家入レオ 3rd ワンマン Tour ~a boy~

家入レオ 3rd ワンマン Tour ~a boy~

家入レオ

家入レオ 3rd ワンマン Tour ~a boy~

2014年4月26日(土)@NHKホール

デビューから2年、今まで自分のために歌ってきた音楽が、いつの間にか──。家入レオのツアー・ファイナルは、そんな彼女の音楽に対する熱い想いがギュッとつまった、今しか見せることのできない最高のステージとなった。

TEXT BY 恒川めぐみ
PHOTOGRAPHY BY 田中聖太郎


この先の未来も自分らしい音楽を

 2ndアルバム『a boy』を作り上げた彼女は強くなった。心の内に抱える孤独と向き合う勇気を、感情を表に出す自由を、そして大切なものを抱きしめる愛をその手につかんだ。大人になったという意味ではない。むしろ大人になろうと階段を駆け上がっている途中で、その先にどんな彼女がいるのだろう。そんな自分と出会うことを誰よりも楽しみにしていたのは、きっと家入レオ、本人だ。

 『a boy』のCDジャケットをイメージした、ミラーが何枚もあしらわれたステージにマーチング・ビートが場内に響き渡り、緊張感を煽る。すると一瞬音が止まって、階段の最上段をスポット・ライトが照らす。家入レオだ。いきなりアカペラで「カーニバル」がスタート。幻想的で威風堂々としたバンド・サウンドに背中を押されるかのように、少しずつ階段を降りてくる彼女のアクションがみるみるうちに大きくなっていく。そのボルテージはまるで超満員のファンの手をとるように、ライブの世界へ引き連れていくように見えた。以前は周りに求めてばかりだった。でも、これからは少しずつでも自分から与えていけるような存在になりたい。そんな想いを流麗なメロディに乗せて、「Time after Time」を切々と歌う今の家入レオの横顔が頼もしく思える。

 彼女の芯の強さは、アコギを抱えてごく繊細なファルセットで歌う「チョコレート」でさえもハッキリ感じ取れたし、感情がほとばしる中盤でもなおさら顕著だった。ステージ上の階段に座り込み、「Too many」のドラマチックなピアノのイントロからサウンドが激しさを増すと共に、曲に込める想いもどんどん小さな体から放出されていく。アルバム『a boy』の中で最も感情的だという「Free」での、マイクを拡声器に持ち替えて振り絞った声は“叫び”に近い。おそらく2ndツアーまでの彼女だったら、怒り、やるせなさ、悲しみなど負の感情をそのまま吐き出していたのかもしれないが、今回はただ激情に飲まれていくだけではない気がした。

 「想い、届いていますか?」どんなに気持ちが高ぶっても、彼女の目にはちゃんと前が見えていて、「もっと感情を共有したい」という想いが自身を突き動かしている。ならば、こちらも感情を揺さぶられる準備は出来ている。リズミカルなギターに導かれるファンク・チューンの「Kiss Me」や「Papa & Mama」で、少年のようにステージ幅いっぱいを駆け巡る彼女にも、大人びた表情で“強くなりたいんだ”と高らかに声を張り上げて「希望の地球」を歌う彼女にも、オーディエンスはピッタリとついていく。家入レオの声がしっかりファンの心とシンクロしている証拠だ。そんなひたむきなファンのまなざしをすべて受け止めるべく、ライブが始まる前にファンが夢を書いた旗をステージに持ち出し、それをギュッと胸に抱いて歌う姿がとても愛らしかった。

 「寂しい、つらい、って歌っても誰が聞いてくれるわけではない。でも、こんな私の名前を呼んでくれる皆さんに出会えて、本当によかった。これからもまっすぐ、私らしく進んでいきます」

 アンコールで歌った「a boy」が、あまりにも優しくて穏やかだったから、なぜかこちらのほうが涙をこぼしそうになった。心のなかを露わにすることは、とても勇気のいること。しかし、こみあげるものをただ吐き捨てるよりも、自分の想いと歌を届ける相手の想いの両方を噛みしめながら歌うボーカリストの方が、ずっとずっと愛おしい。そんな自分の姿を彼女自身は見えていただろうか? 今の家入レオを“恐れ”ではなく“希望”が包んでいることは間違いない。

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SETLIST

  1. カーニバル
  2. 太陽の女神
  3. イジワルな神様
  4. Time after Time
  5. 君に届け
  6. Hello
  7. Shine
  8. チョコレート
  9. キミだけ
  10. Too many
  11. Free
  12. Who’s that
  13. Bless You
  14. Lay it down
  15. Fake Love
  16. Kiss Me
  17. Linda
  18. Papa & Mama
  19. サブリナ
  20. 希望の地球
  21. ミスター
  22. Message
  23. a boy

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