
ALBUM
やくしまるえつこ
RADIO ONSEN EUTOPIA
commmons × みらいレコーズ(特別限定盤)/ みらいレコーズ(通常盤)
2013.04.10 release
特別限定盤/写真 <CD+カセットテープ>
通常盤 <CD>
シンガー・やくしまるえつこを知る
相対性理論、やくしまるえつことd.v.d.をはじめとする数多くのプロジェクト、山下智久(「愛、テキサス」)、ももいろクローバーZ(「Z女戦争」)への楽曲提供、CM音楽の制作、ナレーター、詩の朗読、ドローイング&ペインティングなど、音楽・アートを中心に多彩な才能を発揮、今や日本を代表するアーティスト/クリエイターとなったやくしまるえつこ。こうなると「興味はあるけど何から手をつければいいか……」みたいな状態になっている人も多いと思いますが(または“何だかアート志向が高すぎて、手を出しづらい”と躊躇してる人とか)、そんな方におススメなのが本作『RADIO ONSEN EUTOPIA』です。
このアルバムは昨年12月25日、NHK-FMで放送された「やくしまるえつこ“みんなのクリスマスセッション”」のスペシャル・セッション音源(+未放送音源)を収録した作品。収められているのは、NHK「みんなのうた」の歴代曲とやくしまるの楽曲。昨年、「みんなのうた」でオンエアされて話題を集めたやくしまるの「ヤミヤミ」をはじめ、「恋するニワトリ」(’85年 作詞・作曲・歌唱/谷山浩子)、「ラジャ・マハラジャ—」(’85年 作詞/福田三月子、作曲/吉川洋一郎、歌唱/戸川 純)、「メトロポリタン美術館」(’84年 作詞・作曲・歌唱/大貫妙子)といった名曲を、相対性理論のメンバー(永井聖一/g、吉田匡/b、itoken/ds、per、山口元輝/ds、per)、大友良英(g)、木暮晋也(g)といった凄腕のミュージシャンとともに演奏しています。とにかく“みんなのうた”なので、子供から大人まで楽しめるサウンドに仕上がっていますし、まず何よりもやくしまるのボーカルが本当に素晴らしい。純度の高いピュアネスと得体のしれない業(ごう)のようなものが共存する歌声は、音楽の趣味とかジャンルを軽々と超え、聴く者をグッと引きつける魅惑を備えているのでした。考えてみれば相対性理論が登場したときも、楽曲の驚異的なクオリティとともに彼女の声に多くの音楽ファンが惹きつけられたわけで、そういう意味でこのアルバムは、“シンガー・やくしまるえつこ”の魅力を改めてアピールする作品と言えるかもしれません。ひとつ欲を言えば、坂本龍一が編曲した「コンピューターおばあちゃん」(’81年)も聴きたかったです。
(森 朋之)