SISTERJET SINGLE「3-1=2 / No Limit e.p.」ディスクレビュー

3-1=2 No Limit e.p.

SINGLE

SISTERJET

3-1=2 / No Limit e.p.

felicity

2013.05.01 release

<CD>


新生SISTERJET、誕生!

 ギターとドラムのふたり編成になって以前とは音の感触が変わったことと、正直言ってそのポテンシャルのわりには認知度がずっと低かったことを鑑みると、「これがデビュー作だと思って聴いてくれ」という薦め方をしたほうがいいだろう。1曲目「リバティーシティ・マシンガン」のイントロから、一瞬モノラルかと思うほどセンターにギュッと詰め込まれた音のカタマリがぶっ飛んで来て、心機一転これが勝負作だという気持ちがビンビン伝わるものすごい音が鳴っている。こいつはダーティー&ワイルドなブギー・スタイルと言うべきか、ドラムがドカドカずっと鳴り続ける原始的なロックンロールで、と思えば中間部に突如やけにロマンチックなメロディが挿入されたり、コーラスがやたらと綺麗だったり、「なんか古い」「でも新しい」「なんかヘン」「だけどカッコいい」という、新生SISTERJETらしさ全開の名刺曲だ。
  その次の「ミルクとガソリンソング」はダンス・ビートを、「あたまのビス」はアタマ打ちのソウルフルなビートを、「FAKE L.A.」はエルヴィス・プレスリーまでさかのぼるようなオールド・タイプの8ビートで、「MY SWEET KILLER BEE」は豪快なスライド・ギターがサイケデリックなメロディ・ラインをなぞる、アシッド・フォーク感のある不思議な曲。それぞれアプローチは異なるが、ベースがいないためにギターがリズムに徹する曲が多く、結果的にリズムとリフとメロディが徒党を組んで突進してくるような、ダイナミックなサウンドが出来上がったのは偶然ではなく意図的だろう。
 メロディ? それはもちろんUKロックの歴史をちゃんと聴き込んできたであろうメンバーだけあって、ザ・ビートルズからU2、オアシス、アークティック・モンキーズなど現代に至るまでの、大衆的でありながらどこか上品で、スタイリッシュでありながら人なつっこいという、「良いメロディのツボ」をしっかり押さえたものばかり。ただこのアルバムに関しては、メロディの要素はそれほど大きくはなく、歌と音が一体になった勢いを理屈抜きで楽しむべきだろう。「FAKE L.A.」みたいな原始的ロックンロールとポップなメロディとの融合を、’13年にやってしまおうという姿勢だけで十分胸熱なのだから。ライブではサポートを入れるのかな? 行けるところまで、ふたりだけで突き進んでほしいのだが。

(宮本英夫)

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