『ジョジョ』はアニメ化されても『ジョジョ』だった

『ジョジョ』はアニメ化されても『ジョジョ』だった

奇才・荒木飛呂彦による漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』が、2012年10月より満を持してTVアニメ化されていることは、DAILY MUSIC読者の方もご存知のことだろう。原作第1部『ファントムブラッド』、第2部『戦闘潮流』を経て、現在は第3部『スターダストクルセイダース』が放送中。アニメ制作スタッフらの原作愛が随所に溢れ、出演声優のキャラクターへのリスペクトも上々。これには漫画連載時に少年期を過ごした30代だけに限らず、若いアニメファンからも「素晴らしい映像化」との声が上がっており、すでに“傑作”としての評価を確かなものにしている。

さて、そんな作品の音楽面に関してなのだが、第3部OPテーマ「STAND PROUD」の時代や流行を無視したメタルっぷりに、度肝を抜かれた視聴者は多かったのではないだろうか。70〜80年代の洋楽を愛してやまない荒木飛呂彦を思えば当然のサウンドなのだが、今、2014年のテレビで鳴ると新鮮に聴こえるのだから不思議だ。超絶スピードでドドドドドドッと繰り出されるドラムは、『ジョジョの奇妙な冒険』における擬音描写と重なり、作品が持つ独自性を露わにしている。けたたましく轟くギターリフ、ソウルフルで魂を揺さぶる橋本仁の歌声も「熱血」と形容するにふさわしく、オラオラオラオラァと拳を突き出してしまった輩もいたことだろう(笑)。

ちなみに第3部のEDテーマは、The Banglesの名曲「Walk Like an Egyptian」。第1 & 2部のEDテーマにYESの「ROUNDABOUT」が用いられたのと同様、(おそらく荒木飛呂彦が好きであろう)洋楽ナンバーが起用されている。第3部の物語の大半は1987年の世界を舞台に、空条承太郎ら主人公たち一行が日本からエジプトへと向かう旅路を描いたものだ。そこに1984年のヒット曲を当てるセンスと、「Walk Like an Egyptian」がまるで『ジョジョの奇妙な冒険』のために作られた曲かのように錯覚するマッチング度には驚かさられる。選曲に奔走したであろうアニメ制作スタッフには心からの拍手を贈りたい。

とまあ、第3部『スターダストクルセイダース』の概要だけをサラッと紹介してしまったが、こればかりは「とにかく実際にアニメを観てほしい」と言うほかない。日本の漫画史に残る、誰にも真似できないオリジナリティを持った作品は、アニメ化されてもオンリー・ワンの空気を纏っていた。物語も、そこに当てられた音楽も、今のどのアニメ作品とも異なる色を放っている。虎は虎でしかいられない。個性が強すぎてアニメ初心者にはハードルが高いかもとの声もあるが、芸術をたしなむ心の持ち主であればきっと楽しめるはずだ、と筆者は薦めたい。

TEXT BY 西原史顕(リスアニ!)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人