KANA-BOON野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり! in 泉大津フェニックス

KANA-BOON野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり! in 泉大津フェニックス

KANA-BOON

KANA-BOON野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり! in 泉大津フェニックス

2014年8月30日(土)@泉大津フェニックス

初の野外ワンマンライブを地元、泉大津フェニックスで行ったKANA-BOON。なんと、1万6千320人を動員し、新人バンドとしては前代未聞の偉業を成し遂げた4人。伝説となるであろうこの凱旋ライブの模様について、たっぷりとお届けしよう!

TEXT BY 本間夕子
PHOTOGRAPHY BY バンリ、 高田梓


KANA-BOONを好きでいてくれる人全員の夢を全部叶えるのが僕らの仕事やと思ってます

「夢は絶対叶うよ、なんて言うつもりはないけど、夢を叶える可能性は誰もが持っていて。そのスタートが何パーセントかはわからないけど、夢っていうのは少しずつでも可能性を上げていってものにする、そういうものやと僕たちは体感してきたし、今、この場でも体感してるし……何か夢を持っている人にそのことを伝えておきたいなって。ずっと言いたかったけど、今日、やっと胸を張って言えました。おかげさまで僕ら、たくさん夢叶ってます。ありがとうございます!」

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 ライブも折り返しに差しかかった中盤戦のMCで谷口鮪はオーディエンスに向かってそう語った。びっしりと埋め尽くされた客席エリア、動員は実に1万6千320人を数える。その光景を目の前に、そこに集った一人ひとりに対峙して立つ大舞台は4人がこつこつと具現してきた夢の、ひとつの集大成とも呼んでいいだろう。もちろん、ここが彼らのゴールじゃない。目指すものがこの向こうにまだまだたくさん見えているからこそ、谷口は言葉を続ける。「世の中、夢を持たなあかんとかいう風潮もあるけど、もしも夢が見つからないっていう人には僕らが夢を見せますから。KANA-BOONを好きでいてくれる人全員の夢を全部叶えるのが僕らの仕事やと思ってます」。そうして放たれたのは「結晶星」。3年前の彼らがまさに今のこうした姿を思い浮かべながら作ったというこの曲が、1万6千人にまばゆく注いだ。

 天井知らずの希望と底なしのポテンシャル。彼らという存在の破格を今さらながらにしてまざまざと見せつけられた“KANA-BOON野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり! in 泉大津フェニックス”。なにせ関西有数の邦楽ロック・フェスティバル“RUSH BALL”の開催地として名高い泉大津フェニックスを、彼らにとって初となる野外ワンマンライブの会場に選んだ意気からして規格外なら、予想を上回る大成功へと導いた堂々のステージングにも舌を巻く。デビューからまだ1年にも満たないことを思えばなおさらだろう。文字どおりの凱旋にただただ拍手を送りたい。

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 傘マークの天気予報を見事に覆し、好天の下、開催された“ただいまつり!”だ。前日も雨模様、このところの週末はずっと雨続きだという大阪だが、やはり“持ってる”バンドは違う。あるいはそれだけ彼らが地元に愛されているということか。大阪湾に臨む立地もあって心地よい風が場内に渡る。会場はメインステージ前のスタンディングエリアと後方のシートエリアに二分され、その中央にはこのライブの公式キャラクター、“フェニックス君”の巨大バルーンフィギュアがのどかに来場者をお出迎え。フードコーナーに休憩スペース、日よけスペースと充実したホスピタリティに加え、輪投げの“わ・わ・わ なげたいな”や、特製スーパーボールをすくって遊ぶ“スーパーブーンすくい”、さらにはKANA-BOONがインディーズ時代のホームとしてきたライブハウス・三国ヶ丘FUZZが“泉大津FUZZ”として出張、当時の彼らの貴重な資料が見られるなどの特設ブースや、メンバーがプロデュースしたフードの屋台も用意されて人気を博している。会場全体がKANA-BOONのテーマパークとでも言おうか、ライブ本番までに4時間も早い開場時刻もなるほど納得、一日を通じて存分にKANA-BOONを堪能してほしいという彼らの想いがひしと伝わってくるようだ。

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「帰ってきたぞ、大阪!」と谷口の掛け声一発、「A.oh!!」でライブがスタート

 開演時刻が迫るにつれ、スタンディングエリアに詰めかける人の数がみるみる増える。ひしめく期待、高まるオーディエンスのボルテージ。ステージ上のスクリーンに“準備はいいか大阪〜!!!”と間もなくの開演を告げるメッセージが“(’▽`)ノ”の絵文字付で浮かび上がると一気に場内が沸き返った。その歓声に応えるように響き渡る登場SE……なぜにソーラン節なのか。しかし「帰ってきたぞ、大阪!」と谷口の掛け声一発、「A.oh!!」でライブがスタートを切るや、小さなクエスチョンなど瞬く間に吹っ飛んだ。どデカい空間、どデカいステージにたじろぎもしない不敵なグルーヴ、疾走感と安定感を兼ね備えたバンドサウンドに早くも目をみはってしまう。

