TEXT BY 清宮真奈美
「ヒット曲には法則がある」とは昔から結構言われていること。そして、そうした話題の中で必ずといっていいほど登場するのが「パッヘルベルのカノン」という曲。これは17世紀の作曲家、ヨハン・パッヘルベルの名曲で、どうやらヒット曲の多くはこれと同じ、またこれに近いコード(和音=複数の音が同時に響かす)進行をしている……。
といっても、いきなりコード進行と言われてもピンとこないかも。なので、ここは順番に楽曲を聴きながら感覚的に解き明かしていければと。まず、「パッヘルベルのカノンはこういう曲。
「あ、聴いたことある!」という人は多いはず。でも、これと何がどうヒット曲と似ているんだろう……。次の超有名曲のAメロの上から、先の動画の1分10秒から流れる有名フレーズ「タッタララッタララ」を口ずさんでみると、不思議とマッチするはず。
かの有名なビートルズの「レット・イット・ビー」をバイオリンで弾いているこの動画、序盤から思いっきりカノンっぽい雰囲気。厳密にはまったく同じではないのだけれど、コード進行はほとんど同じなので、明らかにヒット法則に則っている。もっとわかりやすくなるのが次の動画。
そして、これぞカノン的って曲はJ-POPにもあって、まずはコレ。
テンポなんかが違うから、「そうなの?」なる人も多いと思うけど、サビに合わせてばっちり「カノン」の主旋律が歌える。さらにAKB48には「恋するフォーチュンクッキー」や「ギンガムチェック」など、「カノン」の法則を用いた曲が多いから要チェック!
ではでは、最後は日本のヒット曲をカノンに合わせて流しているメドレー動画でお別れ!
それで、よく言われがちなのが「コレってパクリ?」という内容。でも、ドレミファソラシと音に限りがあるということは、それを組み合わせて曲を作るわけで、パターンにも限りがある。人間が不快に思わない和音というのは、相当限られた順列組み合わせになり、さらに「この和音からこの和音に行くと落ちつかない」なんてことも。そして「カノン」は人が違和感を覚えずに聴ける、とっても気持ちよく感じるコード進行でできている。
多くの人間に多幸感をもたらすコード進行はそう多くなくて、そのひとつが「カノン」だったということ。耳なじみの良い曲を作ろうとすると「カノン」のようになってしまうのは自然なことだし、17世紀に作られた曲が現代までこうした形で受け継がれているのは、パッヘルベルがいかにすごかったかということでしょう。