絢香 -その曲は、いわばアスリートとミュージシャンとの共演作品

絢香 - その曲は、いわばアスリートとミュージシャンとの共演作品

絢香

冬季オリンピックの地・ソチに舞う、美しく、そして勇ましい選手たちを歌で応援していく絢香の「number one」。選手たち言葉が彼女の創造性を刺激し、そこから生まれた詞とメロディが選手へと還っていく──。

TEXT BY 山田邦子


選手たちの言葉を目の当たりにして、私自身も曲を書くパワーをすごくもらえた

──新曲「number one」は、フジテレビ系ソチ五輪中継のテーマソングとして書き下ろされたそうですね。

絢香 はい。オリンピックはもちろん、スポーツに関するもので曲を書き下ろすのは初めてだったので、どんな風に書いていくか最初はすごく悩みました。

──どういうところから書き始めたんですか?

絢香 まずオリンピックの選手たちのインタビューをいろいろ読んでみたんです。すると“1番”とか“ナンバーワン”、“金メダル”という言葉がとにかく多かったんですよ。スポーツの世界、その中でもオリンピックという大きな舞台で“1番”を目指して日々頑張っているんだという選手たちの言葉を目の当たりにして、私自身も曲を書くパワーをすごくもらえた気がしましたね。そこからピアノに向かい、“number one”というキーワードのもとで歌詞を広げていったんです。

──「number one」。シンプルだけど揺るぎない強さを持った言葉ですね。

絢香 例えば、1番だろうが何番だろうが、頑張ってきたその過程が私たちに勇気や感動を与えてくれるんだっていう見方もできると思うんですけど、私が読んだその選手たちの言葉──“1番”を目指しているというハッキリとした目標みたいなものが、やっぱり強く印象に残ったんです。だからこそ、自分はこの言葉をあえて使おうと思ったんですよね。

──ストレートに。

絢香 はい。うまくいかなくても、それを自分の力で超えていくっていうことを何度も繰り返して本番に挑むわけでしょう? その精神力は本当にすごい。そうやって流してきた涙が1回の大きなステージで奇跡に変わるんだっていうことを、そのまま言葉にしようと思って書いていきました。奇跡に変わると信じ、絶対に輝くんだと信じて前に進んでいく。そんな真っ直ぐなメッセージを込めています。

試合前に聴いて「よし!」と思えるような曲になったらいいな

──今回は、歌詞の中で“ヒーロー”という言葉を使われているのが印象的でした。これまでの作品ではあまりなかったワードですね。

絢香 この言葉も絶対に使いたかったんです。オリンピックって、観ているみんなにたくさんのパワーとか勇気を与えてくれますよね。夢に向かって自分も頑張ってみようって背中を押される人は数えきれないほどいるはず。スポーツって生ものだし、もちろん演出だってない。作りようがないでしょう? それであれだけ人を感動させることができるって本当にすごいこと。そう考えると、選手の皆さんはみんなに勇気を与えるヒーローだなって思ったんですよね。

──歌詞もそうですが、サウンド面でも気持ちが奮い立つような力強さがありますね。

絢香 冬のオリンピックっていうとなんとなくミディアム・テンポのバラードっぽいイメージもあったけど、そうじゃなくて、やっぱりこの「number one」という言葉をストレートに生かせるような、試合前に聴いて「よし!」と思えるような曲になったらいいなっていうイメージで作っていったんです。自分の歌もコーラスも、頭で考えるというよりすべて「number one」という言葉に呼ばれて出てきたような感じだったんですよね。

──冒頭から聴こえるあのコーラスは本当に力強いですね。人間の持つエネルギーが幾重にも重なっているようで。

絢香 あのコーラスには、レコーディングの時にスタジオにいたみんなにも協力していただいたんですよ。みんなからのエールも込めてもらいながら、仲間と一緒に作り上げました。

──いろんな方の耳と心に届けばいいですね。

絢香 あの大きなステージに立つ選手たちにエールを送れたらという思いはもちろんでしたが、これからも、そしてスポーツに限らず、何か夢を持って頑張っている人にも気合いが入るような曲になったらいいなと思っています。自分自身に向けてもそうですね。ライブとか大きな本番の前っていうのは、舞台こそ違うけどそこに向かう気持ちとしてはきっと共通する部分があるんじゃないかなと思うので。

儚さや脆さ、狂気のようなものをはらんでギリギリのところに立って踏ん張っている

──ではカップリングについても聞かせてください。この曲は現在公開中の映画「黒執事」の主題歌として絢香さんが書き下ろし、ガブリエル・アプリンさんが英語バージョンで歌った「Through the ages」の日本語セルフ・カバーですね。

絢香 そうなんです。ガブリエルのバージョンが去年の11月にリリースされたんですけど、その後ファンの方から「絢香にもこの曲を歌ってほしい」とか、日本語の歌詞で聴きたいっていう声をたくさん頂いてたんです。自分にとってもすごく大事な曲なので、じゃあぜひ歌わせてもらおうと思ったんです。

──映画の主題歌として書き下ろしたと聞くと納得できますけど、歌詞そのものは、これまでの作品の中でも非常に重いテーマですよね。

絢香 この映画がなければ書けなかったものですね。これまでに自分の曲にはあまりなかった儚さや脆さ、狂気のようなものをはらんでギリギリのところに立って踏ん張っているような感じを歌詞にしています。映画でもダークな部分と光というものが描かれていますが、どんなに平穏に見えても、実は誰もが見えないところに陰を抱えていますよね。今回は映画というものがあったので、思い切ってこういうテーマで歌詞を書くことが出来ました。表現の振り幅という意味では、自分の中でのいちばん端まで行けたような気がしています。

──では最後に、ライブDVD「LIVE TOUR 2013 FORTUNE COOKIE〜なにが出るかな!?〜at日本武道館 2013.11.19」についても聞かせてください。

絢香 初のカバー・アルバム『遊音倶楽部〜1st grade〜』を引っさげてのツアーだったんですが、名曲をたくさん歌わせてもらって、自分も目一杯楽しめたライブでした。遊音倶楽部の部員(=バンドメンバー)たちのバンド感を感じてもらえる内容になってると思いますので、ぜひ楽しんで観てもらえたらなと思います。

2014.02.19 ON SALE
SINGLE「number one」
AstAtion

J-20140224-MK-1755[初回限定盤/CD+DVD]¥1,800+税
J-20140224-MK-1756

[通常盤/CD]¥1,200+税

【CD】

  1. number one
  2. Through the ages(セルフカバー ver.)
  3. はじまりのとき(2013/11/19 日本武道館Live ver.)

【DVD】

  1. number one(MUSIC VIDEO)
  2. number one MAKING VIDEO

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