 実のところKANA-BOONがこの泉大津フェニックスでライブを行なうのは初めてではない。デビュー直前の昨年、先述の“RUSH BALL 15th”にてクロージングアクトを務めているのだ。ただし、ステージは違った。“RUSH BALL”では“ATMC”と呼ばれる入場口にほど近いサブステージで帰途につく観客を演奏で見送っていた4人。「来年はここでメインステージに立ちますって言ったら、まさかのワンマンで」とMCでは冗談めかした彼らだが、そのこともこの会場を選んだ理由ではあるのだろう。思い入れの深い、憧れのステージに立って古賀隼斗は終始前のめりで華のあるギターを轟かせ、飯田祐馬はベースラインを太く奔放にうねらせる。1万6千人を一斉に跳ね躍らせる小泉貴裕のリズム、フロント3人よりさらに高いドラム台からの眺めはまた格別に違いない。

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「これからのKANA-BOONの夢を叶えてくれる大切な1曲になると思う」

 「ロックンロールスター」や「ミミック」「ストラテジー」など新旧織り交ぜつつ、いつになくアッパーに、アグレッシヴに畳み掛けるセットリスト。「夜をこえて」のアウトロで聴かせた情熱的でどこまでも壮大なアンサンブルは夜の野外に実によく映えた。そうした楽曲たちの中にあって、しかしこの日の白眉はやはり最新シングル「生きてゆく」だろう。本文では字数上、割愛せざるを得なかったが、前回のインタビュー時、飯田は「今の段階では“ただいまつり!”のステージでこの曲を演奏することが今の段階でいちばん大きな目標、それがひとつのゴールと決めてるんです。僕にとってはこの曲が“ただいまつり!”でいちばん聴かせたいところとしてあるので」と語ってくれた。上京直前に生まれた曲であり、そしてこの日の谷口のMCを借りるならば「KANA-BOONっていうのは四つ打ちの楽しいバンドっていうイメージが強いと思うんですけど、昔から実は切ない曲もすごく多くて。これもKANA-BOONの本性というか、正体で。それをみんなに知ってほしくて、この時期にリリースしました」という重要な1曲だ。切なくも力強い生命感。一音一語がつぶてとなって客席に投げ込まれ、さざ波のように広がってゆく。

 古賀による江頭2:50ならぬ、古頭(コガシラ)渾身の「オマエら行けるかー!!!!」を合図に終盤戦が加速する。本編ラスト「ないものねだり」のコール&レスポンスパートではメンバーそれぞれが替え歌でオーディエンスにムチャぶり、大爆笑を誘う場面も。当然ながら、これで終われるわけがないとアンコールに応えて再登場。「1.2. step to you」に続けて「これからのKANA-BOONの夢を叶えてくれる大切な1曲になると思う」と未発表の新曲「シルエット」が初披露された。

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明日からまた新しいKANA-BOONの歴史を作っていこうと思います

「本当やったらここで終わろうかっていう話もしてたんですけど、やっぱりここでやらないといけない曲があって」

 それは“RUSH BALL 15th”のクロージングアクト終了後、BGMとして流したという「眠れぬ森の君のため」。彼らがステージを去ったにも関わらず残って一緒に歌ってくれたオーディエンスが少なからずいたのだという。「あんなにちっぽけやった自分の歌が、これだけの人にこんなに深い影響を人に与えてるんだってそのときに初めて気づいて。この歌で歌った夢が僕らは全部叶いました。改めてここで最後にこの歌を歌って、明日からまた新しいKANA-BOONの歴史を作っていこうと思います」。ミディアムテンポで搔き鳴らされるギターと歌に客席が大きく左右に揺れる。4人の音がダイナミックに重なって、夜の空気をどこまでも振るわす。“♪眠れぬ森の君にあげるよ 覚めない夢を”、終わりと始まりが同居するこの瞬間にこれほど愛しくうれしいフレーズがあるだろうか。

 大仰なステージセットも派手な仕掛けも特効もない、ストレートに音楽だけで遂げきった全21曲、2時間強。その事実が何より強い。4人と1万6千人分の笑顔が泉大津フェニックスを明るく照らしていた。

オフィシャルサイト

SETLIST

1.A.oh!!
2.ワールド
3.MUSiC
4.見たくないもの
5.白夜
6.クローン
7.ロックンロールスター
8.ミミック
9.ストラテジー
10.夜をこえて
11.結晶星
12.さくらのうた
13.生きてゆく
14.レピドシレン
15.ウォーリーヒーロー
16.盛者必衰の理、お断り
17.フルドライブ
18.ないものねだり

ENCORE
1.1.2. step to you
2.シルエット(新曲)
3.眠れぬ森の君のため

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