SEKAI NO OWARI SINGLE「RPG」ディスクレビュー

RPG

SINGLE

SEKAI NO OWARI

RPG

トイズファクトリー

2013.05.01 release

初回限定盤A/写真 <2CD>
初回限定盤B <CD+DVD>
通常盤 <CD>


SEKAI NO OWARIが歌う、願い

 SEKAI NO OWARIのニュー・シングル「RPG」を最初に聴いたのは、彼らにとって初のアリーナ・ツアーとなる“TOUR ENTERTAINMENT”の最終日(’12年2月23日/国立代々木第一体育館)だった。高らかに響くマーティング・バンド風のサウンド、聴いたそばから口ずさみたくなるようなメロディ、そして、“僕らはもう一人じゃない”という前向きなリリック。シングルとしては「眠り姫」(’12年5月)以来となるわけだが、この1年の間に得てきたセンスとテクニック、より多くのリスナーに届くポップ感覚がしっかり反映されていて、これはもう間違いなくヒットするだろうなーーと、そんなふうに思った。つまり、“セカオワをさらなるブレイクに導くポップ・チューン”と理解したわけだが、後日、メンバーにじっくり話を聞いてみると、その印象はこの曲のひとつの側面にすぎないことがわかってきた。端的に言うと「RPG」は“わかりやすくポップ”というだけの曲ではない、ということだ。
「RPG」の歌詞はFukaseとSaoriの共作なのだが、どちらかというとSaoriの感情が強く反映されているという。当時Saoriは「バンドを辞めたい」と思い、メンバーと距離を置こうとしてた。結局、Fukaseに説得されてバンドに戻るのだが、その直後に歌詞を書いたという「RPG」には当然、そのときの状況や思いが率直に反映されることになる。そう、“僕らはもう一人じゃない”というラインには“本当にそうなったらいいな”という彼女の願いが含まれているのだ。平和と戦争、天使と悪魔、生と死。相反する価値観を同時に表現することで、人間と世界の本質を真っ直ぐに射抜いてきたSEKAI NO OWARI。そのスタンスはメジャー・シーンのど真ん中に進んでも、なんら変わることころがない。
 もうひとつ、Nakajinを中心にして進められるサウンド・メイクにも触れておきたい。特に印象に残るのは、突如として雰囲気が変わる間奏。オーケストラ・サウンドを大胆に取り入れ、ドラマチックな展開を見せるこのパートからは、“定番のスタイルに拘らず、自由なクリエイティビティを続けていきたい”という彼らの意思がはっきりと伝わってくる。メンバーは常々「変わらないために、変わっていきたい」という趣旨の発言をするのだが、この曲はそんな彼らの姿勢がダイレクトに表出していると言っていいだろう。
 圧倒的なポップネスを体現しつつ、やりたいことをやり続けるというアグレッシブな意志もしっかりと込められた「RPG」。セカオワの絶好調ぶりが伝わる、充実のシングルだと思う。

(森 朋之)

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