アーティスト3人がヒット映画「バクマン。」を観てガチ感想!!

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Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回は話題の漫画原作映画「バクマン。」に男子部員で行ってきました。好評をよく聞く作品ですが、なにやら小出部長は難しい顔をしています……。

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)


活動第20回「バクマン。」[前編]
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、ノザキくん(みんなのお友達)

感情移入貯金が全然足されないでどんどん進んでいく

──みんなの映画部、第20回目となりました。

小出祐介 おぉ、20回! ありがとうございます。

ハマ・オカモト 僕はわりと欠席しておりますが(笑)、久しぶりに戻ってきました。

──今回は男子会で、日本映画の話題作「バクマン。」を。まずは部長からひと言お願いします。

小出 え~と、難しいですね。評価が。

ハマ 相変わらずクールですね(笑)。

小出 はは。率直な感想を言うと、頭の30分でもう「うーん……」となっていて。まず、ギミックが多過ぎる。かつ、すごく詰め込まれているわりに、場面の盛り上げ方がワンパターンだなと。盛り上がるパートへの入り方が、曲からして全部同じ感じで。最初にギターだけの部分が4小節ぐらいあって、キックがドンドンドンドンって入ってくる。BPMもだいたい同じくらい。

──ミュージシャンらしい解釈から入ってきましたね。

小出 で、そこに画がハマってきて、「閃いた!」みたいなピークが来て、次の段落へ……みたいな、そんな展開が何回も出てくる。その似たような束がいくつか集まってるだけに感じちゃったというか、ストーリーもキャラクターもあまり活きているように見えなかった。

高校生漫画家のサイコー(佐藤 健)とシュージン(神木隆之介)っていう主人公ふたりの成長していく様みたいなものがサラーッと流れていくから、気持ちがノっていけないし、ノっていけてないところでまたギミック的な展開をしていっちゃうので、感情移入貯金が全然足されないままどんどん進んでいくんですよ。

──そもそも「バクマン。」は「成長物語」のルーティンを避けてますしね。

小出 そこは原作もそうですよね。人間的な成長物語を描き過ぎずに、「週刊少年ジャンプ」イデオロギーである“ジャンプ・システム”(毎週、掲載作品の読者アンケートを行い、下位作品は打ち切りが検討される)での熾烈なアンケート競争がストーリーのメイン。それで1位を獲るために彼らがやるのはマーケティングじゃないですか。

──失敗から学びながら、面白い漫画を作ろうと切磋琢磨する。

小出 ジャンプ漫画の超人キャラのように“大いなる力”を手に入れるのではなく、読者と編集部の狭間で、描きたい漫画を描くのか、アンケートで勝てる漫画を描くのか何度も揺れながら。その“エンターテインメントをやっていくうえでの葛藤”がどっしりと描かれている漫画だったと思うんです。で、その精神性を映画版はどういう風に汲むんだろうと期待していたんですけど、そこも含めて、かなり映画的にまとめられてましたね。

とはいえ、こういう簡略化や置き換えは、原作がある作品の映画化ではよくあることだっていうのもわかっているし、ヒットを狙って作られた映画としては全然正しいことをやっているは思うんですけどね。

 

1回目を観たときは良かったんですよ

オカモトレイジ 俺は実は2回目の観賞なんですけど、今回はたしかにコイちゃん(小出祐介)の言うギミックに引っ掛かっちゃった感じがすごくありました。1回目を観たときは「普通に面白かったな」と思ったんですけど。

小出 あ、そうなの?

ノザキ 僕は今日が初観賞ですけど、基本はやっぱりそんな感じです。

レイジ 俺は1回目は良かった。でもギミックの部分をわかっていて観ると、少しつまらないなあっと感じてしまいました。小道具やディテールのアラも気になったり。

小出 そうなんだよ。おもちゃ目線で見てもちょっと甘いんだよなぁ。

ハマ おもちゃ?

小出 うん。置いてある小道具の時代考証が。サイコーの仕事部屋って、過労で死んじゃった漫画家の叔父さん・川口たろう(宮藤官九郎)の部屋だったわけじゃん。でも、その部屋の後ろのほうにあるドラえもんのフィギュアが、今のやつなんですよ。たぶんVCD(ヴァイナルコレクティブルドールズ)。メディコム・トイの。

レイジ 詳しい!(笑)

小出 あと回想シーンで、叔父さんが連載しているときに、少年時代のサイコーが「スラムダンク」のTシャツを着ているじゃないですか。もし当時があの作品全盛の90年代だったら、叔父さんが黄色のアメスピ(たばこの銘柄、アメリカンスピリットの「ライト」のこと。2002年発売)を吸っているのはおかしい(笑)。

レイジ あと、叔父さんが頭に巻いているタオルが「宇宙刑事ギャバン」でしたよね。80年代の特撮ヒーローのアイテムにしてはきれい過ぎるなって思いました。

──そのへんは裏設定のつじつまを用意していそうではありますけど。

ハマ 僕は感情移入というか、登場人物たちの温度感が伝わってこなかったんです。原作を読んでいないせいもあって、まずあのヒロインの亜豆美保(小松菜奈)とサイコーとの距離感が理解しづらいので、恋愛関係とはいってもちょっと応援できない。

小出 原作を読んでない人は、そうなるだろうなと思ってた。

ハマ これは絶対に説明不十分なだけなんだろうなと感じました。僕の不満はそこに尽きますね。CGを使ったペンの殺陣のシーンが3~4分もあるんだったら、もっと描けることがあるんじゃないか? と思いながら(笑)。

小出 まったく同じ。あの期間で結構時間が経ってる設定だったから、あのバトルでいろいろ端折ったってことだよね。

ハマ あのバトルのシーンは、使い方によっては新しい表現になるなと思わされる気がしましたが、なぜグリーンバックの前に立って殺陣をやっちゃってるような感じになってしまったのか。

小出 佐藤 健くんも神木隆之介くんも「るろうに剣心」シリーズに出てるふたりだからね。

ハマ そうそう。なので異常に殺陣が上手い(笑)。

小出 あとこれはもう散々言われてるだろうし、それについて大根監督もコメントしていたりするけど、踏まえて、やっぱりサイコーとシュージンの配役が逆だったんじゃないか? っていう。

ハマ 見た目ですか?

小出 見た目も、テンション感もそうだね。もちろん「あえて」なんだろうけど、原作を一回でも読んじゃってると、ふたりが逆ならしっくりくると思うんじゃないかなぁ。あと、読んでなくても、佐藤 健さんに童貞感出されてもまったくうなずけないんですけどっていう(笑)。となると大根仁監督は、その初期段階で「映画と原作とは別物」ってことをすごく強調したのかも。

C-20151105-MK-1544ごぶさたなハマくん参加して、今回は男子3人会。観賞後にノザキくんが合流しました。

C-20151105-MK-1548取材日の9割が悪天候という当連載ですが、今回は大丈夫でした。しかし、観賞後の小出部長の表情は険しく、感想会は嵐の予感……。

[後編]に続く

 

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