61歳の母親が、初めてフジロックに行った体験記

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先週末に日本を代表する野外ロックフェス「フジロックフェスティバル ’15」が開催されました。

大自然に囲まれている気持ち良さがある一方で、野外ならではの日差しや突然の豪雨など、体力的には大変ともいわれるフジロック。筆者は過去に3回ほど参戦していますが、今年は親孝行ということで、フジ最終日に初めて母親と参戦してまいりました。
(上記写真左が母、右が筆者です)

母親は61歳、普段から音楽ライブに行くタイプでもありません。体力的な面でも、音楽的な面でも、果たして楽しんでもらえるのか……。不安を抱えつつ行ったフジロックは、結果的には「母は強し!」を実感する面白い旅となりました。
親子ふたりの珍道中を、エピソードを交えてご紹介したいと思います。

普段ライブにも行かない母が、なぜフジロックに?

元々、私の過去のフジロック参加歴から、その存在は認識していた母。そんな母が言うには「あんなにたくさんの人が、わざわざ休みを取って大きな荷物を持って山奥まで行って楽しそうにしているのは何が理由なのか知りたかった」とのこと。誰か観たいアーティストがいたわけではないらしいのですが、誘ったところ思い切って今回の参戦を決めていました。
なお、母が出演者の中で事前に知っていたのは、椎名林檎、シーナ&ロケッツ、大宮エリーの3組だけです。

フジロックの荷物に、もろきゅうと冷凍餃子の保冷バッグ

出発の前にまずは荷造り。「大きいタオルがあると日除けにもなるし便利だよ」と話したら「いいものがある」と言って持って来たのは、私が小学生の頃にプールの時間に使っていたバスタオルでした。ゴムはビロビロに伸びきってたが「これ前にボタンが付いてるから便利なんだよ」と母。自分はこれから小学校の遠足にでも行くのでは? と錯覚しそうです。

プール用のバスタオルは前にボタンがついていて便利

プール用のバスタオルは前にボタンがついていて便利

続いて、「芝生で座る時にトレッキングクッションっていうのがあると便利だよ」と話したところ「いいものがある」と取り出して来たのが、私が昔出張のお土産に買ってあげた冷凍餃子の保冷バッグ。「宇都宮餃子と神戸牛餃子の2つあるから両方持っていこう」と、なんの迷いもなく言い切ります。

思っていたのとは違うが、地面の冷たさは防げそうなマット

思っていたのとは違うが、地面の冷たさは防げそうなマット

準備も整ったところで、出発の朝。朝5時出発予定で4時に起きたら、母がおにぎり、もろきゅう等を用意してくれていました。友達と行くフジロックとの違いを感じつつ、車中で食べながら苗場に向かいました。

凍らせた麦茶が保冷剤代わりになっている

凍らせた麦茶が保冷剤代わりになっている

苗場到着! 「わらびが生えてるよ!」

9時頃に苗場に到着。車を降りて会場に向かう途中、母がまず言ったのが「わらびが生えてるよ!」。普段から山菜採りによく行くので、車中にいる時から気になっていたらしい。フジロックには何度も来ていますが、わらびに注目したことは一度もなかったので衝撃を受けました。母は「いつもなら採ってくけど今日は我慢する」とのこと。

わらびを見つけるも、採るのを我慢する母

わらびを見つけるも、採るのを我慢する母

まずは事前に知っていたアーティストのうちのひとつである大宮エリーを見にジプシーアバロンへ。途中、ホワイトでチャランゴを通過。客が踊っているのを見て「ノリのいい音楽。テレビとかでコンサートでお客さんが踊ってるのは見たことはあったけど、その気持ちがわかった」というコメントに、音楽を楽しんでるなと思い、まずはひと安心です。

ジプシーアバロンに到着。母は大宮エリーがバイオリンを弾くというのを初めて知ってビックリしていました。日差しが強く、日陰が無いので、1曲聴いて退散。

こんなにたくさん人がいるの見たのは隅田川の花火大会くらい

グリーンステージで[Alexandros]を観たあと、ホワイトステージのceroのライブへ。「フルートの音がすごく良い!」と母。「ジャズなどのオシャレ音楽ではサックスやトランペットが映えるのは知っていたが、フルートも似合うのは知らなかった。サックスの大人な感じと違ってかわいい感じ」と、早くもベストアクト候補を見つけた様子です。
しかしながら、炎天下だったため、3~4曲で退散し、グリーンに向かいます。

