W杯ブラジル大会前に知っておきたい「サウダージ」の意味

ボサノバはブラジルよりも日本で愛されている!?

今年6月、ついにサッカーのワールドカップが開催される。開催地は南米・ブラジル。日本から見れば地球の裏側である。そのブラジルが世界に誇る音楽と言えばボサノバだ。

ボサノバはブラジルの伝統的な民族音楽と思っている人もいるかもしれないが、誕生したのは1950年代後半と比較的新しい。しかし誕生から既に50年以上が経過。そこそこ古い音楽だが、世界中、特に日本では「なんかオシャレ」という、ものすごくふわっとした理由で長い間愛され続けている。実は日本は地球上でボサノバがもっとも愛されている国のひとつで、古い音源も再販売されることが多く、どういうわけかブラジル本国より音源が流通していたりする。

とはいえ、多くの日本人にとってボサノバはどんな曲を聴いても同じに聴こえる。もちろん、よく聴くと全然違うのだが、多くの人は違いに気付きにくい。また、日本ではカフェのBGMとして「最も無難」とされ、どこの店でも流れているが、カフェ客は揃いも揃って聴き流している。

「サウダージ(Saudade)」に宿る奴隷や先住民の感情

そんな世界でもっとも愛されているはずの日本人にも聴き流されるボサノバという音楽。それを語る上で外せないのが「サウダージ(Saudade)」という言葉だ。日本語では「郷愁」と訳されることが多いが、正確にはそのニュアンスとも違う。ノスタルジーだけにとどまらない懐かしい感情、思慕、切なさ、さらに憧れのニュアンスも含まれる。しかもブラジルは、その昔、アフリカ大陸から奴隷として連れてこられた黒人や、ヨーロッパからやって来た白人に支配された先住民たちが多くいて、そういった人たちの「やるせない想い」なんかもサウダージに含まれるという。ちょっと深い。深すぎてびっくりする。

もちろんそんな深いニュアンスまで理解してボサノバを聴く必要なんてまったくない。ただ、そういった感情の存在を知ることで、今まで聴き流していた音楽が、ちょっとだけ耳に残り、心にとどまることがあれば、素敵なことではないだろうか。ブラジルでワールドカップも開催されることだし、これを機に、ボサノバを聴き流すのではなく「サウダージ」という感情に思いを馳せてみてはどうだろう(ゆるい提案)。

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