音楽ブロガーがあの番組をウォッチ!月刊 レジーのMステ定点観測 〜第5回 9月放送分〜【前編】

音楽ブロガーがあの番組をウォッチ!月刊 レジーのMステ定点観測 〜第5回 9月放送分〜【前編】

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レジー(音楽ブロガー)

「ミュージックステーション」がテーマの当連載も今回が5回目。9月は2度の通常放送(5日、12日)に加えて、26日に3時間スペシャルが放送されました。

時として「あれ? この前似たような企画があったような……?」と思うこともあるMステの特番ですが、今月の3時間スペシャルはいつもとひと味違う手の込んだものでした。

テーマは「アーティストが選んだMステBESTパフォーマンス50」。これまでにMステで放送された膨大なライブ・パフォーマンスの中で印象に残っているシーンを様々なアーティストが選ぶという企画です。自分がMステに出演して目の当たりにした衝撃ライブを挙げる人から、学生時代にテレビで観て感動した瞬間をチョイスする人など、アーティストの趣味嗜好が垣間見える非常に興味深い特集でした。

というわけで、今月のMステ定点観測、まずはそちらの特集から振り返っていきたいと思います。

ルーツまるわかりのチョイス

今ではMステに出るような有名アーティストも昔はテレビの前で「○○さんみたいになりたい!」と憧れている時代があったわけで、そんな若かりし頃の熱い思いを今回のチョイスに込めて発表している人たちが多く見られました。AKB48に所属する前からハロプロのアイドルが大好きな指原莉乃は、モーニング娘。が6年ぶりにMステに出演した際のパフォーマンスをチョイス。また、来年3月に初の日本武道館公演を行うことを発表したKANA-BOONのベーシスト、飯田祐馬が選んだのは今年7月のMステスペシャルでのBUMP OF CHICKENのステージ。ゼロ年代以降の日本のロックのエッセンスをふんだんに取り入れているKANA-BOONのメンバーらしいセレクトでした。

個人的に意外だったのは、『アナと雪の女王』で披露した歌唱力の高さが話題の神田沙也加。「私の原点とも言えるパフォーマンス」として彼女が選んだのは1998年8月に放送されたthe brilliant greenの「冷たい花」。1986年生まれのこの人、当時はまだ小学生だったはず。趣味が良いですね! 僕も大好きでしたブリグリ。毎週J-WAVEのラジオ番組を聴いていました。

過激だった1990年代のMステ

GLAYのTERUとSEKAI NO OWARIのDJ LOVEが選んだのは1994年3月のはhideの「DOUBT」。スタジオの中で墨汁の雨を降らせて真っ黒になりながら歌うというとんでもないパフォーマンスでした。この特集を通して見ているとやはり90年代の演出のほうが過激というかめちゃくちゃなものが多い感じがして、テレビというメディアが徐々に萎縮していく過程が表されているかのようにも思えました。1997年2月のTOKIO「フラれて元気」でもスタジオの中で大雨が降っていましたが、今だったら「楽器が壊れるじゃないか!」なんてクレームがたくさん来そうです(このパフォーマンスを選んだのはSCANDALのHARUNA)。

クレームと言えば、木村カエラやゴールデンボンバーの鬼流院翔がチョイスしたDIR EN GRAYの「残 -ZAN-」が放送された際には(1999年2月)おどろおどろしい演出に対して前番組『クレヨンしんちゃん』からの続きでMステを観ていたファミリーからの苦情が殺到したとか(都市伝説なので真偽は不明)。当時高校生だった僕も自宅で観ていましたが、天井から吊り下げられたゾンビが突如踊りだすさまは相当インパクトがありました。

やっぱりあの名場面は外せない

「Mステの名場面」と言われて僕が真っ先に思い出すシーンはふたつありますが、やはりどちらも今回のスペシャルでしっかり取り上げられていました。

まず1つ目が、2001年4月に放送されたCoccoの活動停止前最後のMステ出演。「焼け野が原」を歌い終わると深いお辞儀、その後投げキッスをしてからスタジオの外に駆け出していく姿に胸がざわざわしました。ちなみにこのパフォーマンスを選んだ多くのアーティストの内のひとりが嵐の二宮和也。嵐の他のメンバーがジャニーズ・グループの出演シーンを選んでいる中でのさすがのセレクトでした。

そしてふたつ目は2003年6月、「当時大流行りだったt.A.T.uが来日してMステ出演→オープニングには登場したのにやっぱり出たくないと楽屋に籠城→その日出演していたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが穴を埋めるために急遽1曲演奏」という伝説の一夜。これまでのMステでも度々触れられてきましたが、今回のスペシャルではおそらく初めてCM中のバタバタとしたスタジオの模様が放送されました。緊迫するスタッフの様子と対照的なタモリのニコニコした表情が最高ですね。以前『笑っていいとも!』でこの件について「(t.A.T.uに対して)途中から出てくるな出てくるなと思っていた」なんて語っていたのが思い起こされます。もちろんミッシェルのパフォーマンスも何度観てもかっこいい。このMステから10年以上経っているけど、日本でいちばんかっこいいロックバンドはいまだに彼らなんじゃないかとすら思います。

このふたつのステージ、ネット上に動画がアップされては削除されるということが繰り返されています。権利の問題などいろいろあるのは承知の上ですが、どちらも日本のポップミュージック史を語るうえで外せない出来事なわけで、「公共財」として誰もがいつでも観られる形にしていただくということはできないですかね……。

選外だったマイBESTパフォーマンス

Coccoやミッシェルなど自分が観たいと思っていたシーンはそれなりに選ばれてはいたのですが、自分の中ですごく記憶に残っているのに今回は選外になっていたパフォーマンスがあったのでそちらも紹介したいと思います。

ときは1994年、おそらく12月。当時大ブレイクを果たしたばかりのMr.ChildrenがMステに出演していました。なぜか背広のサラリーマン姿で登場した桜井和寿は、ナースやスッチーといったコスプレ女性をバックに従えて新曲「everybody goes」を披露。最後は彼女たちにもみくちゃにされて背広は乱れ、あげく顔にはたくさんのキスマークが。「innocent world」「Tomorrow never knows」を歌っている「爽やかかつ憂いのある青年」という姿をかなぐり捨てるかのようなステージは、中学1年生だった僕にはちょっと刺激が強かったです。ネット上でもあまり見かけないこの映像、久々に観られると思ってたのに誰も選んでなくて残念。

すっかり長くなってしまったので今回はここまで。次回は今月出演したアーティストのパフォーマンスについてお届けします。10月3日(金)の更新をお待ちください!

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