スガ シカオ SINGLE「アイタイ」ディスクレビュー

アイタイ

SINGLE

スガ シカオ

アイタイ

ビクターエンタテインメント/SPEEDSTAR RECORDS

2013.04.10 release

初回盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


スガ シカオの才能が爆発した

 これはヤバイ。まじでヤバイ。ダブ・ステップをさらに深く重くしたようなヘビーなダンス・トラックに、イスラム音楽風の謎の女性コーラスのサンプリング。なまめかしいバイオリンや明滅するシンセ音が不穏な叫びを上げる合間を縫って、極上にセンチメンタルなメロディと、性と愛の本能を女言葉で描く大胆な歌詞。それぞれのパーツはこれまでのスガ・ワールドに存在していたものだが、それを全部まとめて解放したところにこの曲のすごさがある。もう一度言う。この曲はほんとにヤバイ。
 思えば’11年に所属事務所を独立して以降のスガ シカオは、何かに吹っきれたかのように、ある種実験的な創作モードへと突入していった。配信リリースされた「Re:you」は、エレクトロ・ファンクと生バンドのグルーヴを掛け合せた強烈な一発だったし、「Festival」もダブ・ステップにインスパイアされたとおぼしきトラックに、持ち前のメロウなメロディを乗せるという、彼にしかできない異様なオリジナリティを持つ力作だった。この2曲が、完全ノン・プロモーションにも関わらずダウンロード・チャートで好成績を収めたことに自信を得、2年2ヵ月振りのCDシングルでも過激な創作モードをさらに推し進めたのが、この「アイタイ」というわけだ。
 それにしても。彼の中にマッド・サイエンティストの素養があることは知ってはいたが、ここまで音のパーツにマッドネスを感じる楽曲は初めてだ。イヤホンを耳に突っ込んで深く聴き入ると怖さすら感じる曲だが、そこにEDMの手法、ファンクのグルーヴ、日本人らしい美しいメロディ感覚、肉感的なラブ・ソングの要素を放り込んで見事にポップ・ソングとして成立させる、スガ シカオの天才が浮かび上がってくる。
 この曲がチャートの上位に入って多くのリスナーの心をノックアウトするならば、現在のポップ/ロック・シーンのひとつのエポックになるかもしれない。「アイタイ」は、そう思えるほどに計り知れぬ秘力を持った曲だ。

(宮本英夫)

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