日本代表のグループ・リーグ2戦目の相手、ギリシャ。屈強なディフェンスのルーツは、かの国の音楽を聴けばわかる!

2014.06.15

TEXT BY 大石 始

有名なギリシャ人アーティストと言えば、ヴァンゲリス

 2014FIFAワールドカップブラジルのグループ・ステージ第2戦で日本とぶつかるのが、ヨーロッパの強国・ギリシャだ。攻めのコートジボワールに対し、ギリシャは鉄壁の守りを中心に試合を組み立てていくチーム。コートジボワール戦とは異なる試合展開が予想される。

 南欧に位置するギリシャは文化の交差点でもある地中海とエーゲ海、イオニア海に面し、文化的にも独自の文化を育んできた国。この国とサッカーの関連を考えたとき、真っ先に名前を挙げなくてはいけないアーティストがヴァンゲリスだ。ギリシャの音楽文化にまったく触れたことのない方であっても、ヴァンゲリス作曲の映画『炎のランナー』や『ブレードランナー』のテーマソングを耳にしたことのある方は多いだろう。実は日韓共催となった2002FIFAワールドカップの公式アンセムを手がけたのもこのヴァンゲリス。2012年のワールドカップ期間中、日本のメディアでは繰り返しヴァンゲリス作曲のメロディが流されていたわけだ。

ギリシャを代表するセックス・シンボルは、まるでリッキー・マーティン!

 そんなギリシャの音楽シーンもアメリカのヒット・チャートものからの影響は強く、近年では国内チャートの多くをアメリカ的なポップス~ダンス・ポップが占める。こちらはギリシャを代表するセックス・シンボル、サキス・ルーヴァスの代表曲「Shake It」(2004年)。ほとんどギリシャのリッキー・マーティン!

頑固で保守的なギリシャ人から愛されている“ギリシャの演歌”

 だが、ギリシャ歌謡の本流は情感に溢れ、演歌的に歌い上げるものにある。そのルーツと言えるのが、首都アテネにもほど近い港町、ピレウスで20世紀初頭に生まれたレベーティカという音楽。港町に流れ着いた犯罪者や売春婦、ヤクザものや低所得者層の間で愛されたレベーティカには、流れ者たちの哀しみに満ちたブルージーな歌が多い。そんな“ギリシャの演歌(もしくはブルース)”レベーティカの成り立ちを追った映画『Rembetiko』(1983年)の予告編がこちら。一聴しただけだと保守的な歌謡曲に思えるこの音楽の背景にあるものが窺えるはずだ。

 ギリシャ人は頑固で保守的と言われる。その国の気質をそう簡単に説明するべきではないけれど、筆者も2007年にギリシャを訪れた際、同じような感想を持った。だが、その頑固さの奥には歴史ある国ならではの揺るぎない価値観と美学がある。そんなギリシャの奥深さを感じさせる歌を最後にご紹介しておこう。1970年代から活動を続けるギリシャの大歌手、ハリス・アレクシーウの2012年曲。何者にも揺さぶられないこの堂々とした歌声といったら!

 ギリシャ代表チームのブ厚い守りの壁も、ハリス・アレクシーウの歌声同様、揺るぎない信念のもとに成り立っている。その意味では、勝敗の鍵を握るのは戦略や各選手の技術よりも精神力の強さなのかもしれない。

 そんなわけで、次回はグループ・リーグ3戦目の相手国・コロンビアの音楽を分析してみよう。

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