グリーンステージに向かう道

グリーンステージに向かう道

移動中にあまりの人の多さに感嘆。「こんなにたくさん人がいるの見たのは隅田川の花火大会くらいだ」といいます。
また行き交う子どもを見て、「子どもの迷子放送を一回も聞かない。お母さんがお前たちを小さい頃に旅行に連れて行ったときは何度も迷子になったのに。不思議だ。小さい頃から音楽を聴いて育つと従順に育つのか?」と、答えようもない質問を挟みつつ、グリーンステージに到着。

グリーンステージの椎名林檎のライブでは、「この人はMCが無くて歌をどんどん歌っていくのがいいね。プロだね」。ステージ衣装や所作、出ハケの演出などにもこだわっているのがすごいと賞賛しつつ、椎名林檎でもフルートが登場して「やっぱりフルートはいいね」と。どうやら、フルートが気に入ったようです。

餃子の保冷剤のうえに座り、筆者の小学校時代のプール用タオルを活用する母

餃子の保冷剤のうえに座り、筆者の小学校時代のプール用タオルを活用する母

母の一番の反省点は、曲の予習をしてこなかったこと

そして、筆者が今年一番楽しみにしていたアーティスト、アイスランド人のオブ・モンスターズ・アンド・メンが迫り、レッドマーキーへ。ひとつ前のアーティストが終わった瞬間に出番の1時間前から母も一緒に最前列へ。
母に大丈夫かと聞くと「椎名林檎のときに前のほうの人たちがすごく熱狂的だった。一度ここでライブを観てみたい。」と力強いひと言。しかし30分程経った頃「腰が痛くなってきた。やっぱり後ろで観る」と断念。残念だけど体調を考えると、ちょっと安心しました。

ライブは最高で、最前列の私は号泣。ステージが終わって後ろの母と合流すると「良かった。すごく楽しかった」と、どうやら喜んでくれたみたいです。「ライブの観客が両手を挙げているのをよくテレビで見るけど、今もみんなやってた。お母さんも1曲だけやってみたけど、腕が疲れ過ぎて1曲でやめた」と。

最後にノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズのライブを見たあと、ご飯を食べながら一日を振り返りました。
まず、母のベストアクトはceroのフルート演奏。最初にチャランゴを見たのもフェスの感じがわかって良かったようです。椎名林檎とノエルのステージングにも感銘を受けたとのこと。

また母の一番の反省点は、曲の予習をしてこなかったことだそう。「野外のライブなので、音が少し割れてしまって歌詞の内容がわからなかった。曲を聴いて、歌詞の内容を知ってからフジロックに来てたらもっと楽しめてたと思う」と言います。
帰ったら復習用に「フジロックフェスティバル ’15で見たバンド特集」のCDを作ってあげねば。

“フジロックまんじゅう”とか“フジロッククッキー”とかはないのか

さて、ライブも楽しみ、炎天下にも体調を崩すこともなく、無事家路につく我々。
帰りがけに「お土産を買い忘れた!」と母が。「休みをもらって来たのに仕事場に持っていくお土産を買ってない。“フジロックまんじゅう”とか“フジロッククッキー”とかはないのか?」と言うので「場内で買えるお土産はTシャツとかタオルとかしかないよ」と私。
すると「それはダメだ! 来てない人にフジロック楽しかったと共有できない」と。「人に話すときに見たバンドの名前を忘れてしまうので、バンド名の焼き印を入れたお菓子を作ったほうがいい。柿の種がいいと思う! 柿の種ひとつずつにバンド名を入れれば、食べるたびに思い出せる。これならフジロックに行った人も思い出に浸れるし、行かなかった人にも話しやすい。」と母。SMASHさん、ぜひご検討お願いします(笑)

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筆者としては、フジロックには何度か来ているにも関わらず、今年はまるで初めて来たような不思議な感覚を覚えました。「そんなとこ見てたの!?」と思うことや、「あー、そういえば初めて来た年こんなこと思ったなぁ」ということもあり、とても有意義な体験だったような。

母は61歳でも楽しんでいたので、いままで行けていなくて悩んでいる30代~40代の人も行けばきっと魅力がわかるはず。また、親孝行でフェスに一緒に行くというのも検討の余地ありですよ!

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