みんなの映画部 活動04『渇き。』[前編]

みんなの映画部 活動04『渇き。』[前編]

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Base Ball Bear/OKAMOTO’S

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間とひたらすら映画を観るプライベート課外活動“映画部”が月イチ連載に。毎月、小出部長が選んだ作品をみんなで観賞し、気心知れた仲間同士でゆる~く、でもミュージシャンならではの独特な視点で感想会を展開。今回は、福岡晃子不在で、しかも荒れ模様です!

TEXT BY 森 直人


活動第4回[前編]
作品:『渇き。
部員:小出祐介(Base Ball Bear)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)


何か惜しかった。派手すぎ、しょっぱすぎ、脂っこすぎ

──まず小出部長から感想をひと言。

小出 う~ん……正直、今回は「めっちゃ面白かった」と言えないんですよね……。僕ね、この連載で初めて、ちょっとわかんなかったです。

──それはどう評価したらいいか、ってことですか?

小出 頭の中で、もういろんな考えを巡らせながら観ましたけど、「これは結局何だったんだろう?」と(笑)。実は事前に、中島哲也監督が公式に出されたコメントをちらっと読んだんですよ。「僕が初めて、どうしても撮りたい、撮らなければならないと思った映画です」と。物語的には、自分の気持ちを暴力でしか表現できないロクデナシの親父が主人公で、愛する家族を抱きしめてもボッコボコにしちゃう。自分の手で壊しちゃうんですよ。愛と憎しみというのは裏腹で、とか、でもこの親父みたいに憎しみだけに偏っていく極端な人間もいて、とか……っていう。それ以外に何も伝わってこない。例えば、何か作り手の哲学が見えたりしたら「芯食った」気持ちになるけど、長~いショート・フィルムをずっと見せられてる感じというか。

ハマ それ、すごいわかります。僕はほぼ予備知識なしで観て、原作も読んでなくて……。

レイジ これって原作があるんだ?

──深町秋生さんの小説『果てしなき渇き』ですね。

ハマ 原作を読んだら何か哲学が掴めるのかもしれないけど、この映画だけ観ると、監督が「なんかヤバ~い」という感想を持たせるのが目的に見えてしまうというか。

小出 そうそう、そうなんですよ。編集にも「どや顔」ばかり透けて見える。

ハマ 「なんかヤバい、とにかくヤバかったよ」って感想を引き出したくてしょうがない感じ。ウエスタン調のオープニングも僕苦手でしたね。映像と音楽の相乗効果もあんまり生まれていないと思いました。

レイジ 何か惜しかったですね。僕の全体的な感想は、派手すぎ、しょっぱすぎ、脂っこすぎ。こういうのを観ると、やっぱりタランティーノ監督のセンスってすげえんだな! って。『キル・ビル』は同じくらい血がド派手に噴き出るじゃないですか。

小出 僕も『キル・ビル』のことはめっちゃ考えてた。タランティーノ監督の映画はちゃんとエンターテインメントになってるんだろうなぁ。残虐描写もカラッとしてる。

ハマ 笑えますもんね。でも『渇き。』の暴力はひたすら陰惨で……。しかも主演の役所広司さんが演技巧すぎるでしょう。

レイジ 僕ね、中島監督の前の作品『告白』は好きなんですよ。

小出&ハマ 僕も好き。

『バトル・ロワイアル』は、当時10代だった僕には監督の最後のメッセージとして深く刺さった

──なるほど。『告白』と『渇き。』の決定的な違いって何なんだろ?

小出 『告白』は、状況が悪化していくストーリー展開と映像効果がちゃんと合わさっていたし、加速していく流れにも乗れた。しかも、ラストの有名な松たか子のセリフ「なーんてね」でバッチリとオチがつくじゃないですか。ガッツポーズできるというか、物語と映像が同時に着地したような気持ち良さがあって。で、今回の「なーんてね」に当たるのは、加奈子(小松菜奈)が「あんたは心も体も空っぽだ。だから何もないんだよ」って言われて、「超ウケる」って返すところかなと思うんですけど、これは、話題作だからってことで『渇き。』を観に来て、「超ヤベえ」とか言ってる若者への皮肉としてぶつけてるのかな……とかも思いはしたけど、まぁ、やっぱりよくわかんねぇ!(笑) 例えば『バトル・ロワイアル』も10代中心のマーケティングをしていた映画ではあったけど、公開当時10代だった僕には、深作欣二監督の最後のメッセージとして確かに深く刺さったんですよ。若者に対して、「走れ」と。Dragon Ashの「静かな日々の階段を」のイントロが流れた瞬間に全部持っていかれるしね。

ハマ 渋谷の街でね。あれは最高!

レイジ 僕も『バトル・ロワイアル』はちょうど観返したところだったんです。だからどうしても最後に何が待ってるか、期待しちゃいますよね。

小出 「走れ」待ち(笑)。でもなぁ…。「超ウケる」だからなぁ……って、今回めちゃくちゃけなしてるけど大丈夫!?(笑)。

C-20140711-MK-1438映画館での定番、ポップコーン(塩、キャラメル)とコーラを買い、意気揚々と席に着いた部員たちだったが……。

編]に続く

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