主題歌もヒット!『妖怪ウォッチ』大ブームの秘密!!〜一話完結コント風、漫画の男女分け、メダルやカードの個人カスタマイズという仕掛け〜

TEXT BY ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

今や社会現象となった『妖怪ウォッチ』

2014年のエンタメ・シーンは映画『アナと雪の女王』のヒットに続いて、『妖怪ウォッチ』の大ヒットが注目されている。小学生カルチャーからのヒットなので、オトナ世代にとっては、“なぜ突然に!”と驚かれている方も多いだろう。そもそもは1年前に2013年1月号より連載開始の『コロコロコミック』や2014年2月号よりスタートした『ちゃお』でのコミカライズ、2013年7月11日に発売された『ニンテンドー3DS』でのゲームソフトの発売、2014年1月8日より毎週金曜18時半からテレビ東京系6局ネットで放送されているアニメ、そして爆発的に売れまくっている妖怪メダルや妖怪ウォッチなど玩具の大ヒットによって、徐々に盛り上がりを見せてきたのが『妖怪ウォッチ』だ。この大ヒットを受けて、玩具の販売を担当するバンダイナムコホールディングスは第1四半期の売上として過去最高を記録しているという。そこでヒットの秘密を分析してみたところ、3つの理由に突き当たった。


【ヒットの理由 其の一】かわいい&踊れる&一話完結コント風:キャラがかわいく、歌えて踊れて、物語では笑えて感動もできる。

アニメで放送されている『妖怪ウォッチ』は、一話完結でパロディ要素の多いコントとなっている。描かれるテーマが、トイレの大の個室に入れない、朝起きれない、集中力が続かない、汗をかきすぎるなど、等身大の子供たちが抱える悩みの原因がすべて妖怪のせいだという設定が秀逸だ。しかも、問題の妖怪を倒せば、友達の証として妖怪メダルをゲットできるというわかりやすい物語展開となっている。

妖怪といえばオドロオドロしいイメージがあるのを、『妖怪ウォッチ』では、『ドラえもん』風な妖怪キャラクターであるジバニャンや、『オバケのQ太郎』的なウィスパーを筆頭にかわいらしさを前面に打ち出すことで、女性ファンの心をつかんでいる。脚本には、子供や親世代が共感しやすい物語を生み出すために、主婦ライターを起用している徹底ぶりだ。

『妖怪ウォッチ』は、子供と一緒に観ているであろうオトナ世代へのアプローチも忘れない。突如バラエティ番組のコント・コーナーのような『太陽に吠えろ』や『ガラスの仮面』での小芝居。スティーブ・ジョブズのiPadのプレゼンテーションを彷彿とさせるパロディを、人気妖怪キャラが演じるなどフックの作り方が巧妙だ。こうした子供が知らないネタを差し込んでくる試みは、家族間のコミュニケーションを活性化させる意味合いもあるという。たしかに、親をファンに巻き込んでしまえば、財布のひもも緩むことだろう。

【ヒットの理由 其の二】入口を多数確保:一話完結なアニメ&コミック、ゲーム、玩具、映画、ライセンスなクロスメディア展開が成功。

『妖怪ウォッチ』は音楽も人気だ。ターゲットである小学生の運動会など、今年の春夏に開催された様々なイベントで『妖怪ウォッチ』の主題歌「ゲラゲラポーのうた」(キング・クリームソーダ)や、エンディング・テーマ「ようかい体操第一」(Dream5)がかかりまくっていた。しかも、エイベックスからCD化されヒットを記録している。誰もが踊りやすいシンプルでキャッチーな振りつけが、小学生のみならず幼稚園世代にも浸透している。ヒット中にも関わらず現在のエンディング・テーマは新曲「ダン・ダン ドゥビ・ズバー!」(Dream5+ブリー隊長)に変更されているが、こちらはなんと10年前に流行したエクササイズ・プログラム『ビリーズブートキャンプ』をモチーフにしているのが面白い。オトナでもついつい口ずさみたくなるから不思議だ。

インターネットの進化の結果、コミュニティや嗜好性が細分化しているといわれている。そんななか『妖怪ウォッチ』が実践している、子供との接点を増やす戦略が興味深い。注目したいのが、男の子向けには『コロコロコミック』、女の子向けには『ちゃお』という漫画雑誌の入り口を複数用意していることだ。しかも、作者も主人公も違うというマーケティングなこだわりが面白い。さらに、ゲーム、映画、単行本、玩具展開をパラレルに同時進行させることで、終わらないニュースという話題性を生み出し、様々なメディアを通じて幅広い世代にむけて接触回数を増やすことでザワザワ感を維持し続けている。

【ヒットの理由 其の三】玩具の仕組みが画期的:妖怪メダルやカードを、個人カスタマイズできる集めたくなるグッズ展開。

いちばんの注目は、大ヒットしているメダルやカードを個人カスタマイズさせるインタラクティブな遊び方だ。とはいえ、オモチャ屋はもちろん、コンビニ販売や、漫画や映画チケットでのメダルやカードの特典展開。それらを『ニンテンドー3DS』やパソコン、そしてデパートやショッピング・モールでのゲーム筐体で遊ばせるコレクションをこえた行動を起こさせる楽しさ。しかし、そこまでは『ポケットモンスター』時代とほぼ同じだ。

驚いたのは、メダルで遊ぶゲームコミュニティ『妖怪メダランド』だ。「妖怪メダル」の裏に付いているQRコードをスマホや『ニンテンドー3DS』で読み込み、WEB上のマイページに登録させることで、自分のコレクションを図鑑風に記録することができる。さらにはメダルの妖怪を3枚を組み合わせることでバトルゲームに参加でき、ポイントをゲットできたり、自分が全国で何位かを知ることが可能なのだ。

ポイントは、QRコードでメダルを登録できるのは1回だけという制限付けだ。このことが中古対策にも繋がり、より新規商品が欲しくなるヒットの要因のひとつとなっているように思う。こういった仕組みはCD販売など、あらゆるリアルなコンテンツ販売へも応用できそうで興味深い。

仮面ライダーなどでおなじみの、データカードダス筐体の『妖怪ウォッチ ともだちウキウキペディア』では、あらかじめ印刷されたカードではなく、ゲーム上でプレイヤーが妖怪を撮影し、その写真を基にしたカードがプレイヤーの名前付きでカスタマイズされて提供される。子供にとっては自分だけの宝物になり、メーカーにとっては高騰化している中古対策にもつながっている。


『妖怪ウォッチ』産みの親は名門ゲーム会社

そんな『妖怪ウォッチ』のヒットは偶然の産物ではなく、福岡を拠点にするゲーム会社『レベルファイブ』のゲームクリエイター日野晃博社長が、軸のぶれないコンセプトや基本ストーリー、キャラクター設定などを企画し、クロスメディア展開を戦略的にてがけている。かつて日野氏が手掛けた『イナズマイレブン』『ダンボール戦機』でのメディア・ミックスな成功体験のより進化系といえるだろう。さらに、2014年12 月20日(土)には『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』の公開も控えている。米国展開も進行中で、海外では『YO-Kai Watch』として売り出されていくらしい。まだまだ『妖怪ウォッチ』の勢いは広がりを続けそうだ。

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