ストレイテナー ALBUM「21st CENTURY ROCK BAND」ディスクレビュー

21st CENTURY ROCK BAND

ALBUM

ストレイテナー

21st CENTURY ROCK BAND

EMI Recoords Japan

2013.05.01 release

10th Anniversary Edition/写真 <CD+2DVD>
通常盤 <CD>


21世紀の日本のロック・バンド代表

 せっかくなんで、今日は思い出話から。
 僕がストレイテナーのホリエアツシに初めて取材したのは10年以上前のこと。ちょうどこのベスト盤の1曲目に収録されている「ROCKSTEADY」を含むミニ・アルバム『SKELETONIZED』がインディーズでリリースされた頃のことだ。その時に僕はこう書いていた。
「リフの疾走感とメロディーの高揚感だけを叩きつけてさっさと終わる、そのあまりの潔さと飾りのないメロディの良さに惹きつけられてしまった」
 あの曲を初めて聴いた時の直感、身体の底がうずくような興奮は間違ってなかったと、今でも思っている。たったふたりで下北沢の小さなライブハウスのステージに立っていたストレイテナー。あそこにあったのは、まだ小さな、しかし確かな熱を帯びた青い炎だった。そこからメジャー・デビューを果たし、日向秀和が、そして大山純が加入し、7枚のアルバムをリリースした10年間。核心にあるものは一切変えず、バンドの骨格は格段に逞しく、表現できることの幅はどんどん広がっていった。ベスト盤のタイトルは“21世紀のロック・バンド”。半分は洒落っ気だろうけれど、半分は大真面目だろう。今の時代の日本のロック・バンド代表として、名乗りを上げたということだ。
 選曲は、とてもシンプル。「Melodic Storm」や「SIX DAY WONDER」や「Man-like Creatures」など、基本的にはこれまでにリリースしてきたシングル曲を中心にセレクト。「REMINDER」や「VANISH」や「シンクロ」という、ミニ・アルバムやセルフ・カバー・アルバムのリード曲を加え、発表順に並べている。
 言ってしまえば、ストレイテナーというのは“誰もが知ってるヒット・ソング”のようなものは作ってこなかったバンドだ。テレビやCMや街でがんがん流れて消費されて時代の象徴になるような曲ではなく、ライブハウスのステージで信頼を勝ち取る曲を作ってきた。そして、過去の曲もライブの場で何度も育てなおし、セルフ・カバー・アルバムのような作品もリリースしてきた。だからかもしれないけれど、聴いていると不思議と“懐かしい”という感覚は薄れてくる。「ROCKSTEADY」も「羊の群れは丘を登る」も、10年の時の隔たりはあれど、どちらも“今”の曲として届くような感覚がある。
 そういうバンドが、なかば本気で“21世紀のロック・バンド”を名乗ることが、なんだか誇らしい。

(柴 那典)

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