昔の曲を聴いて“懐かしさ”を感じるのは、“メンタル・タイムトラベル”のせい

2014.09.18

TEXT BY 有竹亮介(verb)

「この曲を聴くと思い出す……」。昔の曲が“懐かしさ”を感じさせる理由

昔の音楽を聴くと、小さな頃の思い出や当時の恋人とのデートの様子が鮮明に甦ってくることってありませんか? 普段は考えていないのに、聴いた瞬間に突然思い出すって不思議ですよね。

名古屋大学の川口潤教授によると、そもそも「懐かしさ」を感じる記憶は特殊なものだそう。普通は最近の記憶が鮮明で、過去になればなるだけぼんやりとしていくもの。しかし、懐かしさを感じる場合はただ思い出すというより、何かしらの刺激で過去を再体験する意識状態“メンタル・タイムトラベル”になるため、鮮明になるというのです。

音楽を聴くとドーパミンが増える

そして、音楽は懐かしさを容易に喚起させる刺激になるそうです。また、2011年に行われた研究では、音楽を聴いて感動し、ゾクッとする感覚が生じた時の脳活動とドーパミン量を測定。その結果、ゾクッとする感覚を期待してドーパミンが分泌され、実際に感覚が生じた時にもドーパミン量が増加しました。そして、この脳活動が、懐かしさを強く感じた時と近いとも考えられます。

つまり、音楽を刺激にしてメンタル・タイムトラベルの状態になるため、懐かしい思い出が甦りやすくなるのです。また、この効果は人間にとって何らかの報酬の働きをしているのではないかと考えられるそうです。心理学の実証研究はまだ少ないため、記憶と音楽の関係性は、今後さらに解明されていく分野と言われています。

音楽には記憶を呼び起こしたり、脳を活性化させたりする働きがある?

ちなみに、昔の記憶を思い出す脳の働きは、心の健康に関係しているそう。認知症や強いうつ状態の場合は、過去のことを思い出せたとしても、鮮明さに欠けることが知られています。

まだまだ謎の多い人の記憶ですが、音楽には記憶を呼び起こしたり、脳を活性化させたりする働きがありそうです。川口教授いわく「記憶を思い出す能力は、過去の経験を生かして未来をプランニングする能力と相関があります。懐かしさを感じることは、将来の人生設計に役立つと思いますよ」とのこと。たまには、昔の音楽を聴いて、記憶を振り返ってみませんか?

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