吉井和哉が自ら日本の昭和歌謡、ポップスを選曲した初のカバー・アルバム完成!

TEXT BY 恒川めぐみ

THE YELLOW MONKEYの「JAM」のヒントになった曲なのだそう

 このアルバムの原稿執筆依頼をもらった直後、吉井和哉がNHK BSプレミアム『The Covers』に出演することを知り、ずうずうしく「放送が終わるまで待ってくれませんか」とお願いをした。あの吉井和哉が歌謡曲を歌う姿を、どうしても見たかったもので……。

 ピンク・レディーの「ウォンテッド(指名手配)」は、チューニングを下げた重々しいサウンドで、歪んだベース、ギター、そして淡々としたリズムのダークなグラム・ロック風アレンジ。そのなかに粘りのある独特なボーカルを轟かせていた。長身に黒のロングコート、長い髪がかかる大きめのサングラスといういでたちが、それはそれはフォトジェニック。一方、沢田研二の「おまえがパラダイス」は、ブルージーなオルガンとギターの音色に包まれながら、張りのある声で、なおかつ優しさも滲ませるロック・バラード。実はこの曲、THE YELLOW MONKEYの「JAM」のヒントになった曲なのだそう。スタンドマイクにしがみつくように歌う姿が印象的だった。ラストは来生たかおの「夢の途中」を披露していたが、叙情的なオルガンとレスポールの音色が効いたブリティッシュ・ロック・アレンジが、原曲にいっそうのドラマを差し込んでいた。どの曲もアプローチは違うものの、吉井和哉というロック・スターの色香が匂い立つパフォーマンスに、もう満足、感無量。

誰もが吉井和哉に期待するグラマラスなロックの世界が繰り広げられている

 これらカバーを披露したのは、昨年にソロ活動10周年、THE YELLOW MONKEYとしてもデビュー20周年という大きな節目を迎えたタイミングで、キャリア初となるカバー・アルバム『ヨシー・ファンク Jr.〜此レガ原点!!〜』を発表したから。自身のルーツに基づく日本の昭和歌謡やポップスを自ら選曲し、独自の解釈と愛情を込めてこのアルバムは制作された。そのラインナップは、1960年代から80年代まで、彼が深く影響を受けたであろう、一世を風靡したアーティストの超・名曲を網羅。ブルース調に味つけした、昭和歌謡の頂点に立つ美空ひばりの「真赤な太陽」、演歌がまさに“艶歌”と呼ばれていたことを彷彿とさせる、艶やかなボーカルの内山田洋とクール・ファイブ「噂の女」などから、荒井由実の「あの日にかえりたい」、大滝詠一の「さらばシベリア鉄道」など、現代J-POPに多大な影響を与えたアーティストたちの珠玉の大ヒット曲も大胆にカバー。もちろん、先述した『The Covers』で歌った曲も含まれる。原曲を知らない若い世代にも非常に刺激的に響くのは間違いない。激しくて、セクシーで、ちょっとさびしげ。誰もが吉井和哉に期待するグラマラスなロックの世界が繰り広げられている。そして、日本ロックのセックス・シンボルである吉井和哉の歌う姿が、目の前にありありと現れるような作品である。

 自身の音楽の境地に立つため、今、彼はこの原点に追いつこうとしているところなのかもしれない。来る12月28日に恒例の日本武道館でのライブが発表されているが、新たなる10年へ向けたアプローチを示してくれることは確実。

リリース情報

2014.11.19 ON SALE
ALBUM『ヨシー・ファンクJr.〜此レガ原点!!〜』
日本コロムビア

J-141113-FY-1939

【CD】¥3,000+税

詳細はこちら


ライブ情報

“YOSHII KAZUYA SUPER LIVE 2014~此コガ原点!!~”
詳細はこちら


オフィシャルサイト

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