The SALOVERS SINGLE「床には君のカーディガン」ディスクレビュー

床には君のカーディガン

SINGLE

The SALOVERS

床には君のカーディガン

EMI Records Japan

2013.04.03 release

<CD>


The SALOVERSの第2章がはじまる

 青春ていいなあ! と身も蓋もなく叫びたくなる。The SALOVERS会心の新シングル「床には君のカーディガン」には、この4月5日に22歳になった古舘佑太郎(vo、g)の青春が詰め込まれ、愛にまつわる永遠の謎が描き出されているからだ。愛とは感情なのか行為なのかと、わかってるはずのことなのに自問したり問いただされたり悶々としたり喧嘩したり、でもちょっとでも離れると不安になったり、よくないと思っても離れられなかったり。まあ書き連ねればキリがない堂々巡りが青春てものだろう。世のラブ・ソングの大半は都合のいいところだけを綺麗に歌ってたりするわけだが、古舘は混沌とする思いをそのままに爽やかな歌にした。
 キモチとカラダの反応が、制御不能でギクシャクしてたりする男子にとって、そこを女子に突っ込まれるのはいちばん困るところだ。けれどもそうなんだからしょうがない。だからずっと話していたかったり、ふと優しい言葉が出てくるときもあるわけで、そうやって自分を探って行くのが大事なんだな、きっと。この詞の誕生秘話を聞いてみたいものだ。
 そんな曲がリード・トラックになったこのシングルは、昨年9月に『珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-』でメジャー・デビューしたばかりの4人組が、もう次の段階に進んでいるのかと思わせる手ごたえ。NUMBER GIRLへの愛と憧れに溢れまくっていたインディーズ時代を経て、着実に前進している最中だ。おそらくこの曲は、古舘の“向井秀徳越え”第一歩かもしれない。向井も微妙な女性への感情をドライな観点で描くのがうまいが、古舘も彼ならではの視点と表現を模索しているようだ。カップリングの「春のサリー ~神社に寄ろう~」は、もう少しさっぱりした失恋ソングだが、この純粋さがあるからこそ青春は悶々とするわけで、表裏一体の2曲がトキメキを表している。もう1曲の「不景気脱出大作戦」は社会への視線を率直に表した曲だが、後半は男子らしいおふざけで盛り上げる。真面目なこと言っちゃった照れ隠しみたいなものかと思うが、そんなところも今の彼らならでは。いしわたり淳治のプロデュースは、素直な言葉と音を彼らから引き出している。The SALOVERSの第2章は面白くなりそうだ。

(今井智子)

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