大柴広己が気づいたこと……この世のもの、すべてが“愛”。

大柴広己が気づいたこと……この世のもの、すべてが“愛”。

大柴広己

シンガー・ソングライターの大柴広己の6thアルバム『それを愛と呼べる日が来るとは思わなかったよ。』が完成。6枚目にして、ようやく気づいた想いをストレートに歌い上げる!

INTERVIEW & TEXT BY 松浦靖恵


絆を持った人たちが
自分の周りにどんどん集まる


──ニュー・アルバム『それを愛と呼べる日が来るとは思わなかったよ。』は、6枚目のアルバムになるんですね。

大柴広己 そうなんです。僕は2006年にCDデビューしたんですけど、メジャーというフィールドにいなかったというのもあって、ずっとノン・プロモーションで活動をしてきたんです。なかなかお店にCDが並ぶことがないという状況が続いていたし、表立った活動をしていなかった空白の5年間があったので、「あ、もうこんなにアルバムを出しているんですね」って言われることが多いですね(笑)。

──そんな状況下で、ずっと音楽を続けてきた最大の理由は、やはり音楽が好きだったからですか?

大柴 僕の音楽は商業ベースには乗れなかったけれど、自分の音楽を辞める理由が見つからなかったんですよね。もちろん、音楽が好きで、デビュー前に年間200本くらいライブをやっていたくらいライブも好きなんですよ。一時期、制作のためにライブの本数をセーブしていたこともあったけど、また初心に返って全国各地でライブをやるようになったことも大きくて。自分の音楽を求めてくれる人がひとりでもいるのならば、どこへでも出向いて歌うという生活を続けていると、絆を持った人たちが自分の周りにどんどん集まるようになって。今回のアルバムを一緒にレコーディングしたバンド・メンバーとも、そういう繋がりで出会ってるんですよ。

歌うことは愛しかない


──ライブでもレコーディングでも、ずっとアコギで歌ってきた大柴さんが、なぜ今回のアルバムではすべての楽曲でエレキを弾こうと思ったんですか?

大柴 いつものようにスタジオにアコギを持ち込んで、セッティングまでしたんですけど、アコギを鳴らした瞬間に「あれ? なんか違うな」と。アルバムのテーマが“愛”だったので、愛を歌うには“でかい音で、高らかに歌わないと!”と思って、すぐにスタジオからアコギを撤収して、使いたくても使えない状況を作っちゃいました(笑)。

──なぜ、“愛”を歌おうと?

大柴 空白の5年間のあとに発表した3rdアルバム『さよならミッドナイト』は自分の過去を背負い込んだ作品で、続く4thアルバム『ソングトラベル』は現在から未来へと繋がっていくような内容と、僕はずっと自分のことばかりを歌ってきたんです。それが5thアルバム『BANK』では一歩踏み出して、自分の身近にあるもの、自分の周りにある景色を歌うことができたので、“じゃあ次は何を歌おう?”“自分は何を歌いたいんだ?”と思ったときに、今の時代って、自分も含めて、みんないろんなことを疑い始めているんじゃないかと。で、音楽の本質ですら疑い始めている自分に対して、音楽を続けてきた自分が音楽を疑っちゃいかん、音楽を疑ってほしくないと思ったときに、歌うことは愛しかないなと思ったし、そこで自分のなかでの愛の捉え方が変わりました。

世の中にあるすべてのことは愛じゃないか


──愛の捉え方が変わったというと?

大柴 地元・大阪の京橋で飲んでいたときに、たまたま隣に座った70歳のおじさんと友達になって、いろんな話をしたんです。で、おじさんが「愛とは何か。もし、才色兼備で、地位も名誉もお金もあって、ありとあらゆることが完璧な女性がいたとして、それでも相手に何を求めますか?」って聞いてきたときに、僕は家もあるしなぁ、ギターも弾けて歌えてるしなぁ……って、答えが出なくて悩んでいたら、おじさんがひと言「健康です」って言ったんですよ。当たり前過ぎて考えもしなかったけど、“愛とは健康なんだ!”って目から鱗が飛び出ました(笑)。健康すら愛と呼べるのであれば、人を好きになるってことだけが愛じゃなくて、愛する人のそばにいたいという思いだけが愛じゃなくて、世の中にあるすべてのことは愛じゃないかと衝撃を受けたんですよね。自分は今までそんなふうに愛と向き合ってこなかったし、愛を歌うこと自体を避けてきたんだなと思って、ここでちゃんと歌わないとダメだと思ったんです。

──愛を高らかに歌っているけれど、大柴さんの歌は決して押し付けがましくないですね。

大柴 自分の歌なんですけど、自分の歌をもうひとりの自分が客観的に外側から見ていますね。歌に余白を作ると言うか。愛を歌うのであれば、自分のものになり過ぎないようにするということは気をつけましたし、今回はメロディのあるがままに自然と伸びやかに歌ってますね。あと、これまでもずっとそうだったんですけど、自分の思っていないことは歌わない、自分が思っていることだけを歌うっていうのは、このアルバムでも守ったことでした。

最低最悪な主人公ですよね(笑)


──となると、「ミュージシャンとつきあっても」は、“金の切れ目が縁の切れ目”なんて歌っていて、かなりダメダメなミュージシャンが主人公ですけど?

大柴 ホント、最低最悪な主人公ですよね(笑)。

──でも、なんか憎めないし、とても楽しい歌ですよね。

大柴 愛にはいろんな形がありますけど、この歌は、ダメ男好き女子にひと言、ちょっと言いたかったという歌ですね(笑)。

ギター1本と歌の“音楽”


──10月26日には、大阪・大阪城野外音楽堂でのシンガー・ソングライターばかりが出演するイベント“SSW14”を開催されますが。

大柴 “旅するシンガー・ソングライター”になるきっかけをくれた僕の師匠に、「人というのは点で、音楽というのは点と点を結んでちゃんと線にしてくれるものだ。お前が音楽で人と人を線で繋げていけば、その線は“縁”になるんだ」と言われた、その言葉がずっと僕の胸にあって。自分は弾き語りで音楽を始めているし、ギター1本と歌の“音楽”……シンガー・ソングライターの音楽が世の中を席巻する日が来ると信じていて。自分が憧れていた音楽が、今のこの時代に触れられる場所が少ないと嘆くのではなく、まず自分から飛び込んでいけばいいというか。だから、ミュージシャン発のイベントでほしいと思って、“SSW”を主宰しました。1回で終わらせるつもりはないので、これからも続けようと思ってます。


リリース情報

2014.10.15 ON SALE
ALBUM『それを愛と呼べる日が来るとは思わなかったよ。』
ZOOLOCATION/Cloud Cuckoo Land inc.

J-141009-YS01

¥2,000+税

詳細はこちら

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10月29日(水)21:00~23:00 スマホ・PCから参加可能。
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大柴広己 オフィシャルサイト

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