クリープハイプ – ニュー・シングルは「アネッサ2013」のCMタイアップ・ソング。その「憂、燦々」について尾崎世界観が語った。

クリープハイプ

シングル「社会の窓」で攻撃的なメッセージを突き付けてきた彼らの次の一手は、すでにオンエア中の資生堂「アネッサ2013」CMタイアップ・ソング。尾崎世界観が生みだす日常の目線の音楽世界が、広大なフィールドと対峙したとき、いったいどんな変化を見せたのか?

INTERVIEW & TEXT BY 河口義一 (WHAT’s IN? WEB)

 

「憂、燦々」を作ったあとに「社会の窓」を作ったんです。

——クリープハイプ史上、もっとも抜け感のあるキャッチーな名曲だと思うけど、この「憂、燦々」を作って尾崎くん的には達成感ってありました?

この曲はすごく制限があって苦労しながら作ったんですけど、達成感というよりなかなか自分の子供と思えなくてモヤモヤしてたんです。それに実は作ったのが去年の9月だったんですけど、リリースは今年の5月と決まっていて。そうすると昨年10月にリリースした1stシングル(「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」)からも間が開き過ぎだから、その間に一枚やりたいことやろうと思って。それで「憂、燦々」を作ったあとに「社会の窓」を作ったんです。

——そうなんだ。

CMのタイアップをやるってニュースが出ても、今まで聴いてくれていた人がそれを受け入れられるような、逆にこのタイアップから知った人が過去の曲をさかのぼってみたら衝撃を与えられるような、そんな過剰な曲を作ろう思ったんですよ。だからどちらかというと気になっていたのは「社会の窓」の反応でしたね。具体的に“オリコン”とかを歌詞に入れてしまっている以上、そこでコけて、言い分けっぽく“次のタイアップが勝負だから!”とは、絶対に言いたくなかったし。

——その「社会の窓」は、手ごたえが十分に感じられましたよね。

ちゃんとトップ10に入ったときにすごくうれしくて。だから今は清々しい気持ちで「憂、燦々」のリリースを迎えられます。もちろんこの曲が「社会の窓」より売れなかったりしたら、そのときは悔しかったりするんでしょうけど、今はそんな不安はないですね。自信のほうが強いです。

歌詞の指定を聞いて、目の前が真っ暗になって

——ところで尾崎くんの中で、CMタイアップというものはどう捉えていたの?

すごくやりたいと思っていたし、客観的に見てクリープハイプみたいなバンドにタイアップの話がきたら、それだけで面白いなって。

——でも意地悪な言い方すると、“オリコン初登場7位”よりタイアップの方が “終わった”って言われるかもしれない。そういうことに対する不安はなかった?

それはないですね。絶対、そういう意見はあると思ったけど、そういうヤツをいい曲を作って黙らしていこうって。それが「社会の窓」を作ったってことでもあったし、黙らせることはちゃんとやれてるなって。でも、曲作り自体は苦労しました。資生堂さんから指定された「ゆうさんさん」って言葉がなかなか消化できなくて。

——ハードル高いよね。「ゆうさんさん」ってフレーズは。

しかも最初は英語だったんですよ。あなたのYouに太陽のSun。この言葉をどうするかっていうのは、すごい迷って……。実は元々1曲、作ってたんですよ。資生堂さんと最初の打ち合わせをする前に。

——それは「アネッサ」を意識して?

そうです。すごくいい曲だったんで、“もう決まったな”と思って。俺って(タイアップの曲作りに)向いてるな、とかちょっと思ってたんですよ。これはバンドを解散してもCMで食ってけるぞと(笑)。そうしたら、打ち合わせで歌詞の指定を聞いて、目の前が真っ暗になって。家に帰って半分泣きそうになりながら、その曲に“ゆうさんさん”って言葉を当てはめてみるんですけど、まったく合わなくて。でも、ずっとその曲を引きずってましたね。自分の中でこれだって一回決めてしまったものだったから。しかも曲がダメだったんじゃなくて、言葉でダメになったっていうのが納得できなくて。

──ちなみにその楽曲は、「アネッサ」の何を意識して出来た曲なの?

単純に、いい曲。テレビから流れてキャッチーに聴こえるような。でも今思うと浅かったのかも。自分が見てたCMがこんな感じだったってイメージで……。もしかしたらそんな気持ちが多少なりとも伝わったのかも。今となっては良かったと思っているんですけどね。

——そんな単純なものではなかったと。

話しをしてみて気付いたのは、15秒っていう、バンドの演奏にしたらイントロにも満たないような時間で、ひとつの作品を作ってる人たちがいるっていうこと。前から、アルバム1枚で小説1冊や映画1本ではなくて、アルバムが10曲入りだとしたら、小説10冊分、映画10本分って気持ちでやってるって言ってたんですけど、考えたらCMの人たちはその1/10位の時間で同じことをやったりするわけじゃないですか。そこに入ってやっていくってのはすごく難しいと思ったし、でもやりがいのあることだと思いました。言葉に関しても、今までの周りくどい自分の得意の表現は極力捨てて、短時間で届くっていうのを意識しましたね。

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