ジャニーズから三代目J Soul Brothers、三浦大知も!変動激しい2015年の男性パフォーマンスアクト事情を人気音楽ブロガーが総括

2015年も残りあとわずかとなりましたが、今年も音楽シーンではいろいろな出来事がありました。

相変わらずの女性アイドルグループの盛り上がり、星野 源やゲスの極み乙女。といった新しい人気者の台頭、サブスクリプションサービスの登場による音楽の聴き方の変化……どれも重要なトピックですが、最もシンプルな基準である「今年売れたCDって何だろう?」という視点で見ると、少し違った景色が見えてきます。

シングルCDは例によってAKB48、SKE48、乃木坂46といった48グループが上位を独占している一方で、アルバムに関してミリオンセラーを記録したのは嵐『Japonism』と三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE『PLANET SEVEN』のみ。

つまり、ジャニーズやLDHに代表される男性のパフォーマンスアクトも、現在の音楽マーケットにおいては非常に大きな地位を占めているのです。

というわけで、このコラムでは「2015年の男性パフォーマンスアクト事情」について、今年リリースされた作品に触れる形で振り返っていきたいと思います。

 

三代目J Soul Brothers、EXILE、GENERATIONS:LDHの地殻変動、そして逃れられない「泣ける歌」の呪縛

前述の通り、今年2枚しか存在しないミリオンセラーアルバムである『PLANET SEVEN』を1月にリリースした三代目J Soul Brothers(以下3JSB)。

2014年にちょっとした社会現象にもなった(そして定着した感もある)「ランニングマン」の振り付けでお馴染みの「R.Y.U.S.E.I.」の勢いそのままに、アルバムも大ヒットとなりました。ドームツアーも成功させ、勢いに乗っているという表現がぴったりの状況です。

一方、3年3ヵ月ぶりのオリジナルアルバム『19 –Road to AMAZING WORLD-』がセールス的には3JSBの後塵を拝したEXILE。オリジナルアルバムとは言うものの収録曲14曲中新曲は3曲のみと若干の省エネ感が見られるのも気になります。

年末にはオリジナルメンバー3人の勇退も控えており、EXILEを頂点とするLDHのピラミッド構造が実態にそぐわなくなり始めたことを感じさせる2015年でした。

3JSBについては7月に発表されたシングル「Summer Madness」もヒットしましたが、EDMに振り切ったあの曲とは対照的に様々なタイプのダンスナンバーが収録されていたのがアルバム『PLANET SEVEN』。有機的なR&Bテイストのリードトラック「Eeny, meeny, miny, moe!」、ミディアムテンポでシックに決める「Glory」など、パフォーマンスの幅が感じられます。

しかし何より驚いたのは、このアルバムの半分近くをバラード曲が占めること。ウェットなメロディラインが特徴的な「C.O.S.M.O.S. ~秋桜~」「Link」、タイトル通りの人生賛歌「Wedding Bell ~素晴らしきかな人生~」、6分40秒の大作「All LOVE」、鍵盤とストリングスが引っ張るザ・J-POPバラード「風の中、歩き出す」……バリバリのダンスアルバムを想像していたのでこの構成は意外でした。

ただ、アゲアゲのダンスナンバーも「泣ける」感じのバラードも、聴き手の心をシンプルに揺さぶるという意味ではベクトルは同じもの。「聴いた瞬間に体が反応する」というコンセプトでバラエティ感を出そうとすると、ダンスナンバーとバラードが並列するアルバム構成になるということなのかもしれません。

これはEXILE『19 –Road to AMAZING WORLD-』にも共通していて、前半に立て続けに登場する「あの空の星のように・・・」「Bloom」、ラスト曲「悲しみの果てに・・・」などしっとりしたバラードが収録されています。

一方、ほんの少しだけ毛色が違ったのが、LDHの末っ子にあたるGENERATIONS from EXILE TRIBEの『GENERATION EX』。

3JSB「R.Y.U.S.E.I.」に寄せたような「Sing it Loud」のイメージが強かったので正直あまり期待していなかったのですが、個人的には『PLANET SEVEN』『19 –Road to AMAZING WORLD-』より気に入りました。

古き良き90年代J-POP的な切なさが楽しめる「EVERLASTING」を筆頭に、作品全体の印象は他の2枚よりも薄味で上品。さらっと聴けてこのくらいがちょうどいいなーと思っていたんですが……ラストにORANGE RANGE「花」のカバーという「こってりした泣ける歌」が入っていてびっくり! こういう明確なクライマックスを作らないとおさまりが悪い、という感じなんでしょうか。

ダンスナンバーとバラード、わかりやすいふたつの方向からリスナーの気持ちを効率的に盛り上げていこうというLDHの徹底したやり方に思わず感心してしまいました。

 

嵐、Hey! Say! JUMP:芸能の中心、ジャニーズの現在地

2015年における「最も売れたアルバム」の地位を獲得したのが嵐の14枚目のオリジナルアルバム『Japonism』。

アルバムのコンセプトとして「外から見た日本」というものが掲げられていますが、様々な場面で国民国家というもののあり方が問われているこのタイミングでこういうテーマを持ってきたわけで、時代の切り取り方が冴えているなあと思いました。

