「僕」と「君」との関係性。SKE48の新たな魅力を歌詞とMVから読み解く

2014.08.20

text by ミズタタカシ

’08年のデビュー以来、松井珠里奈、松井玲奈を中心にアップテンポな楽曲と激しいダンスでファンを魅了してきたSKE48。音楽番組などでみせるAKB48グループのなかでもとりわけひたむきなパフォーマンスが彼女たちの代名詞だが、7月30日に発売された「不器用太陽」ではまた別の一面を見せてくれている。シングルとしては初となるバラード曲から、SKE48の新たな魅力に迫る。

歌詞に描かれているのは、「僕」という一人称で語られる「君」との夏の一日

切ない曲調とともに、タイトルにもなっている「不器用太陽」というフレーズが印象的だ。歌詞に描かれているのは、「僕」という一人称で語られる「君」との夏の一日。近づきたいのにどうしても近づけない、十代の頃だれもが経験するはずの焦れるような片想いが胸をうつ。

これまで同様、AKB48グループの総合プロデューサー秋元康が作詞を手がける。少年のナイーブな心情は、実は秋元康がしばしばアイドルの楽曲のなかで表現してきたものだ。最近では、松井玲奈のSKE48との兼任が話題となった乃木坂46の「君の名は希望」なども、周りに心を開けなかった「僕」が「君」と出会って変わっていく様子を歌い上げている。

「君」に翻弄される「僕」よろしく、私たちは一皮むけたSKE48に驚かされることになる

力強く元気なイメージがすっかり定着したここ数年のSKE48のシングルを振り返ってみると、同じ「僕」目線の楽曲でも、積極的に一歩を踏み出そうとする男子の応援ソングとしての側面を感じさせるものが多い。やはり昨年の夏にリリースされた「美しい稲妻」でも、スピード感のあるビートにのせて「僕」の「君」への熱情がストレートにぶつけられていた。

しかし今回は、新たな関係へと踏み出せない少年の姿が空で輝くだけの太陽になぞらえられ、海で過ごす二人の微妙な距離感は最後まで縮まらない。そんな歌詞の内容に呼応するように、MVでも得意のダンスは封印され、花火大会が中止になったとある雨上がりの海の町で皆が太陽を待つ様子が淡々と映し出される。

メンバーの姿を丁寧に追った映像は思春期の揺れる思いを浮かび上がらせ、それぞれの個性をこれまで以上にはっきりと伝えている。彼女たちの大人っぽい表情にどきっとしたひとも多いはず。一足先に少女の衣を脱ぎ捨てた「君」に翻弄される「僕」よろしく、私たちは一皮むけたSKE48に驚かされることになる。AKB48グループからのさらなる飛躍を予感させるに十分だ。

この夏休み、帰省先などで是非「不器用太陽」に耳を傾けてみていただきたい。ふとした瞬間大人の横顔を見せる少女の姿に目を奪われた、あの甘酸っぱい夏の日の思い出のなかで、次のステージへと進み始めたSKE48と出会うことができるはずだ。

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