科学の進歩でハンデを乗り越える。ここまで進んでいる楽器演奏用の義手

2015.11.20

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ドイツ映画界の巨匠ロベルト・ウィーネの映画「芸術と手術」は、ツアー中に列車事故にあってしまったピアニストが、犯罪者の手を移植されるという物語だ。

ピアニストにとって何よりも大事な手を失うという不安はなくなったが、犯罪者の手を移植されたことでまた精神的に追い詰められる……サスペンスの傑作である。

映画が公開された1920年代に完全な手の移植手術は技術的に不可能なことはさておき、演奏できなくなるかもしれないという苦悩はいつの時代だって変わらない。しかし、時代は進み、今では演奏用の義手も存在するのはご存知だろうか?

 

■ギター用義手は3Dプリンタの進化で生まれた


生まれつき右手のないDiego Corredorさんは3Dプリンターによる商品を取り扱う3D Gluck社が開発したギター演奏用義手によってギターを弾けるようになった。

義手はクリップにピックをはさんで腕にはめるだけのシンプルな作りでありながら、ピックが落ちることもなくしっかり弦を弾いている。

Diego Corredorさんが大好きなバンド、リンキン・パークのロゴを刻んであり、見た目もかっこいい。3Dプリンターで制作するため、凝ったデザインでもコストをかなりおさえることができるのだとか。

 

■筋肉の動きを感知してドラムを叩く


こちらはイギリスの週刊科学誌に「サイボーグ・ドラマー」と紹介されたジェイソン・バーンズさん。

ジョージア工科大学のジル・ワインバーグ教授が開発した義手は、腕の先に2本のスティックが装着できる。装着者の筋肉の動きを感知してスティックが動くため、装着者のイメージ通りの演奏が可能なのだとか。

ドラムロールも片手でできてしまうので、使いこなせれば2本腕の人間にはできないプレイが可能になる。

 

京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授がアメリカのインターネット新聞「ハフィントンポスト」日本版へ今年5月に投稿した記事によると、2030年にはiPS細胞から、神経や心筋、血液など様々な細胞に分化させ、患者に移植する「再生医療」を一般的な治療にすることを目指しているという。

今後、さらに科学技術が発展すれば、義手ではなく再生された生身の手で楽器を弾けるようになる未来がやって来るのかもしれない。

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