音楽ブロガーがあの番組をウォッチ!月刊 レジーのMステ定点観測 〜2015年1月放送分〜

2015.02.01

音楽ブロガーがあの番組をウォッチ!月刊 レジーのMステ定点観測 〜第9回 2015年1月放送分〜

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レジー(音楽ブロガー)

その月に放送されたMステの内容をネタにJ-POPの「いま」をお届けする当連載。1月のMステは16日の2時間スペシャル(「恋うたランキング2015年版」の発表)と23日の通常放送の2回のみ。今回は前後編なしの一本勝負でお送りします。まずは思わぬハプニングに関するこんな話題からどうぞ。

KAT-TUN、凛として時雨:異例づくしの「21時20分スタート」

サッカー日本代表がアジアカップのベスト8で姿を消す、しかも本田と香川がPKを外して……という後味の悪い結末の直後に始まった1月23日のMステ。この日はそもそも20時30分から、つまり通常より30分遅い時間からの番組開始が予定されていましたが、試合がPK戦までもつれこんだこともあり結局21時20分までうしろ倒し。20時を過ぎてからMステの放送がスタートしたのは30年近い番組の歴史の中でも初めてとのこと。

この日は放送時間以外にも思わぬ「変更」がありました。KAT-TUNが披露する予定だった新曲「Dead or Alive」がカップリング曲の「WHITE LOVERS」に差し替え。また、2012年のスーパーライブ以来の登場となった凛として時雨「Who What Who What」の演奏時には、この番組の基本フォーマットである歌詞の字幕が表示されませんでした(さらに一部歌詞そのものも変更していたとのこと)。

どちらの処置も、このタイミングで起こっていたイスラム国の人質事件に関する「配慮」によるもののようです(凛として時雨からは「昨今の状況を鑑み、メンバーと番組サイドで協議し、歌詞を一部変更」とツイッターでアナウンスあり、KAT-TUNからは特にコメントなし)。「生きるか死ぬか」というメッセージや「血だらけ」「ナイフ」といった歌詞から何かを想像してしまう人もいるかも……ということでしょうか。ちょっと考えすぎでは? そんなこと言い出したらこの日一緒に出演していたmiwaの「fighting-φ-girls」も「戦う」だからダメとかならないの? なんて思いましたが、KAT-TUNがカップリングでこんなにスイートな冬のラブ・ソングを歌っているとは知らなかったし(少年隊がカバーしていた山下達郎「湾岸スキーヤー」をちょっと思い出しました)、凛として時雨のパフォーマンスも字幕がない分、より「生ライブ感」があってかっこよかったので結果オーライという感じでしょうか。

NEWS、ももいろクローバーZ:不思議の国ニッポン

1月16日に出演したNEWSが披露したのは新曲「KAGUYA」。前回この連載で取り上げた際に歌っていたのは「ブラジルワールドカップの出場国名がすべて歌詞に盛り込まれている」というトリッキーな仕掛けをたずさえた曲でしたが、今回の楽曲のテーマはそのものずばり「かぐや姫」。古語が織り込まれた歌詞に和風テイストが強調されたEDMのトラック、和傘を使ったダンス・パフォーマンス……まじめな曲なんですが、文字に起こすとどうもふざけてる感じが否めません。いまや彼らの代表曲となっている「チャンカパーナ」もそうですが、一瞬「え?」ってなるネタを仕込んで中毒性を高めるのがこの人たちの得意技なんですね。勉強になります。

NEWSが「KAGUYA」で提示していた世界観は言ってみれば「外国人が考えるニッポン」、つまり日本らしさが過剰にデフォルメされた何とも言えない趣のものでしたが、同じような狙いが見受けられたのが23日に出演したももいろクローバーZが「ももいろクローバーZ vs KISS」名義で歌った「夢の浮世に咲いてみな」。歌詞に“蛍来い”“あっち向いてホイ”など日本的な言い回しが多数登場するだけでなく、ステージ・セットとして設置されていたのはなんと金色の竹。かぐや姫について歌ったNEWSとの奇妙なリンクは偶然でしょうか。

miwa、Superfly:同じ「白」でも……

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先ほどもちらっと触れましたが、23日に出演したmiwaが歌ったのは新曲「fighting-φ-girls」。ナースが主人公のドラマ「まっしろ」の主題歌ということを意識してか、本人だけでなくバック・バンドやバック・コーラスのメンバー(全員女性でした)もナース服で揃える徹底ぶり。ゴスペル風味のアレンジに引っ張られていつもよりねちっこく情熱的に歌い上げているのが印象的でした。曲の途中にさらっと「既読」という言葉が出てきましたが、ポップ・ソングで歌われる連絡ツールはいまやLINEになっているんですね。古くは“ダイヤル回して手を止めた”とか“ポケベルが鳴らなくて”とか、歌詞におけるメディアの変遷という観点からも興味深い曲でした。

同じ日に出演していたSuperflyが披露したのは5月リリースのアルバムのリード曲でもある「White Light」。Aメロから高音のシャウトが炸裂するなど彼女の良さを引き出すことに特化したメロディは、本人とヒット・メイカー蔦谷好位置の共作によるもの。“黒も闇も脱ぎ捨てた”“白を目指せ”という歌詞に合わせて、バック・バンドが全員黒の衣装を着るなか彼女ひとりだけが真っ白いワンピースをまとっていました。miwaの白いナース服がピュアな感じやかわいさとリンクしているのに対して、Superflyと「白」が組み合わさると「白い絵の具をぶちまけるような迫力、力強さ」が出てくるのがそれぞれの資質を表しているようで興味深いです。

back number、SEKAI NO OWARI:冬の風物詩

1月16日の「恋歌ランキング」に出演していたback numberとSEKAI NO OWARI。back numberは「ヒロイン」を、SEKAI NO OWARIは「スノーマジックファンタジー」を披露しました。どちらも「JR SKI SKI」のCMソングであり(「スノーマジックファンタジー」が昨年度、「ヒロイン」が今年度)、番組内ではCMの映像も紹介されていましたが、今回のCMの広瀬すずは本当にかわいいですね。2曲ともに雪をモチーフにした楽曲となっていますが、「スノーマジックファンタジー」がマジカルな雰囲気を醸し出す「これぞセカオワ・サウンド」と言いたくなるような仕上がりになっているのに対して、リアルな心象風景をバンド・サウンドで朴訥と綴っていくback numberの「ヒロイン」はJ-POPの歴史に脈々と連なる「初期のミスチル、スピッツ型さわやかロック・ソング」の系譜に位置付けられるもの。「ポップ」という共通項をベースに両極のアウトプットを出しているバンドが同じキャンペーンで使用されているのが面白いですね。

次回のMステは2月6日。年末はスーパーライブ、1月は2時間スペシャルに21時過ぎからのスタートとちょっと特殊な感じが続いているので、本当の意味での「通常放送」は結構久々ですね。それでは来月もよろしくお願いします!

【1月16日放送分 出演アーティスト】
NEWS「KAGUYA」
back number「ヒロイン」
一青 窈「ハナミズキ」
SEKAI NO OWARI「スノーマジックファンタジー」
三代目 J Soul Brothers「花火」
AKB48「恋するフォーチュンクッキー」「ヘビーローテーション」「愛の存在」

【1月23日放送分 出演アーティスト】
乃木坂46「制服のマネキン」「君の名は希望」
KAT-TUN「WHITE LOVERS」
miwa「fighting-φ-girls」
ももいろクローバーZ「夢の浮世に咲いてみな」
Superfly「White Light」
凛として時雨「Who What Who What」

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