パスピエ
2ndフルアルバム『幕の内ISM』をリリース。初心者からコア・ファンまでを全網羅する勢いで完成させた本作について、大胡田なつき(vo)、成田ハネダ(key)が語ってくれた。
INTERVIEW & TEXT BY 田中隆信
多面性を感じさせる要素を凝縮
──ニュー・アルバム『幕の内ISM』はタイトルどおり、幕の内弁当のような盛りだくさんな内容ですね。
大胡田なつき タイトルが作品をそのまま表していると思いますね。
──前作以上に楽曲の幅が広がっていますが、本作はどのようにしようと思って作ったのですか?
成田ハネダ 今作は、メジャーで発表するフル・アルバムとしては2作目、インディーズから数えると4作目のアルバムで。昔から聴いてくれている人たちには“今回はこう来たか!”って思ってもらいたいですし、初めて聴いてくれる人たちにも“こんなこともやってるんだ!”って思ってもらいたいので……いつもそうですけど、多面的な曲や多面性を感じさせる要素を凝縮して見せられる作品にしたいと思いました。
──楽曲制作に変化は?
成田 曲先で作るというのは基本的に変わっていません。「ノルマンディー」だけは歌詞を先に書きました。そういう作り方をしたいという願望が以前からあり、それを実現させた感じですね。
大胡田 あと、歌詞の作り方という点ではちょっと変化がありました。いつもは“曲ができました→私が歌詞を書きます→リハで合わせます”という流れなんですけど、今回はバンドの音から色や景色が浮かんでくることが多くて、そういったイメージを書き溜めて歌詞を組み立てるということもやってみました。
外に広がってきている
──楽器の音やメロディから言葉が導かれるということもありますからね。
大胡田 シングル曲の「MATATABISTEP」「あの青と青と青」、アルバムだと「七色の少年」は、そういったふうに音から影響されて歌詞を書いた曲ですね。
成田 いろんな意味で、自由度が高くなった作品だと思います。2013年に『演出家出演』という1stフルアルバムを出して、ミュージック・ビデオをYouTubeなどで公開したんですが、海外の方からもコメントをたくさんいただきまして、単純に反響があって面白いなと感じましたし、元々洋楽を聴くのも好きだったので、今回の作品にはそういったテイストも反映してみようかなって。曲ごとに世界観が違いますし、いろいろとエンジニアさんと詰めていったりしたので、細部まで伝わるようにというのは心掛けています。
──曲ごとに世界観が違うということですが、そうなってくると歌い方も曲によって変わってきますよね?
大胡田 はい、歌い方は曲ごとに変えています。特に今回、「あの青と青と青」「七色の少年」「瞑想」あたりは、今まであまり使ってこなかった声というか、歌い方をしています。歌詞自体、これまでと違って外に広がってきているので、それに合わせて自然と歌い方も変わってきたような気がします。
僕らにとって大きな転換になる
──初回限定盤DVDには、なんとライブ映像が!
成田 はい、初めてライブ映像を発表します。
大胡田 皆さんに喜んでもらえたらうれしいです。
成田 13年末に東京・赤坂BLITZで行ったライブの映像なんですが、“印象・日の出列伝”というツアーのファイナルなので、そこまでのツアーでやってきたことの集大成というか……すべてをぶつけた公演だったので、それを映像化することによって、単純に楽しんでもらえたらいいなと思いましたし、その映像を観てパスピエのライブに行ってみようかなって思ってもらえたらいいなと。
大胡田 私は去年、パスピエ全体もそうだったと思いますけど、どんなふうにライブを作ってお客さんに伝えようかというのをずっと考えながらやっていた1年でした。この日のライブは、それがある程度身についたというか、内から出るものをライブで表すことができるようになった瞬間のパスピエがちゃんと切り取れたライブだったなって思うんです。
成田 うん。それと、僕らは自分たちの姿をあまり表に出してこなかったんですけど、ライブは丸裸というか、すべてをさらけ出す場でもありますから、映像作品を出すということが、僕らにとって大きな転換になるんじゃないかと思っています。
一瞬で表現できるという魅力
──これまでの作品でも、ジャケットにメンバーの写真が載ってるわけでもないですし、謎な部分が多かったですから。ジャケットと言えば、今回のアートワークも仕掛け絵本みたいに凝っていますね。
大胡田 私がアートワークを担当してるんですけど、“歌があります”“曲があります”という世界に、もうひとつ何か足せたらいいなという思いがあって、初回限定盤のアートワークも凝らせていただきました。目から入ってくる情報ってすぐに伝わりますから取り扱いが難しいところもありますけど、一瞬で表現できるという魅力も強いです。
成田 初回限定盤は限られた期間しか販売されないので、リリース日を意識してくれる人たちに付加価値のあるものをお届けするのが恩返しじゃないですけど、チェックしていてよかったなって思ってもらえる作品にしたかったんです。
──アートワークを含め、手に取った人たちの反響も楽しみですね。
成田 はい。リスナーの人が楽曲を聴いて、何か思ってくれた時点で作品が完成すると思うので、すごく楽しみです。
リリース情報
2014.06.18 ON SALE
ALBUM『幕の内ISM』
unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN

[初回限定盤/CD+DVD]¥2,778+税
[通常盤/CD]¥2,300+税
ライブ情報
パスピエ TOUR 2014 “幕の外ISM”
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