在日ファンク ALBUM「はじめての在日ファンク・アワー LIVE in SHIBUYA」ディスクレビュー

はじめての在日ファンク・アワー LIVE in SHIBUYA

ALBUM

在日ファンク

はじめての在日ファンク・アワー LIVE in SHIBUYA

P-VINE RECORDS

2013.05.02 release

<CD+DVD>


度肝を抜かれるライブ・ショー

 一体なんだろうこの愛らしい生き物は。JB(ジェームス・ブラウン)ばりの華麗なステップ、MJ(マイケル・ジャクソン)譲りのトリッキーなダンス、くるくる回って華麗なマイク・スタンドさばき、見事な180度開脚などなど。CDで音に浸るのもいいが、DVDで見るとその動きの質の高さに思わず笑いながらも度肝を抜かれる、小さな巨人。浜野謙太率いる在日ファンクのライブ・ショー「在日ファンク・アワー2013」を収録したCD+DVDの2枚組は、すでにSHIBUYA-AXを満員にするほどの熱狂的なサポーターをさらに増殖させるであろう、決定版となりうる作品だ。
 ホーン・セクションを加えた大所帯で、エンターテインメント性に富んだソウル/ファンク・ショーをやりたいというグループは、アマチュアを含めて全国にたくさんいるはずだ。が、メジャー・シーンで言うとその数は少なく、しいて挙げるならCRAZY KEN BANDがいるが、CKBがジャンルを超えた幅広い音楽性を自在に表現するための帰結としてのメンバー編成だとすれば、在日ファンクはJBスタイルのファンク・バンドという枠を決めた中でどれだけ面白いことがやれるか? という発想で、音楽性の絞り込みがソリッドなぶん、誰にもわかりやすく入りやすい敷居の低さがある。それを加速させるのが“愛らしい小動物”のハマケンで、歌そのものは素晴らしく巧いとは言いがたいが、それを補って余りあるセンスの良さで、見る者聴く者を否応なく笑顔にさせてくれる。
 ソウル/ファンクの基礎をばっちり押さえたシンプルでタイトな演奏に乗せ、語呂合わせから意表を突く言葉遊びへと発展してゆく「きず」「はやりやまい」。神社での「二礼ニ拍手一礼」の作法をリズムに乗せた「京都」。言葉遊びかと思って楽しく聴いていたら、どんどん深い方向に引きずりこまれてあっと驚く「環八ファンク」「城」など、音楽性の枠組が決まっているからこそできる一芸の深み。要は入りやすくて奥が深いという、言うは易し行うは難しの音楽を鮮やかにやってのける、在日ファンクの魅力を紐解くには最適の作品がここにある。

(宮本英夫)

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