カジヒデキの“終わらない夏”

カジヒデキの“終わらない夏”

カジヒデキ

心地よく駆け抜けていく、ニュー・アルバム『ICE CREAM MAN』が完成! 本作は自身初となるサマー・チューンで織りなすコンセプチュアルなアルバムとなった。

INTERVIEW & TEXT BY 松永良平


面白いと初めて思えた91年

──カジさんにとって初めての全篇サマー・アルバム『ICE CREAM MAN』は、最高に気持ちいいです。と同時に、これまでのご自分のキャリアを今ここで改めて肯定的に捉えて曲に織り込んだ感覚がありますね。

カジヒデキ そうですね。最初から昔を振り返ろうと思ったわけではないんですが、1991年ぐらいのことがキーワードになっている曲が割とあります。イギリスにエドガー・ライトって大好きな映画監督がいるんですけど、彼の新作「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」のサントラに、1991年頃の音楽がかなり収録されていたんです。特にプライマル・スクリームの「ローデッド」(1991年アルバム『スクリーマデリカ』収録)が映画のなかにも結構関わってきていて、90年代初めの“セカンド・サマー・オブ・ラブ”に僕がくすぐられた部分もあったんでしょうね。「僕らのスタンドバイミー」のサビで“LONG LONG HOT SUMMER”ってフレーズが浮かんで“終わらない夏”ってイメージを考えたときに、僕が初めてロンドンに行った年であり、フリッパーズ・ギターの3rdアルバム『DOCTOR HEAD’S WORLD TOWER -ヘッド博士の世界塔-』が出た年で、やっぱり音楽をやっていくのって面白いと初めて思えた91年を思い出して、あの感じを歌詞に盛り込みたくなったんです。

なかに封じ込めるというやり方

──タイトル曲「アイスクリーム・マン / ICE CREAM MAN」の歌詞にも、そういうリスペクトやオマージュの要素が散りばめられていますよね。この曲はサウンドも大滝詠一さんのアルバム『A LONG VACATION』へのオマージュになっていて。

カジ 大滝さんが亡くなられたことにはすごく衝撃を受けたので、リスペクトしている気持ちを伝えたいなと思っているうちに自然とそういう曲になりました。曲だけ先に出来上がっていたのですが、自分のなかですごく気にいっていたので、レコーディングの途中でアルバムのタイトルを決めたときに、“じゃあ「アイスクリーム・マン / ICE CREAM MAN」って曲があってもいいな”と。そこから、いろんな言葉がどんどん出てきた感じです。

──カジさんも大好きなアメリカのロックンローラー、ジョナサン・リッチマンの曲「アイスクリーム・マン」へのオマージュでもあるし、『A LONG VACATION』を中学生の頃に聴き、セカンド・サマー・オブ・ラブを20代前半に経験。そして、渋谷系の真っ只中にデビュー。新作全体に言えることですが、カジさんの青春のキー・ポイントになっている夏のイメージが同世代へのメッセージとして機能しつつ、そういうものを知らない世代にうまく伝えるリレーのバトンみたいな曲になっているんじゃないかと思うんです。

カジ 最近すごく思うのは、自分自身が曲を書きたくなったのって、やっぱりフリッパーズ・ギターの影響で、好きな曲やものを歌詞や音楽のなかに封じ込めるというやり方をそこで知ったからなんです。何かの影響を受けていろんなワードが入ってくるというスタイルを最初に持ってしまったので、自分で曲作りするときは今でもそうやって作るのがいちばん自然なんです。

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「この曲に出てくる海は、どこの海ですか?」

──本作には、野宮真貴さん、小島麻由美さん、坂本美雨さん、SHOKOさん、YURINA(住所不定無職)さんと女性シンガーもたくさん参加されていますね。

カジ 元々、ソロ・デビュー作『ミニ・スカート』(1997年発売)の頃から、自分の声には女性シンガーが相性がいいと思っていたんですね。キラキラ感が増すというか、昔から男女のツイン・ボーカルっていいなと思ってましたし。

──坂本さんの「灼熱少女 / TROPICAL GIRL」への参加は意外でした。

カジ 僕としてもそうなんです。坂本さんみたいなタイプのシンガーに参加してもらったことはなかったし、坂本さんも僕からのオファーには驚いたと思います。

──坂本さんのイメージを覆すようなアッパーなファンカラティーナ・チューンですもんね。

カジ 坂本さんも「こういう歌詞は歌ったことがないです」って言ってましたけど、すごくプロの表現者としてトライしてくれました。レコーディングに立ち会ってくれた作詞のかせき(かせきさいだぁ)くんは「もうちょっといやらしい感じで」とか、いろいろリクエストしてましたけど(笑)。

──うまくいってよかったですね。

カジ 坂本さんの話で印象的だったのは、レコーディング中に「この曲に出てくる海は、どこの海ですか?」って聞かれたんですよ。かせきくんは「湘南とかですかね」って答えたんですが、実際に坂本さんが歌ったらすごく品があって「ああ、これは葉山になりましたね」っていうところで落ち着いたんです(笑)。

「カジヒデキ、短パン履いてるし、昔のまま!」

──今、カジさんはすごくいい形でいろんな世代と混ざり合っているじゃないですか。例えば、イベントでカジさんが出て来たときの「カジヒデキ、短パン履いてるし、昔のまま!」という驚きと興奮はすごいですよ。そこを持続できている人はそんなに多くない。その在り方は、80年代から現代に音楽がこうして繋がっているということをカジさんは身を持って体現してることだとも思います。若いリスナーも、カジさんの音楽から気になるワードを見つけ出して、さらにその先を探してくれたらと思います。

カジ 本当にそうですね。その可能性はいつも求めていたいなと思ってます。

リリース情報

2014.08.06 ON SALE
ALBUM『ICE CREAM MAN』
BLUE BOYS CLUB

J-140731-YS01

¥2,593+税

詳細はこちら

オフィシャルサイト

ライブ情報

Here Comes The Ice Cream Man! Ding! Ding! Ding! Tour
アイスクリーム・マンがやってきた!リン!リン!リン!ツアー
11月27日 東京・渋谷WWW
12月11日 大阪・umeda AKASO
12月12日 愛知・名古屋CLUB QUATTRO

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