みんなの映画部 活動03『あの娘、早くババアになればいいのに』[前編]

みんなの映画部 活動03『あの娘、早くババアになればいいのに』[前編]

みんなの映画部 活動03『あの娘、早くババアになればいいのに』[前編]

Base Ball Bear/チャットモンチー/OKAMOTO’S

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間とひたらすら映画を観るプライベート課外活動“映画部”が月イチ連載に。毎月、小出部長が選んだ作品をみんなで観賞し、気心知れた仲間同士でゆる~く感想会を展開。そこにはミュージシャンならではのガチで独特な視点も……。

TEXT BY 森 直人


活動第3回[前編]
作品:『あの娘、早くババアになればいいのに
部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)

ラブホテルに誘う時の名言。「リラックスと興奮が交互にやってくる場所に行きませんか?」

──ハリウッドの大作が2本続いて、今回はいきなり日本のインディペンデント(自主製作)映画ですが。

小出祐介 今月公開の映画の中で、気になったタイトルをいくつかツイッター上で挙げたんですよ。そしたら『あの娘、早くババア~』の公式アカウントさんが速攻で「ぜひ、うちを!」って。

福岡晃子 あっという間にツイートしてくれたんだよね。

ハマ・オカモト じゃあ、もう決まりですね、と。

小出 しかもたまたま監督さんが、僕がライブハウスでバイトしていたときの同僚の同級生だったりと、いろいろ縁も感じまして。それでですね、まずはざっくりした感想から言いますと……めっちゃ面白かったです!

一同 (笑)

ハマ こいちゃんの「めっちゃ面白かった」が毎度のお約束になってますけど。でも実際、面白かったですよね。意外なくらいに。

小出 めちゃめちゃキャラが立ってる。特に清水君(切田亮介)がすごい。

ハマ すごいっすね!

福岡 本当にあれって演技なのか、本気なのか?

──読者用に「清水君」の説明してくださいよ(笑)。

小出 あ、そっか。この映画はアイドルオタクの平田って中年男(尾本貴史)が、血の繋がっていない娘を理想のアイドルに育てるって話なんですだけど、そのヒロインのアンナちゃん(中村朝佳)に恋しちゃう純情な男子高校生が清水君。

ハマ 同じ学校の同級生なのか、「ダンス部で一緒に汗を流してる」と言ってましたね。

小出 それでアンナちゃんが店番に立ってる実家の本屋に足繁く通い、オドオドしながらも積極的に接触しようと頑張ってる。これがアイドルとファンの構図になっていて。

──彼がレジ前で待ってる感じとか、握手会まんまですもんね。

小出 まさに握手会のメタファー。でも彼は本当に付き合いたいと思って、一線を踏み越えてきちゃう、と。そしてアンナちゃんをラブホテルに誘う時の名言。「リラックスと興奮が交互にやってくる場所に行きませんか?」。

一同 (爆笑)

ハマ 最高でしたね。

福岡 ヤバかった~。

小出 ヤバいといえば、本屋のバイト面接にやってくる自称・元女優の小西さん(結)!

ハマ あの人もえらいリアルでしたね。

小出 僕が最も警戒するタイプの女性ですね(笑)。口を横に開けてしゃべるあの感じね。しかも、その度に奥の舌がチラチラ見えてる。

ハマ 一目でヤバいとわかる(笑)。この映画はもちろん低予算なんでしょうけど、これだけキャラが立ってれば充分面白くなるんだなって。

小出 アンナちゃんが後半どんどんかわいくなっていくのも良かったなぁ。アイドルとしてというより、ひとりの女の子としての自意識が芽生えることによって、かわいくなっていく。皮肉にも。……ってところも面白いよね。で、そんな感じで基本的に認めつつ、実は僕、引っ掛かってるところもいろいろあるんですよ。

ハマ おぉ、それを聞きたいです。

「アイドルとは万人の太陽であるべきだ」と理想を語りつつも、実は性的対象として見てしまっている自分もいる

小出 きっと監督さんはガチのアイドルファンですよね。で、僕もアイドル大好きじゃないですか。なので、ガチ対ガチの意見として言うと、この映画を一歩引いて全体の構造を見た時に、「アイドルとは?」みたいな監督なりの芯となる答えというか、見解みたいなものを見い出したかったんですね。そこが最後まであいまいな気がしたの。

ハマ それはわかる気がします。クライマックスに向かうにつれて構造がブレるというか、「結局、何が言いたいの?」っていうモヤモヤが残る感じはありますよね。

小出 ディテールのツメも割と甘いと思うんですよ。例えば、平田の本屋にAKB48関連のものしか置いてない、とか。平田は昔からアイドル全般に目配せしてきたような感じだったのに、アイコンとして可視化されているのがAKBしかない。だから、「AKBファンの男が義理の娘をアイドルとして育てているの?」「アイドル1200人と握手したみたいなのもわりと最近の話?」みたいに、いろいろとチグハグに感じる部分が出てくる。ゴールとしてのアイドル像も不鮮明で、グループ・アイドルの一員にしたいのか、ピンでいきたいのか。

福岡 なるほどねえ……っていうか、細かいよ!

一同 (笑)

──もっと概念的に、平田はアイドル・プロデューサーのメタファーってことかもしれないね。

小出 なるほどなぁ。そうなると、「アイドルとは万人の太陽であるべきだ」と理想を語りつつも、実は性的対象として見てしまっている自分もいる。つまり、「アイドル・プロデューサーは自分の育てているアイドルを本当は抱きたいと思っていて、そのジレンマと常に闘っている」って捉えてるってことなのかなぁ。

ハマ その邪念との葛藤を、内心「すまん」と思ってる、と(笑)。

C-20140606-MK-1340今月は3人で。1日に夜1回しか公開しないレイトショー上映作品を3人並んで観賞。
C-20140606-MK-1345観賞後、座談会を行う喫茶店へ移動。この連載の日は雨が多いのは誰のせいか……。

後編]に続く

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