『STAND BY ME ドラえもん』主題歌で知るドラえもんとのび太の友情

TEXT BY 大山くまお

秦 基博が歌詞に練り込んだ『ドラえもん』の世界

現在大ヒット中の映画『STAND BY ME ドラえもん』。既に興行収入は50億円を突破、公開1ヵ月後の現在でも全国300館以上の映画館で上映中だ。『アナ雪』や『妖怪ウォッチ』のブームが話題になる中、国民的コンテンツとしての存在感を見せつけた。

物語は、原作版『ドラえもん』の「未来の国からはるばると」「のび太の結婚前夜」「さようなら、ドラえもん」など7つの傑作エピソードを基に作られたもの。のび太とドラえもんの友情と、のび太とガールフレンドのしずかの愛情を軸に構成されている。

映画のエンディングを締めくくるのが、秦 基博による主題歌「ひまわりの約束」だ。アコースティックなバラードが、物語の余韻を優しくふんわりと包み込む。ここでは、この曲の歌詞に練り込まれた『ドラえもん』の世界をひも解いていきたい。

「ひまわり」は「ドラえもん」をイメージした

まず、タイトルになっている「ひまわり」は、秦の言葉によると「ドラえもんをイメージしました」とのこと。「すごくまっすぐで明るくて、のび太にとってのドラえもんはまさにひまわりのような存在なんだろうなと」。

“どうして君が泣くの まだ僕も泣いていないのに
自分より悲しむから つらいのがどっちかわからなくなるよ”

という歌い出しに登場する主語は“君”と“僕”だが、秦は「ドラえもんとのび太の関係を思って作りました」と語っている。“君”がドラえもんで、“僕”がのび太だ。のび太が悲しい気持ちになれば、ドラえもんも悲しい気持ちになる。ここではふたりの深い友情と共感を示されている。

“ガラクタだったはずの今日が ふたりなら宝物になる”

落ちこぼれで何をやってもダメなのび太を幸せにするために、ドラえもんは未来からやってきた。『STAND BY ME~』の物語の軸になっているのも、「ドラえもんがのび太を幸せにする」という部分だ。

しかし、「ガラクタ」だったのび太の日常が、ドラえもんの便利な道具によって「宝物」になったわけではない。ふたりは一緒に遊び、冒険し、笑ったり、泣いたり、喜んだり、落ち込んだりしながら友情を育んでいった。

原作4巻の「友情カプセル」には、「ぼくにはドラえもんがいる。」「ぼくにはのび太くんがいる。」「しあわせだなあ。」「ぼくだって。」というやりとりがある。ドラえもんはのび太にとって“未来からの使者”でもなければ“教育用ロボット”でもない。“親友”だ。だから「ふたりなら宝物になる」のである。

ドラえもんと別れ、少しだけ成長したのび太の歌

“そばにいたいよ 君のために出来ることが僕にあるかな
いつも君に ずっと君に笑っていてほしくて”

現在、期間限定で公開されているミュージック・ビデオ「ひまわりの約束(映画『STAND BY ME ドラえもん』コラボレーションVer.)」では、ここの部分に、のび太の世話をしているドラえもんの姿が重なる。だから、ここでは“君”がのび太、“僕”がドラえもんに変わっているように見えるが、実はそうではない。

“ひまわりのような まっすぐなその優しさを 温もりを 全部
これからは僕も 届けていきたい ここにある幸せに 気づいたから”

ひまわりのように優しさや温もりをのび太に届けてきたのはドラえもんだが、「これからは僕も届けていきたい」と言っているのは、のび太のほうだ。ドラえもんからたっぷりと優しさを浴びたのび太が、これからは自分も誰かに優しさを「届けていきたい」と言っているのである。

だから、前のフレーズで“君のために出来ることが僕にあるかな”と言っているのは、のび太のほうだ。ミュージック・ビデオでドラえもんがのび太の世話をしているシーンは、のび太の回想と考えていいだろう。つまり、「ひまわりの約束」は、既にドラえもんと別れてしまい、少しだけ成長したのび太の歌なのである。

そういえば、ひまわりの花はいつまでも咲いているものではない。少年の頃の短い夏休みの思い出と共にあるものだ。秦 基博はそんな意味も込めて、ドラえもんをひまわりに例えたのかもしれない。

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