半田健人
昭和歌謡を滲ませるアルバムを作るほどに音楽にのめり込んでいる半田健人。彼が音楽に興味を持つようになったのはいつからだろうか? その歴史を紐解く。
INTERVIEW & TEXT BY 熊谷広美
PHOTOGRAPHY BY 佐野将宏

間口がパーッと開きました
──昭和歌謡を聴き始めたのはいつ頃からなんですか?
半田健人 実は小学校6年生ぐらいまでは、音楽に興味がなかったんです。でもそれは、当時流行っていた曲に興味が沸かなかっただけで、昭和歌謡を見つけたときに、音楽ってこんなに素晴らしいし、人の心を動かすものなんだ! というのを知って、そこから音楽への間口がパーッと開きました。不思議なもので、一度開いた間口のおかげで、当時流行っていた曲も受けつけるようになっていったんです。
──では、昭和歌謡を知るきっかけの曲はあったのですか?
半田 ある日テレビで、たまたま渡辺真知子さんの「かもめが翔んだ日」を聴いて、あの曲って、最初歌から始まって、Aメロに行く前に間奏が入るんですけど、その間奏にやられました。その頃からアレンジャー志向だったのかも知れませんね(笑)。Bメロでドラムのリズムが変わるんですけど、あのアレンジに心をやられちゃって。そのドラムを叩いていた田中清司さんに、今回『せんちめんたる』でも叩いていただいています。当時から歌謡曲の持っている“音”というのに魅力を感じてて、当時打ち込みサウンドが全盛だったJ-POPの真逆をいっていて、それが非常に心地よかったんです。ピンクレディーの編曲を聴いたときも度肝を抜かれました。
お金も時間もかけていますよね
──昭和歌謡の最大の魅力は、どういうところでしょう?
半田 人間力じゃないですかね。機械を使っていないというところと、たくさんの人間が関わっているというところ。ひとつのオケを作るのに40人ぐらいが参加していて、当時はテープ録音ですから、修正もしない、うまくできるまでやるし、初見でうまくできる人たちが集まっているという、お金も時間もかけていますよね。
──昭和歌謡以外に、好きで聴いている音楽はありますか?
半田 映画音楽とか、ポール・モーリアとか、レイモン・ルフェーブルとか、ミシェル・ルグランとかの、大編成の楽団ものは好きですね。あとはカントリーですね。今回のアルバムには、カントリーの要素は入っていないんですけど、僕の作る曲には、カントリーっぽいものも結構あります。チェット・アトキンスが好きで、今スティール・ギターとかも練習中です。実は昔の歌謡曲には、意識していないところで、カントリーの要素も入っているんです。森山良子さんの「思い出のグリーン・グラス」とか、かまやつひろしさんの「どうにかなるさ」とか。昭和20年代って、演歌、ハワイアン、ジャズ、カントリーが、主に当時の歌謡曲を形成していたんですね。だから僕にとっても、カントリーはすごく心地いい音楽なんです。
◆今週の1曲
テーマ:プロポーズのときに言葉とともに贈りたい曲
都倉俊一「リヨンの星座」
半田 あるドラマの挿入歌で、都倉俊一先生のオーケストラによる、美しいメロディのインストゥルメンタルです。人生のいいシーンに、この曲がBGMとしてほしいと思っています。
リリース情報
2014.05.28 ON SALE
ALBUM『せんちめんたる』
MASHIMAN-RECORDS

[アナログ盤]¥3241+税
[CD]¥2,778+税
CONTENTS
Part.1 『せんちめんたる』前編
Part.2 『せんちめんたる』後編
Part.3 出会い
Part.4 役者としての目標
取材協力
「本格珈琲 昭和」
住所:東京都豊島区西池袋3-24-3 藤井ビルB1F
電話:03-3987-0230
営業時間:12:00〜22:00
(金・土は23時まで営業)
※水曜定休日