【リリック・ビデオ前編】ケイティ・ペリーのMVで辿るリリック・ビデオ独自の“進化”

2014.11.21

text by ミズタタカシ

MTVのアワードにもリリックビデオ部門が登場

アメリカの音楽業界でひとつのトレンドとなっているリリック・ビデオ。文字どおり、歌詞を前面に押し出したミュージック・ビデオのこと。もともとは本編が完成するまでの仮作品としての側面が強かったが、今年のMTV Video Music AwardsではBest Lyric Video部門も設けられ、近年の注目度の高さをうかがわせる。ちなみに初の大賞は5 Seconds Of Summerの「Don’t Stop」。アメコミをモチーフにした作品で、実写のヒーロー映画のパロディとなっている本編の内容ともリンクしているので、併せて見ればさらに楽しめるはず。

↓こちらが、上記のリリック・ビデオ・バージョン。

ブームの火付け役は、Katy Perry

積極的にリリック・ビデオを発表しブームの火付け役となったアーティストといえば、やはりKaty Perry。彼女の作品を追えば、リリック・ビデオが主役の座へと登っていく過程を追体験できる。

まずは、2010年に発表されたサード・アルバム『Teenage Dream』のラストを飾るバラードから。アーティスト写真に歌詞が乗せられただけで、オフィシャルであるということを除けば、この頃のリリック・ビデオは動画サイトに投稿される一般の映像とまだ大差ない。

しかし、Kanye Westをフィーチャーした翌年の「E.T.」から、Katy Perryのリリック・ビデオはグラフィカルな魅力を徐々に増していく。シミュレーション・ゲームのような背景のもと、スペイシーな文字の明滅が印象的だ。

2012年の「The One That Got Away」は、文字のフォントやサイズに変化を持たせ、シンプルながら細やかな気配りが見られる。画面左下には常にギターのコードが表示され、Katy Perryらしい遊び心が効いている。

リリック・ビデオ独自の表現が完成度を上げていく

同年の「Part Of Me」もやはり文字を中心に据えた作品。タイポグラフィの美しさがより洗練され、曲と同期して多様な動きを見せるなど、リリック・ビデオ独自の表現が完成度を上げていっている。

さらに、私たちも普段目にしているSNSやチャットの画面のなかに歌詞の言葉が立ち上がっていく「Wide Awake」と「Roar」の演出は、様々なメディア・ミックスを仕掛けるポップス界の歌姫ならでは。ちなみに「Roar」は、LINEとのコラボレーションで日本語訳バージョンも制作されている。

歌詞を追ううち、すっかり作品の世界に

そして、今年発表された新作「Birthday」。冒頭で紹介したMTVのBest Lyric Video部門にもノミネートされている。キュートなお菓子作りの映像のなかに歌詞の言葉が散りばめられ、もはやとても仮作品などとは呼べないクオリティ。歌詞を追ううち、すっかり作品の世界に惹き込まれてしまう。

近年のリリック・ビデオの進化、体感していただけたでしょうか?
続く後編では日本の楽曲にフォーカスをあて、歌詞の言葉を使った映像表現のさらなる可能性を探ります。日本語が指し示すリリック・ビデオのこれからとは……

→後編はこちら

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