月刊 レジーのMステ定点観測 〜第3回 7月放送分〜【前編】

月刊 レジーのMステ定点観測 〜第3回 7月放送分〜【前編】

M-20140729-MK-1338

レジー(音楽ブロガー)

『ミュージックステーション』がテーマの当連載、第3回目となる今回も前編・後編に分けてお送りします。今月のMステは番組編成の都合上7月11日と7月25日の2回のみ。7月25日には「真夏の最強ライブ」と題した3時間の特別プログラムが放送されました。

夏の音楽特番と「懐メロ」

「CDが売れない」「音楽業界は下り坂」とは最近よく言われる話ですが、そんな風潮に反して「夏場の大型音楽番組」はここ数年ですっかり定着した感があります。今年も既に日本テレビが7月12日に11時間の歌番組『THE MUSIC DAY 音楽のちから』を放送。8月以降もTBS『音楽の日』、フジテレビ『FNS うたの夏祭り』が控えています。この手の特番が増えたのは2011年頃からで、おそらく震災を機に「皆で口ずさめる歌」の価値が見直された結果かと思いますが、これらの番組に共通するキーワードは「懐メロ」。ひと昔前の「みんなが知ってる曲」がやたらとパフォーマンスされる番組構成を見るにつけ、テレビにおける音楽という娯楽はどんどん「年寄り向け」のものになっているのだなあ、もしくはテレビが指す「みんな」とは特定世代より上の人たちだけなのだなあとなんとも言えない気持ちになります(前述の特番にやたらと華原朋美が出演しているのが象徴的です)。

一方、われらがMステはどうでしょうか。7月25日の3時間スペシャルの出演者は現在のJ-POP最前線で活躍している人たちのみ。さすが! と言いたいところですが、放送時間の半分くらいを使って「定番!日本の夏うた 昭和vs平成BEST30」という「懐メロ」丸頼りの企画ががっつり放送されていました。この番組くらいは音楽シーンの「いま」に特化してほしいと思うのですが、それだとなかなか立ち行かないんですかね。世知辛い世の中です。

BUMP OF CHICKEN、GLAY:大物バンドたちのMステ

今月の最大のトピック、それはBUMP OF CHICKENの出演でしょう。マスメディアの論理に頼らずここまでの人気を勝ち得たバンドの「地上波初パフォーマンス」(番組内でも相当煽っていました)の場として、ミュージックステーションという老舗音楽番組は相応しいシチュエーションだったと思います。演奏された「虹を待つ人」「ray」は今年リリースされたアルバム『RAY』の収録曲。「ray」については新機軸のアレンジや初音ミクとの共演などについて賛否両論あったようですが、個人的にはリリース当初から大好きな曲です。ミスチルでもサカナクションでもなく、バンプがやるからこそ意味がある曲のように思えました。番組の演出に関して一点だけ残念だったのは、タモリとバンドの絡みがほとんどなかったこと。冒頭の登場時に「初めてのミュージックステーション、ちょっと普通とは違うんですけどどうですか」「楽しんで精一杯やらせていただきたいと思います、よろしくお願いします」とのやり取りの後は番組終盤の演奏シーンまで出番なし。もしも次の機会があるのならば、「AKB48の隣りに座ってタモリにいじられるバンプ」みたいな画を見てみたいです。

1981年生まれの僕にとってBUMP OF CHICKENは「ぎりぎり間に合わなかったバンド(売れ始めた頃にはすでに大人になっていた)」という感じであまりがっつりはまったことはないのですが、7月11日の回に出演していたGLAYはまさに「世代ど真ん中のバンド」です。「20周年SPメドレー」として演奏された「サバイバル」「口唇」を聴くと高校時代の記憶が鮮やかに蘇りますね。これカラオケで友達がよく歌ってたなあ。実を言うとあの頃はGLAYよりラルクのほうが好みだったのですが(当時はGLAY派/ラルク派みたいな緩やかな線引きがありました)。1990年代の大ヒットナンバー2連発に続いて披露された「BLEEZE」は、50枚目のシングルにして初めてTERUが作詞作曲を手掛けた曲。GLAY印のシンプルな歌詞とサビの覚えやすいメロディは健在で、「バンドらしさ」というのはメンバー間でちゃんとシェアされていくのだなあと感心しました。

関ジャニ∞、エイトレンジャー:2つの名義それぞれの面白さ

KinKi Kidsの堂本剛や嵐の大野智など「アイドルなのにあんなに歌がうまいのか!」という形で定期的にジャニーズ・タレントが音楽ファンから「発見される」わけですが、最近この流れの中にいるのが関ジャニ∞の渋谷すばる。抜群の声量を誇るパワフルな歌声には多くの人の注目が集まっており、昨年のNHKの番組で披露された昭和の名曲「スローバラード」や「ラヴ・イズ・オーヴァー」のクオリティの高さは大きな反響を呼びました。7月11日にパフォーマンスされた関ジャニ∞の新曲「オモイダマ」でもその魅力は存分に発揮されており、音符を一つひとつ噛みしめるような彼の歌唱法がミディアムテンポの楽曲に絶妙にマッチしています。サビのユニゾンの際に彼のビブラートが突出して聴こえてしまう部分があるのはご愛嬌ということで。

歌を聴かせることに主眼が置かれた「オモイダマ」に対して、7月25日にエイトレンジャー名義で歌われた「ER2」は昨今の邦ロック的意匠を活用したドライブ感溢れるナンバー。前作「ER」のときにも感じたのですが、Fear, and Loathing in Las Vegas やMY FIRST STORYあたりのバンドを研究しているかのようなロックサウンドはこれまでのジャニーズの楽曲にはなかったタイプのもの。こっち路線を突き詰めていくと、いずれTOKIOみたいに夏フェスから声がかかるかも?

前編はここまで。後編では乃木坂46、E-girls、Perfume、EXILE TRIBE、SMAPについてお届けします。明日7月30日(水)の更新をお待ちください!

【7月11日放送分】
乃木坂46「夏のFree&Easy」
きゃりーぱみゅぱみゅ「もったいないとらんど」「きらきらキラー」
E-girls「E.G. Anthem -WE ARE VENUS-」
いきものがかり「ラブソングはとまらないよ」
Perfume「Cling Cling」
吉田山田「日々」
関ジャニ∞「オモイダマ」「サバイバル」「口唇」
GLAY「BLEEZE」

【7月25日放送分(真夏の最強ライブ 3時間スペシャル)】
きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」「きらきらキラー」「ファミリーパーティー」
エイトレンジャー「ER2」「ズッコケ男道」「T.W.L」
西野カナ「Darling」「君って」
AKB48「心のプラカード」「恋するフォーチュンクッキー」
神田沙也加「雪だるまつくろう」「生まれてはじめて」
May J.「Let It Go」
SMAP「Top Of The World」「シャレオツ」「BANG! BANG! バカンス!」
EXILE TRIBE「THE REVOLUTION」
BUMP OF CHICKEN「虹を待つ人」「ray」

<<第2回後編 第3回前編 第3回後編>>

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人