“永遠”なんてないと知りながら、“永遠”を願う。the pillows山中さわおがバンドの25年と未来を語る。

“永遠”なんてないと知りながら、“永遠”を願う。the pillows山中さわおがバンドの25年と未来を語る。

the pillows

“永遠”なんてないことを知っていながら、あえて“永遠”という意味を持った言葉を選んだ山中さわお。25周年を迎えたthe pillowsが奏でる、今のサウンドとは? 活動休止を経ていったいどんな想いでこのアルバムを制作したのだろうか。ボーカルの山中さわおに聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY森朋之


ピロウズというバンドを健康的に動かすためには、“俺のソロ化してはいけない”

──ニュー・アルバム『ムーンダスト』、素晴らしいです! 特にタイトル曲「ムーンダスト」は、25周年にふさわしい名曲だな、と。

山中さわお ありがとう。元々は『ムーンダスト』がシングルで、アルバムのタイトルを『About A Rock`n`Roll Band』にしようと思ってたんだよ。でも、気分が変わって逆にしたんだよね。25周年記念シングルには、『ムーンダスト』のような壮大なバラードではなくて、軽やかに、熱すぎない感じの『About A Rock`n`Roll Band』のほうが合ってると思って。

──アルバム全体もしなやかなロックンロールが中心になってますよね。

山中 ピロウズというバンドを健康的に動かすためには、“俺のソロ化してはいけない”ということがあって。そのことをいろいろと考えた結果、オルタナティブなものはやめようと思ったんだよね。それを望むとうまくいかないことがわかったので。

──第3期(‘96年〜)以降のピロウズは一貫してオルタナティブ・ミュージックを追求してきたわけですが……

山中 すごく長い間やってきたし、完成した作品はどれもいいと思う。そのことで評価をされたと思っているし、海外での人気もオルタナティブな音楽をやっていたからだという確信があって。ただ、メンバーのふたり(真鍋吉明、佐藤シンイチロウ)はオルタナティブなものを評価していても、ファンにはなってないんだよ。だから、どうしても俺が望むフレーズや演奏は出づらいんだよね。だったら俺も変わらなくてはいけないし、“自分が思い描くいちばんカッコいい音楽をピロウズでやる”という夢は捨てようと。それは自分のソロでやって、ピロウズはふたりが鳴らしやすいものをやったほうがいいと思ったんだよね。だから今回のアルバムは、ピロウズなりのロックンロールをやるという意識で作ったのかな。

──なるほど。1曲目の「Clean Slate Revolution」の「The last period」というフレーズも印象的でした。

山中 “末期”ってことだね。俺が“末期”っていうと、ライターさんはモゴモゴして困っちゃうんだけど(笑)。“末期じゃなくて、最終章って言いましょう”って言われることもあるんですけど、“じゃあ、どうぞ”って。でも、たとえば5年後に解散したとして、“あの時期は末期だったね”ということになるでしょ?

──このアルバムからピロウズは新しい時期に突入するという感覚もありますか?

山中 そうだね。活動を休止する前と後では違う感覚なので。’96年から第3期が始まったとして、黄金期は最初の3〜4年だったと思うんだよね。自分の気分も良かったし、みんなの好きな曲を書けて、エネルギーを発していた時期というか。でも、その後の13年間は俺のソロ・アルバムみたいな作り方になってしまって。もちろん仕上がった作品は良いだけど、第3期全体を見れば、ソロ化してしまったところはあるかもしれない。

──その状況を脱するために活動休止を選んだわけですからね。今は気分良く活動できてます?

山中 うん、気分は明るいよ。たまたま今日は二日酔いだから、俺の気分の良さは伝わらないと思うけど(笑)。昨日、シンイチロウくんの50歳の誕生日イベントがあって、急に呼び出されたんだよ。いきなり歌わされて……まあ、いい夜だったから、ちょっと飲んでしまって。

──楽しそうで良かったです(笑)。もうひとつ、「About A Rock`n`Roll Band」の“正しさも美しさも 一つじゃなかったんだな 崩壊と誕生の音”という歌詞についても聞かせてください。こういうふうに価値観が変わった瞬間って、実際にあったんですか?

山中 中2くらいのときにRCサクセションをテレビで見たときかな。それまではハードロックを聴いてたんだけど、それはたぶんギターとアンプによるロックのカッコ良さを感じてたんだと思うんだよね。でも、テレビで(忌野)清志郎さんを見たときに“ロックは人間から出てくるものなんだ”と思って。『スローバラード』もやってたんだけど、歪んでないギターだし、バラードなのに、フォークでも歌謡曲でもなく、どう聴いてもロックだったんだよ。その瞬間、価値観が変わったんだと思う。

人間は本気で変わろうと思えば変われるはずなんだ。俺自身、自分で自分を変えてきたと思うし

──ロックはギターの音とか演奏テクニックではなく、人間が生み出すものだ、と。でも、それは残酷なことじゃないですか? どれだけ頑張っても、ほとんどの人にはロックがやれないということだから。

山中 今言ったのは超一流の人のことだけどね。清志郎さんとか、(甲本)ヒロトさんとか。ただ、人間は本気で変わろうと思えば変われるはずなんだ。俺自身、自分で自分を変えてきたと思うし。俺くらいだったら、誰でもなれるんじゃないかな。ただし、本気じゃないとダメだよ? 安全策を取ったり、保険を用意しておいて、“うまくいったら、そっちの道に行こう”みたいなことを考えていたら、変われないよね。まあ、音楽の才能もないとダメだけど(笑)。

──10/4(土)には25周年のスペシャルライブを開催、11月末からは新作を引っ提げた全国ツアーもスタート。この先のピロウズもすごく楽しみです。

山中 今の感じでバンドをやるのは、あと5年くらいかなと思ってるんだけどね。俺たちは青くさい歌詞が似合うバンドだし、実年齢に合った歌を歌ってるわけでもないから。あと5年やれたらすごいと思うし、その後はテンションが変わってきてもいいと思うんだよね。

リリース情報

2014.10.22 ON SALE
ALBUM『ムーンダスト』
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201410142336[CD+DVD]¥3,500+税 [CD]¥3,000+税

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