このアルバムでとにかく特筆すべきは、「心の空」における櫻井翔のラップ。昔は彼のラップについては「(笑)」的な位置付けで捉えていたのですが、最近では普通に聴きたくなってしまっている自分がいます。

「心の空」のラップで特に感激したのは“We’re like 五奉行”。意外性があるだけでなく、解釈でいろいろと想像が膨らむ言葉のチョイスは素晴らしいです(嵐が五奉行なら、五大老はSMAPで豊臣秀吉はマッチでしょうか)。

今年のジャニーズ事務所のグループのアルバムで面白かったのはHey! Say! JUMP『JUMPing CAR』。ディズニーランドのアトラクションで流れるBGMのようなインスト曲で始まるこのアルバムで展開されているのは、まさに「音楽とエンターテインメントの融合」と呼べるようなもの。

ボーカルチョップを使ったイントロがおしゃれな「SHen SHera SHen」、ダンスクラシック風味の「ウィークエンダー」、ジャニーズ18番のポップな応援歌「キラキラ光れ」など、全く退屈にならない楽曲が続きます。

特に、ストリングスとブラス、コーラスが敷き詰められる中に情熱的なボーカルが映えるバラード「Very Very Happy」と、エンディングに配されたビッグバンド調のナンバー「Puppy Boo」は掛け値なしにお勧めです。

 

w-inds.、三浦大知:リアルダンスアクトの逆襲

w-inds.といえばティーンアイドルのイメージがここ最近まで抜けていなかった自分にとって、2014年リリースのアルバム『Timeless』のかっこ良さは衝撃的でした。ライムスターの宇多丸がリード曲「Make you mine」をその年のベストトラックとして挙げるなど一部では注目が高まっていましたが、そんな状況で今年7月に発表されたのがアルバム『Blue Blood』。

今ではサウンドプロダクションの指揮を執るまでに成長した橘慶太の嗜好が反映されたこのアルバムでは、アメリカのど真ん中のポップスと向こうを張るようなゴージャスかつ丁寧なサウンドが展開されています。

ファンファーレ感のあるオープニング「beyond the blue world」で幕を開けるこのアルバムは、2曲目のシングル曲「In Love With The Music」で最初のピークへ。

その後もホーンが気持ちいいミディアムナンバー「I’m all yours」、マイケル・ジャクソン風味のシャウトが印象的な「Cat Walk」、ファンク色の強い攻撃的な「TIME TO GETDOWN」など、最近のトレンドでもあるEDM的な方向に安易に流れない意欲的な楽曲が収録されています。

また、そこに乗るボーカルも「ヘタウマ」の類ではない本格的なもので、ライブパフォーマンスのかっこ良さも間違いのないレベル(今年の全国ツアーの初日を見る機会に恵まれましたが、かなり満足度が高かったです)。

2013年にジャスティン・ティンバーレイクが発表した『The 20/20 Experience』を独自に発展させたようなこの方向性は、なかなか日本ではお目にかかれないものではないでしょうか?

「ティーンアイドルからの脱却」という観点で言うと、同じくいい具合に年を重ねているのが三浦大知。今年はフジテレビの音楽番組「水曜歌謡祭」(一瞬で終わってしまいましたが……)にレギュラーとして出演し、活躍のステージを広げました。

そんな彼が6月にリリースした『FEVER』、とても良かったです。EDMの高揚感と日本人らしい繊細さを組み合わせたオープニング「SING OUT LOUD」からアルバムへの期待感が一気に高まり、続く「FEVER」ではシンプルなトラックに合わせて彼が歌い踊る絵をありありと思い浮かべることができます。

白眉はピアノ主体のバラード曲 「IT’S THE RIGHT TIME」。圧倒的な歌唱力を誇示することなく切々と曲の世界を表現していくボーカルは、マイケル・ジャクソンの「Heal The World」か「You Are Not Alone」かという感動を呼び起こします。

そして、ラストを飾るシングル曲「music」で堪能できるのは「すべてはここまでの伏線だったのか!」と言いたくなるような突き抜ける爽快感。「男性パフォーマンスアクト」という枠組みを取っ払っても、今年リリースのアルバムの中で有数の作品なのでは? という素晴らしい一枚です。

今の時代の「ダンスパフォーマー」と言えばLDHのマッチョでいかつい感じが幅を利かせていますが、線の細かった美少年が年相応の男らしさを身に付けてパフォーマンスのレベルを上げているというところにも来年以降もっと注目が集まるといいなと切に願っております。とりあえず、ここで紹介した2枚は2015年のマストアルバムです。

 

というわけで、「男性パフォーマンスアクト」という括りで今年の作品を振り返ってみました。「女性アイドル」「バンド」といった切り口に比べると意外と言及されることがない領域のような気がしますが、そんなことは関係なく面白い作品が登場していることを改めて実感しました。もし未聴の作品があれば、年末年始のお休みのお供にどうぞ!

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