みんなの映画部 活動07『ある優しき殺人者の記録』[前編]

みんなの映画部 活動07『ある優しき殺人者の記録』[前編]

みんなの映画部 活動07『ある優しき殺人者の記録』[前編]

Base Ball Bear/チャットモンチー/OKAMOTO’S

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間とひたらすら映画を観るプライベート課外活動“映画部”が月イチ連載に。気心知れた仲間同士でゆる~く、でもミュージシャンならではの独特な視点でガチ感想会を展開。映画部活動史上最大の評価となった今回は、小出部長の解説からどうぞ!

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)


活動第7回[前編]
作品:『ある優しき殺人者の記録
部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー/くもゆき)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)

こういうのが「面白い」ってことじゃないかなって気がしましたね

──今回は知る人ぞ知る奇才・白石晃士監督がオール韓国ロケで撮った異色作『ある優しき殺人者の記録』です。

小出 えー、めっちゃ面白かったです!っていうか、完璧でした!

一同 (拍手)

小出 あのー、何だろう。こういうのが「面白い」ってことじゃないかなって気がしましたね。最高でした。以上です(笑)。

福岡 レイジ、泣いちゃってたもんね。

レイジ 俺もうギリギリでしたよ。恥ずかしかったから泣かなかっただけで、独りで観に行ってたらたぶんボロ泣きって感じです。我慢しましたもん、ベロ噛んで。

小出 わかるわかる。あっこは白石監督の作品観るのは初めて?

福岡 初めてだけど、こいちゃんに前情報で「これ観といて」って言われたやつの予告編を観たの。

小出 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』ね。

福岡 そうそう。私、こういう怖いやつ得意じゃないから、本編は観ないでそっとしておいたんだけど……観なきゃ! って思った。

──小出部長は白石監督のファンなんですよね?

小出 はい。最初は『ほんとにあった!呪いのビデオ』が出会いでしたね。15年くらい前から、ナンバリングでいうと60くらいまで続いてるオリジナルビデオシリーズなんですけど、白石監督も何本か撮っていて。その中でも、番外編的な『ほんとにあった!呪いのビデオ THE MOVIE 2』ってやつがシリーズ史上に燦然と輝く傑作のうちの一本だと思ってるんですね。『ほん呪』のフォーマットに乗っかりつつも、現在の白石監督の作風にも繋がるような、グングン広がっていくストーリー展開がめっちゃ面白いんです。で、その後、『ノロイ』っていう話題になった映画を撮られるんですけど。

レイジ 『ノロイ』は俺も高校生の時にめっちゃ観てました!(と、登場人物のモノマネをする)

小出 その後もフェイク・ドキュメンタリー・ホラーというか、モキュメンタリー・ホラー(共に疑似ドキュメンタリーの形式で撮られた「本当を装った作り物」のホラーを指す)を沢山撮られていて。他にも、6人時代のももクロが主演の『シロメ』とか、「カルト」とか。なかでも、僕がいちばん衝撃を受けたのは『オカルト』って作品。

──2008年の大怪作。もともとオリジナルビデオですけど、劇場公開にも至りました。

小出 無差別殺人事件の生存者の男(宇野祥平)が、なんだかんだあって、自爆テロによる大量無差別殺人を目論むようになる。そんな彼を取材しているカメラマンとして白石監督が本人役で出てきて、最初はやめるように説得をするんだけど、ぶつかり合ったりするなかでだんだん友情が芽生えてくる。で、彼は本当に自爆テロを実行しに渋谷駅前交差点に向かうんだけど……そのラストの飛びっぷりもすごいし、これまたなぜか妙に感動しちゃうんですよ。この基本的なプロットだったり、作品の手触りが『ある優しき殺人者の記録』に近いのかなとは思うんですね。

今回のもそんなにお金はかかってないですよね。でも知恵で凌駕していく

福岡 さっきの『コワすぎ!』っていうのは最近の作品?

小出 2年くらい前から白石監督が始めたシリーズ。劇場版も今年公開されたんだけど、基本はオリジナルビデオ。劇場版の序章っていうのも加えて今6本出てるんだけど、レイジは1本目を観たんだよね?

レイジ はい。1から4まで家にレンタルしてあります(笑)。

小出 特に4本目の『真相!トイレの花子さん』はとんでもない意欲作だから早く観てほしいな。POV(主観映像)で、まさかのタイムリープ。しかも、リアルタイムのワンカメ長回し(風)で、という。っていうか、シリーズ全部観て(笑)。でね、『ある優しき殺人者~』で白石監督が演じている「カメラマン・田代」なんですけど、実は『コワすぎ!』と同じ役名なんですよ。

福岡 そうなんだ!

小出 それを示唆するような台詞もあったし、今回は時間軸的に『コワすぎ!』劇場版の後の話ってことなのかなと思った。で、白石作品って主戦場はオリジナルビデオだから超莫大な予算みたいなものはないはずだし、たぶん、今回のもそんなにお金はかかってないですよね。でも知恵で凌駕していく。今作は86分全編ワンカット(風)、リアルタイムで臨場感を演出していく。よく観ると実際は細かくカットを割ってるんだろうけどね。

──ちゃんとほぼノーカットのように見えましたね。

小出 アイデアの飛び方が半端ないし、それを実行する力技もすごい。『ある優しき殺人者~』はこれまでの白石メソッドを踏まえて、極まった一本だと思うんですよ。

C-20140920-MK-02230「メインカットの撮影ですよ〜」と言っているにも関わらず、パンフレットを読みふける3人。
C-20140920-MK-02231観賞後、いつものように喫茶店に向かう部員たち。左が特別部員(謎の映画好き一般人)・ノザキくん。

後編]に続く

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事を書いた人