a flood of circle SINGLE「Dancing Zombiez」ディスクレビュー

Dancing Zombiez

SINGLE

a flood of circle

Dancing Zombiez

テイチクエンタテインメント

2013.04.24 release

<CD>


正真正銘のロックンロール

 それぞれにタイプの違う4曲が彼らの表現の幅広さを改めて印象づけるa flood of circle(以下AFOC)のニュー・シングル。
 オープニングを飾るタイトル・ナンバーは、新境地を思わせるサーフ・ロック調の軽快なロックンロール。たぶんハート・ブレイク・ソングだと思うのだが、恋に破れた恨みと、それでもあきらめきれない想いをゾンビに例え、そのゾンビが──歌詞にあるようにマイケル・ジャクソンの「スリラー」のミュージック・ビデオのようによろしくやけっぱちになって踊りだすというストーリーがポップだ。ストレートじゃないユーモア・センスが彼ららしい。
ジョーン・ジェットのバージョンがよく知られているアロウズの「アイ・ラヴ・ロックンロール」を、佐々木亮介(vo、 g)が日本語の歌詞をつけ、カバーし2曲目。その聴きどころは、サビの歌詞だろう。敢えて原曲とは全然違うオリジナルの歌詞をつけ、ロックンロールに向かう自らのアティチュードを歌ったところに、改めてこのロックンロール・クラシックをカバーした意義がある。
 ロックンロールはアティチュードの音楽だ。今年1月、イギリスからやってきたザ・ヴァクシーンズのサポートを、AFOCが務めたとき、「俺たち、前座だからとか関係ねえから」といきなり佐々木は言い放った。ヘッド・ライナーのバンドやそのファンに対しておもねるようなことを言うバンドが少なくない中、精一杯の突っ張りとともに日本のロックンロール・バンドの意地を見せつけたその姿に思わず心の中で快哉を叫んだ。AFOCによるロックンロール熱愛宣言。バンドの個性を打ち出そうなどと小賢しいことを考えずに真正面から取り組んだ演奏が歌詞に込めた想いを際立たせている。
「俺はお前の噛ませ犬じゃない」はAFOCらしいブルース・ロック・ナンバー。映画「ロッキー」をモチーフにやけくそな気分を歌った正真正銘のブルース。ブルースにも若干のロマンは必要だ。
そして、ブルース・ハープのむせび泣きで始まるバラードの「月面のプール」がこの聴きごたえ満点のシングルを締めくくる。ふとした拍子に曝け出した弱さも含め、AFOCということなのだろう。ストリングスを加えたドラマチックなアレンジが胸を打つ。そのチャンスがあるならぜひライブで聴いてみたい。
 曲調はそれぞれに異なるものの、4曲に共通している歌詞の赤裸々とも言える心情表現が妙に心に残る。

(山口智男)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人