「トコハナ」の切なさに酔いしれる

TVアニメ『ブラック・ブレッド』が盛り上がってきた。最初のエピソードが終わり、物語は新章へ。(少女がアクションを繰り広げる)華やかな絵柄とは裏腹に、とても残酷で辛辣なテーマを扱っているのが好印象。どのエピソードも単純なハッピーエンドでは終わらせないんだろうな……と身構えして観ないと、“痛い目”に遭います(笑)。

さてそんな作品のEDテーマを飾っているのが、やなぎなぎの「トコハナ」。辛い現実と黒い感情に直面し続ける主人公バディ・里見蓮太郎と藍原延珠を歌っていることは明らかで、ふたりを実際の花に例え、“この世で最高に綺麗なものはなんだか知ってる? 泥の中にいても決して汚れない花だって”なんて言われると悲しくなってくる。この物語ではガストレアと呼ばれる異形の寄生生物が人間を侵略するのだが、そのガストレアの血によって特殊な能力を得て、侵略に対抗し得る力を持つことになった子供たち=イニシエーターの悲哀が主題のひとつになっている。当然、イニシエーターは一歩間違えれば暴走して人間の敵になりかねない、被差別種として扱われる。そしてそんな延珠をパートナーにガストレアと戦う蓮太郎もまた、人工的な異能の持ち主だ。世界を想い戦う彼らが、最も世界から忌み嫌われる……やなぎなぎの詞はこの構図を浮き彫りにしていて、行き場なく彷徨う感情がとにかく切ない。

そしてサウンドはエモいです。とにかくエモい。作編曲はアニメ音楽シーンに数々の名曲を生んできた齋藤真也で、高速で刻むギターと優雅に鳴り響くストリングスの組み合わせは勇壮で荘厳、それでいて切ない。「トコハナ」を感情の高ぶりなしに聴くことは不可能だろう。

やなぎなぎのタイアップ作品に対する解釈とその理解・表現のセンスには、毎度驚かされるばかりだ。ぜひ皆さんにも聴いてもらいたい一曲である。

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