコーディングのときって、気持ち的には結構緊張感があったり、切羽詰ってたりするので、必死になって目の前のことをやってるというか。そういうときに言われた言葉が、あとになって……

──意味を持つというか。どんな言葉が心に残ってますか?

うーん……それは覚えてないんですけど(笑)。でも、すごく勉強になりました。

──(笑)。今回はすべて一発録りによるレコーディングだったそうですね。生々しいサウンドと都筑さんの声がすごく合ってると思います。

まあ、直したいところもたくさんあるんですけどね。それを全部直してたら、永遠に時間がかかっちゃうので……。(レコーディング中に)最初は考えてなかったアレンジとかも出てきたりしますからね。

どこか他人事みたいだったんですよね、レコーディングが終わるまでは

——では、収録曲について聞きたいと思います。アルバムの中で、いちばん古い曲はどれですか?

「105号室」が、たぶんいちばん古いと思います。

——新しい部屋に引っ越しするときの心境が描かれてますが、まさにこういう状況だった?

そうですね。八王子から引っ越すときに書いた曲なので。たぶん、ミニ・アルバムを録るちょっと前くらいには原型があった。気持ち的に落ち着かないというか、CDを出すってことに実感がわかないというか……そういう感じだったと思います。

——でも、CDをリリースすることはひとつの目標だったわけですよね?

目標といえば目標だし、それがイヤだっていうわけではないんですけどね。うれしいし、不安だし、心配だしっていう。どこか他人事みたいだったんですよね、レコーディングが終わるまでは。

——今回のレコーディングは、また違った感覚でした?

そうですね。前のミニ・アルバムのときは、名刺代わりにってことで、そのときにあった曲をレコーディングしたんです。今回はアルバムに向けて曲を書いたので、そういうところでは、ちょっと気持ちの持ち方が違っていたかもしれないです。

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