【動画アリ】蓄積したものが自然と形になっていった、Salyuの最新アルバム

【動画アリ】蓄積したものが自然と形になっていった、Salyuの最新アルバム

Salyu

約3年振りのSalyuの新作アルバム、より正確に言えば、Salyuと小林武史とのユニットで制作された『Android & Human Being』。それぞれの多様な活動を縦糸に、時代に即した音作りを横糸に、紡ぎ出された全12曲は、これまでの作品をすべて上回るカラフルな娯楽性を持ちつつ、ずっしりとした後味の残る、重厚な作品になった。機械と人間。デジタルとアナログ。生と死。散りばめられた様々なテーマの中から、沸々と湧き上がる激しい生命力。繰り返し、繰り返し聴きたい、壮大なスケールのアルバムだ。

INTERVIEW & TEXT BY 宮本英夫


特にデジタルというものが色濃く反映された

──制作期間何年というよりは、いろんな時期のものがゆっくりと形になっていったアルバムだなと思いましたね。

Salyu そうですね。『Android & Human Being』というコンセプトを目指して、2年間進んできたわけではないので。私も小林(武史)さんも、自分の好奇心に従い、様々なプロジェクトや、そのなかで得る縁やインスパイアを蓄積して、何が出るかな? と思ったらこうなったということじゃないですかね。そこで、特にデジタルというものが色濃く反映されたのが、今回のコンセプトだったのかなということだと思います。

──いわゆるEDMと呼ばれるような音も、大胆に入ってます。2曲目「非常階段の下」とか。

Salyu これは最初、もっとブルージーな感じだったの。でも、もっとクールにやったほうがいいと思ったから、この曲だけ、小林さんのアレンジに干渉させてもらいました。ギターをピアノにして、打ち込みのビートも、リバーブを全部なくして妖しげな雰囲気にして。そしたら今度は小林さんが、プライマル・スクリームみたいな感じにしようと言い出して、妖しげなパーカッションを入れていったりとか。そのやりとりは面白かった。

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私は私で、探求していけるから。ゆっくりと

──歌で言うと、4曲目「心の種」がとってもいいなぁと。

Salyu 本当ですか? これがどういう反応になるのかな? って思ってたんですよ。

──すごいナチュラル・ボイスじゃないですか。剥き出しというか、声のかすれまで残してあるような、生々しさや、粗さまでこんなに聴き取れるのは、今までなかったと思うので。すごくいい。

Salyu マイクもこの曲だけ違っていて、声質が違うんですよ。元々、この曲はコードが少なくて、あまり変わったところのない曲だから、“どう歌っていけばいいんだろう?”って、いろいろ考えたんですけど。出来上がったアレンジを聴いて、“うわ、こうなるんだ”って、さすがに仕上げてくるなって思いましたよ。もらったときのデモはチープ過ぎて全然イメージできない感じだったのに(笑)。目指したのはここだったんだ、って思いました。

──そういうエピソードは、1曲ずつにありそう。

Salyu ありますね。私も小林さんも、一緒に作業しないから。バラバラにやっていくから。例えば、向こうでアレンジがどんどん更新されても、私は前のオケで歌ったりしてる。それで、新しく上がったのを聴いて“うわー!”って(笑)。そこで挑戦に挑戦を重ねて、私はそういうことを面白がるのが大好きだから、全然いいんですけど。そういうすれ違いもありますよね、データ交換で作業してると。でもありがたい環境ですね。私は私で、探求していけるから。ゆっくりと。

とても重たく、恐ろしく響くけれども、絶対誰もが経験すること

──「先回りして」というタイトルの曲が、1曲目と、6曲目と、11曲目に入っていて。コンセプト・アルバムのような作りになっていますけど、これは?

Salyu これは、最初は1曲だったの。去年の〈a brand new concert issue “m i n i m a”-ミニマ- Salyu×小林武史 vol.2〉でも、1公演目だけ歌ってます。それを今回作品にするということで、「3つに分けて、組曲みたいにするのはどうかな?」って、小林さんが言って。

──この曲の、クラシック曲のような美しいメロディと、“先回りして”という幾通りの意味にも解釈できるワードと。たぶん、このアルバムの重要なテーマがここにあるんだろうなと思って、聴いてるんですけども。

Salyu 私はね、生命の象徴だと思ってるんですよ。波みたいに、寄せては返して、波と波の縁もあって……。“先回り”は、人の死にも近いと思うんです。昔、ある大事な友人が亡くなったときに思ったんですよ。先回りという言葉ではなかったけれど、“きっと、次に仕事があったんだな”って。先回りって、いろんな意味に捉えていただきたいんですけど、私の印象はそれでした。

──ああ……確かに。

Salyu 死という言葉はとても重たく、恐ろしく響くけれども、絶対誰もが経験すること。解決できない、いちばんの人間の問題。それがあるからこそ、あらゆる思考があり、あらゆる選択があるという、いちばん大きな問題。それが『Android & Human Being』という作品に象徴されてるんだって、私は捉えてますけどね。小林さんがどんな想いで書いたのかは聞いていないですけど。

人間の手によって、優しい形で進化していくと思う

──その、アンドロイドと人間、というタイトルは……。

Salyu 今回の小林さんの発想として、タイトルを見て、ある程度内容がわかるほうがいいと。デジタルもあるし、人間らしい曲もありますよと。私もそうだなと思ったし、それが今から必要になるスタンスだなと思ったので。具体性を含んだものにしようという、そういう流れがありました。

──はい。

Salyu デジタルということが言いたいんですよね、アンドロイドという言葉で。これから制作の過程も、どんどんデジタル化されていくと思うんですよ。ノートPCとソフトと、少しのHOW TOがあれば、今ここでもアレンジとミックスができてしまう。もちろんアコースティックな音楽も、絶対になくならないけれど、私と小林さんのユニットは、デジタルというものを探求していくんだという方向性を示していると思います。この作品は。

──そこで、デジタルに否定的ではなく、敵と味方ではないということが、“&”という表現に表れてるんじゃないかな? と。

Salyu うん。私はデジタルにはすごく好意を持っているし、この部屋を見渡しても、何の不自然さもなく、デジタルとアナログが混在している。そのなかで機嫌よく暮らすということは、ごく自然な生活空間であって、日常なんですよね。たぶんこれから、機械も環境も、人間の手によって、優しい形で進化していくと思うので。そのために知らないといけないことは、たくさんありますね。機械のための人間になっても仕方がないし、人間のための機械だということは、学んでいかなきゃいけない。そこに意識的になっていくのは、とても大切なことだと思ってます。

【動画テーマ】新生活に向けてのアドバイス


リリース情報

2015.04.22 ON SALE
ALBUM『Android & Human Being』
トイズファクトリー

J-150409-YS02

[初回限定盤/2CD]¥3,200+税
[通常盤/CD]¥2,800+税

詳細はこちら


ライブ情報

Salyu Tour 2015 Android & Human Being
詳細はこちら

オフィシャルサイト

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